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婦人科疾患
2018年12月に松本が学会で講義をした時に使用した抄録

2018.12.9松本敏樹

※注1 条文によっては現代語訳(東洋学術出版)を載せている。

2 項目によって条文が重複して掲載されている。

 

1.女性の一生

条文

『素問』上古天真論篇 第一

二七にして天癸至り、任脈通じ、太衝の脈盛し、月事時を以って下る。故に子あり。

三七に して腎気平均す。故に真牙生じて長極まる。

四七にして筋骨堅く、髪の長極まり、身体盛壮なり。

五七にして陽明の脈衰え、面初めて焦(やつ)れ、髪初めて堕つ。

六七にして三陽の脈上に衰え、面皆焦れ、髪初めて白し。

七七にして任脈虚し、太衝の脈衰少し、天癸竭き、地道通ぜず。故に形ついえて子なきなり。

天癸:馬蒔の説「天癸とは陰精のことである。思うに腎は水に属し〔十干の一たる〕、癸も水に属し、
かつ先天の気の蓄積が極まって生じるものであるから、陰精を天癸というのである」。
馬蒔の注解からわかることは、「天癸」とは腎気によってその生成を促されるものだということである。

※太衝とは腎脈と衝脈と合して盛大であるので太衝という。古人はこの経脈と女子の月経とは極めて重要な
関係があると考えていた。

※地道通ぜず-月経停止

 

『霊枢』五音五味篇 第六十五

衝脈、任脈、皆胞中に起こり、上りて背裏を循り経絡の海と為る。

経脈で考えると任脈衝脈は子宮との関りが深い。

 

 

2.月経

一般的な月経周期は25日~38日間です。

月経周期を調節しているホルモン分泌の中枢は視床下部にあります。

視床下部からゴナドトロピン放出ホルモンが分泌され、下垂体を刺激し、
下垂体からFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体化ホルモン)が分泌されます。

FSHは卵胞を発育させる働きがあり、LHは成熟した卵胞を排卵させます。
排卵後の卵胞は黄体となり、黄体からはプロゲステロンが分泌され、
子宮内膜が着床しやすいように変化させます。
妊娠が成立しなければ、プロゲステロンが低下して子宮内膜が剥がれ落ち
月経が来ます。

月経周期を調節するこの一連働きを、視床下部-下垂体-卵巣系と呼ばれます。

排卵を境に卵胞期(低温期)と黄体期(高温期)に分かれます。

 

条文

『霊枢』五音五味篇 第六十五

今婦人の生、気に余りありて、血に足らざるは、其の数しば血を脱うを以てなり。

※数しば血を脱う:婦女に月経があることをいう。

 

『素問』評熱病論篇 第三十三

月事来たらざる者は、胞脈閉ずればなり。胞脈なる者は、心に属して胞中に絡す。今気上りて肺に迫り、心気下通することを得ず。故に月事来たらざるなり。

 

『素問』腹中論 第四十

病血枯と名づく。此れこれを年少の時に大いに脱血する所あるに得。もしくは酔うて房中に入り、気渇き肝を傷る。故に月事衰少して来らざるなり。

 

☆脈状関連

濇脈

『診家枢要』

尺の濇は、男子は傷精、及び疝なり。女人は月事虚敗なり。もし孕あれば、胎漏、安からざることを主る。

※月事虚敗:月経不順。

※胎漏:病証名。胞漏,胎前漏紅ともいう。気血の虚弱・腎虚・血熱などによって衝任が固守されず,
血を統摂し胎を養うことができなくなって,少量であるが不意に子宮出血をおこすもので,
腰腹痛や小腹の下墜感を伴なわない病証をいう。

 

『瀕湖脈学』主病詩

女人、孕に非ざれば即ち経無し。

 

滑脈

『診家枢要』

滑にして、断絶して匀しからざる者は、経閉をなす。(中略)尺の滑は、相火の炎によりて、引飲多く、臍冷え、腹鳴る。或いは時に下利し、婦人は血実気壅し、月事不通するを主る。もし和滑ならば、孕することをなす。

滑脉で途切れてととのっていない者は、経閉をなす。

右の尺中の滑は、相火の炎によって、口渇が甚だしくなり、水をよく飲むことが
多く、臍が冷え、腹が鳴る。或いは時に下痢をし、女性は血が実し気が塞がって、
月経がなくなることを主る。もし和滑の脉ならば、妊娠することをなす。

 

遅脈

『診家枢要』

尺の遅は、腎虚して便濁し、女人は不月す。

 

その他

『診家正眼』

婦人尺脉微遅、居経となす。月事三月に一たび下る。

微遅とは、虚寒の診なり。居経とは、猶、停経と云うがごとし。三月に一たび下るは、血不足となす。

婦人の尺中の脉が微遅となるのは、居経とする。
これは月経が三か月に一回起こる。

微遅とは、虚寒の病状である。居経とは、停経というのと同じである。
月経が三か月に一回起こるのは、血不足である。

 

 

3.筋腫 嚢腫など

子宮筋腫は平滑筋に発生する良性腫瘍。発生、増大にエストロゲンが関与する
エストロゲン依存性疾患。貧血、月経過多、不正性器出血、月経痛などの
症状がある。

良性で無症状であれば、経過観察。薬物療法であればGnRHアゴニスト、
筋腫核手術など。

できる場所により筋層内筋腫、漿膜下筋腫、粘膜下筋腫に分かれる。

 

『素問』骨空論 第六十

任脈の病たる、男子は内に結して七疝たり。女子は帯下・瘕聚たり。

※帯下瘕聚:呉崑の説「帯下と住白や赤の帯下のことである」。

馬蒔の説「瘕聚とは積聚のことである」。

瘕聚:婦人が任脈に病を受けておこす証候である。主な症状は、腹の臍の下に硬い塊があって、
これを推すと移動し、痛みも一定しない。

 

『霊枢』経脈篇 第十

肝 足の厥陰の脈は(中略)是れ動けば則ち腰痛み、以て俛仰すべからず、丈夫は㿗疝し、婦人は少腹腫れ…

 

『霊枢』水脹篇 第五十七

石瘕は胞中に生じ、寒気子門に客し、子門閉塞し、気通ずるを得ず。悪血当に写すべきに写せず、衃以て留止し、日び以て益ます大にして、状は子を懐くが如く、月事時を以て下らず。皆女子に生ず。導きて下すべし。

※衃以て留止す:『説文』の説「衃は固まった血である」。張介賓の説「衃は固まり腐った血である」。
「衃以て留止す」とは瘀血が内部に停滞することである。

「瘕」は『説文』には「瘕は女の病である。」

「石瘕は子宮の内部にできるもので、寒気が子宮の入り口に
侵入することによって、子宮の入り口を閉じさせ、
気血がスムーズに流れなくなり、悪血が排泄されず、そのため凝り固まった
かたまりが子宮の内部に停滞し、だんだん長く大きくなり、
その形は妊娠したようになり、月経が時期通りに来なくなります。
こうした病はいずれも女性に生じます。
治療するには、凝集した瘀血を通じて除くようにすべきです」。

 

☆脈状関連

牢脈

『察病指南』

尺脉牢なるは、男子は、陰疝、偏墜を主り、女人は、血崩、瘕聚を主る。(胞と腎虚冷してしからしむ。)

 

『診家正眼』

 癥瘕(ちょうか) 沈実に宜しく、虚弱を忌む。

○癥瘕(ちょうか)=癥瘕(ちょうか)は腹内の痞塊をさし,脹れたり痛んだりする
一種の病証である。固定して移動せず,痛みも一定の場所にあるものを
癥(ちょう)といい,集まったり散ったりして,痛みも一定の場所にないものを
瘕という。《聖済総録》などでは積聚と類似しているとしている。
癥瘕(ちょうか)は多くは下焦に生じ,気分の抑鬱や飲食による内傷によって
肝脾が損われて,臓腑の調和がみだれ,気機が阻滞し,瘀血が内に滞り,長びいて
だんだんと積もって成ったものである。
また正気の不足も本病発生の主な原因となる。

 

 

4.不正出血

不正出血とは月経時以外に出血があった場合、全てが不正出血です。
原因は多岐にわたります。
まず「器質性出血」と「機能性出血」の二つに分けられます。

「器質性出血」とは、子宮、卵巣、膣などに腫瘍、炎症、外傷等によって起こる
出血です。良性と悪性に分けられます。

悪性の出血は子宮頸ガン、子宮体ガン、子宮肉腫等。

良性の出血は子宮筋腫、子宮膣部びらん、子宮頸管ポリープ、子宮内膜症、
子宮内膜ポリープ等があります。

その他、子宮外妊娠や性交による接触出血等があります。

「機能性出血」とは、主にホルモン(主に卵胞ホルモンや黄体ホルモン)の
分泌バランスの乱れによる出血です。月経は女性ホルモンの分泌によって
コントロールされています。そのためそのコントロールが乱れることで
女性ホルモンの分泌バランスが崩れ、不正性器出血として表れます。
原因はストレスや急激なダイエットです。
また排卵の前後にはホルモンの急な変化がおこるために出血する
中間出血(排卵出血)、着床の時期や更年期の女性にも起こることがあります。

 

条文

『素問』陰陽別論篇 第七

陰 虚し陽 搏つ、これを崩と謂う。

※崩:下血が多くて速い状態を「崩」といい山が崩れるように血が下ることを形容している。

馬蒔の説:尺脈がすでに虚し、陰血が欠損し、寸脈は搏動していて、虚火がますます燃えさかるありさまを
崩という。思うに火が迫って血が妄行するのである」。

『診家正眼』の解説:陰血、下に虚すときは、陽火、上に亢す。それ血は火に迫られ、その位に安んずること得ざることをなす。乃ち崩漏となす。

 

☆脈状関連

牢脈

『察病指南』

尺脉牢なるは、男子は、陰疝、偏墜を主り、女人は、血崩、瘕聚を主る。(胞と腎虚冷してしからしむ。)

○血崩=崩漏の一つ。崩中ともいう。婦女の陰道より、大量の出血があるもの。子宮出血の甚だしいもの。
山崩れに様相が似ているのでこう呼ばれる。

 

革脈

『察病指南』

革は、満つるとなし、急(ひき)つるとなし、虚寒相い搏つをなす。婦人は、半産、漏下、男子は、亡血、失精なり。

 

『診家枢要』

婦人は、半産漏下し、男子は、亡血失精す。

 

『診家正眼』

右尺、革を診るは、殞命の憂いとなす。女人これを得るは、半産漏下す。

 

『瀕湖脈学』體状主病詩

女人は半産、並びに崩漏

 

微脈

『診家枢要』

尺の微は、敗血止まらず、男子は傷精尿血し、女人は漏下崩中す。

 

『診家正眼』

 崩漏 微弱に宜しく、実大を忌む。

 脱血 陰脉に宜しく、陽脉を忌む。

 

 

5.発生学

条文

『霊枢』経脈篇 第十 

人始めて生ずるや、先ず精を成し、精成りて脳髄生ず。

「人が懐胎する初めは、男女が会って精が成り、その後に精から発育して、脳髄が生ずる。」

 

6.妊娠

条文

『霊枢』血気篇 第三十 

両神相搏(まじ)わり、合して形を成す。常に身に先んじて生ずるを、是れ精と謂う。

※両神相搏(まじ)わる:張介賓の説「両神は陰陽である。搏は交わるである」。男女の交わりをいう。

 

『素問』平人気象論 第十八

婦人手の少陰の脈動くこと甚だしき者は、子を妊めるなり。

 

『霊枢』論疾診尺篇 第七十四

女子の手の少陰脈動ずること甚だしき者は、子を姙(はら)む。

 

『素問』陰陽別論篇 第七

陰 搏ち 陽別かたる、これを子ありと謂う。

※陰 搏ち 陽別かたる: 高士宗の説「陰気が旺盛になりすぎて内に搏動して陽と調和しない」。
王冰の説「陰とは尺中をいう。搏とは手に搏動を感じることである。
尺脈の搏動が寸口とは異なって陽気が別かたれていれば妊娠の兆候である」。

「陰脈が指の下で搏動し、陽脈と明らかな区別があれば、これは懐妊の現われです。」

 

☆脈状関連

滑脈

『察病指南』

右手の尺内の脉滑なるは、下焦に実熱あり。(中略)婦人は、血気実して、経月通ぜざるを主る(しかして尺脉滑なるは、また本形なり。脉賦解義にいわく、尺脉滑なるは、胞絡の極冷を主る。女経調わざればすなわち滑を以て陰脉となすなり。和滑なるは、妊娠となす。

 

『瀕湖脈学』主病詩

下は蓄血、女脉調う時、定めて胎有り。

「下は蓄血し、女性で尺中部の脉が調った滑脉の時は、きっと妊娠している。」

 

代脈

『察病指南』

代脉は陰に属す。指の下にこれを尋ぬれば、往来緩くして動き、しかして中止して自ら還ることあたわず、よってまた動く。あるいはいわく、蔵絶して中止し、余蔵代わりて動くを代というと。形容羸痩し、口に言うことあたわざるを主る。(老いてこれを得るは生き、少(わか)くしてこれを得るは死す。婦人また然るなり。孕むことありて、三月余日を約すなり。代は五蔵気絶の脉をなす。)

 

その他

『察病指南』

脉動じて産門に入る者は胎あるなり。(尺脉の外に出るをいうは、名づけて産門という。)

尺中の脉の数にして旺する者は、胎あるの脉なり。(一にいわく、細滑にして絶えざる者これなりと。一にいわく、脉微なるはこれ経脉閉塞して胎をなすなり。あるいは数を帯びるは、これ血盛んなるの脉、胎あるなりと。)

脉が動いて産門に入る者は妊娠している。(尺脉が外に出ることを、名づけて産門という。)

尺中の脉が数で旺盛な者は、妊娠の脉である。(一つには、細滑で途絶えない者はこれであるという。一つには、脉が微になるのは、経脉が閉塞して妊娠をなすのである。あるいは数を帯びるのは、血が盛んになる脉で、妊娠しているという。)

 

 

7.妊娠中の症状

『素問』奇病論 第四十七

黄帝問いて曰く、人重身なるあり。九月にして瘖(いん)す。此れ何のなせるや。岐伯対えて曰く、胞の絡脈絶ゆるなり。

帝日く、何を以てこれをいうや。岐伯曰く、胞の絡なる者は腎に繋がる。少陰の脈は、腎を貫き舌本に繋がる。故に言(ものい)うこと能わず。帝曰く、これを治することいかん。岐伯曰く、治することなきなり。当に十月にして復すべし。

黄帝が問う。「婦人が妊娠九箇月になって、声が出なくなることがあるが、これはどうしてか」。

岐伯がいう。「子宮に分布している絡脈が、胎児に圧迫されて、阻まれて不通になるからです」。

黄帝がいう。「それはどのように解釈したらよいのか」。

岐伯が答える。「子宮の絡脈は腎蔵と連系しています。その少陰腎経の経脈は腎蔵を通過して舌根に連系しています。そこで子宮の絡脈が阻害されると、声が出なくなるのです」。

黄帝がまたいう。「治療はどうするのか」。

岐伯がいう。「治療の必要はありません。満十箇月になって分娩すれば、自然に治ります。」

 

『素問』奇病論 第四十七

人生れながらにして癲疾を病む者あり。病名づけて何と曰うや。安れの所にかこれを得るや。岐伯曰く、病名づけて胎病となす。此れこれを母の腹中に在る時に得。其の母大いに驚く所ありて、気上りて下らず、精気并居す。故に子をして発して癲疾とならしむるなり。

「生まれつき癲癇を病む人がいるが、病名は何というのか。またどうしてこの病にかかるのか」。

岐伯がいう。「病名は胎病といいます。これは胎児が母親の胎内にいたときに、母親が非常に大きな精神的ショックを受け、気が逆上して下らず、精気も集まって散らなくなり、その影響が胎児に波及したのです。そのために子供は生まれながらの癲癇病となったのです」。

 

『素問』六元正紀大論篇 第七十一

黄帝間いて曰く、婦人の身重なるは、これを毒することいかん。岐伯曰く、故あれば損することなく、また損することなきなり。帝曰く、願わくは、その故の何の謂いなるかを聞かん。岐伯曰く、大積・大聚は、それ犯すべきなり。衰えること太半なれば止む。過ぐる者は死す。

黄帝が質問する。「婦人が懐妊している場合に有毒の薬を用いれば、どのようになるか」。

岐伯がいう。「然るべき病にかかっていれば用いるべきであり、その場合には胎児を傷つけることもなければ、母体を傷つけることもありません」。

黄帝がいう。「その病とはどういうことなのか、お聞かせ願いたい」。

岐伯がいう。「腹内に気が鬱積したりしこりができたりする病にかかった場合は、それを除去するために有毒の薬を使用してもかまいません。ただし慎重に行い、病が半ば以上除去されれば、即座に投与をやめなければいけません。薬を使い過ぎれば、死亡させかねません」。

 

出産前

『素問』腹中論 第四十

何を以て懐子の且(まさ)に生まれんとするを知るや。岐伯曰く、身に病ありて邪脈なければなり。

 

『察病指南』

尺脉沈細にして滑なるは、あるいは離經なり。夜半に痛むことを覚えて、日中にすなわち生ずと。

○離経=妊婦の分娩の期間の脈拍は速さが増しており,このようなときも離経脉という。

 

☆脈状関連

濇脈

『察病指南』

左手の関上の脉濇なるは、肝の蔵の虚にして、血散失し、肋脹、脇満を主る。(両の腋の下に骨あるところを肋となす。肋は勒なり。以て五気を肋下に勒す。骨の無きところを脇となす。)通身疼痛し、女子は孕(よう)胎の痛みあり。孕むこと無きは敗血なり。(崩中、漏下という。あるいは血瘕、月信調わずの候、これなり。)

○孕胎=はらむ、妊娠する

○血婦人の癥瘕の一種。八の一つ。月経不順、飲食過度により血が経脈の
外に
溢れ、邪気と結聚し小腹の間に留滞し、蓄積して起る。
主な症状は、石のように硬い積気の塊が少腹にあって急痛し、
生殖器に冷感があり、あるいは背骨が痛み、腰が痛くて動くことができないなどが
ある。
血塊、婦人内生殖器の腫瘍などに類する。

 

『診家枢要』

女人孕あれば、胎痛をなす。孕なければ、敗血の病をなす。

○胎痛=妊娠中の腹痛で、下腹部が重く、出産しそうな感じをともなう。

 

『診家枢要』

尺の濇は、男子は傷精、及び疝なり。女人は月事虚敗なり。もし孕あれば、胎漏、安からざることを主る。

 

 

8.不妊

不妊症とは、夫婦が妊娠を希望し1年以上性生活を行っているにもかかわらず、
妊娠しない場合をいう。

不妊症の原因

ⅰ内分泌排卵因子:卵巣機能不全、多囊胞性卵巣症候群、高プロラクチン血症、
ストレス・ダイエット

ⅱ頚管因子:頚管粘液(おりもの)の問題

ⅲ卵管因子:ピックアップ障害、卵管閉塞・狭窄、卵管周囲癒着、卵管水腫

ⅳ子宮因子:子宮奇形、子宮筋腫、ポリープ、内膜が薄い

ⅴその他:子宮内膜症、着床不全

以上の原因に対する基礎的な検査を2周期ほどかけて順次行う。

 

検査

ⅰ内分泌排卵因子:基礎体温、ホルモン測定、超音波検査

ⅱ頚管因子:フーナーテスト(頚管粘液と精子の相性をみる。
相性が悪いと精子が子宮内に侵入できない)、頚管粘液検査

ⅲ卵管因子:卵管造影検査(造影剤を子宮口から注入し、卵管の通過性や
子宮の形をみる)、超音波検査、クラミジア検査

ⅳ子宮因子:卵管造影検査、超音波検査

 

一般的には以下の治療法を3-6周期行い、結果が出なければ次の治療法に
ステップアップする。

検査の結果や年齢、本人の希望によって初めから高度な治療から入ることもある。

2015年で不妊の検査や治療を受けた事がある夫婦は5.5組に1組。

検査をしても原因が分からないこともある。
また女性には治療に伴う検査や投薬により大きな負担がかかる。

若いうちから治療を開始した方が妊娠・出産率は高い傾向にあるが、
不妊治療は止めるまで続き終了の決断が難しく大きなストレスがかかる。

治療とともに、気持ちにどう寄り添うのかも重要。

 

条文

『素問』骨空篇第六十

督脈の病たる(中略)其の女子は孕まざる…

 

☆脈状関連

濇脈

『診家正眼』

婦人尺脉微弱にして濇は、少腹冷え、悪寒し、年少これを得るは子無く、年大これを得るは絶産となす。

 

『診家正眼』

男婦を問わず、凡そ尺中沈濇なるは、必ず嗣(し)に難す。正に血少なく精傷るの故なり。もし子を懐して濇脈を得れば、則ち血、以て胎を養うに足らず。

 

微脈

『察病指南』

尺寸ともに微なるは、男子は五労、婦人は絶産す。

○絶産=①婦女が病により,一生妊娠しないこと。

 

『診家枢要』

尺寸ともに微は、男子は五労、婦人は絶産の脉。

 

 

9.流産

☆脈状関連

革脈

『察病指南』

革は、満つるとなし、急(ひき)つるとなし、虚寒相い搏つをなす。婦人は、半産、漏下、男子は、亡血、失精なり。

 

『診家枢要』

婦人は、半産漏下し、男子は、亡血失精す。

○半産=流産のこと。小産ともいい,月たらずに産まれること。労役や驚動,または
禁忌を犯すことによっておこる。

○漏下=子宮出血のこと。月経でもないのに出血し,
淋瀝して止まないことをいう。

女性は、流産や子宮出血をし、男性は、失血や失精をする。

 

『診家正眼』

右尺、革を診るは、殞命の憂いとなす。女人これを得るは、半産漏下す。

 

『瀕湖脈学』體状主病詩

女人は半産、並びに崩漏

                 

弦脈

『診家正眼』

婦人経断じて躯あるも、その脉弦なるは、後必ず大いに下り、胎を成さず。

弦は、肝脉なり。肝は疏泄を主る。今弦を見せば、則ち肝木太過、血を蔵することあたわず。

 

散脈

『瀕湖脈学』

産は生兆となし、胎は墮となし、妊娠中のときは流産の兆しとし

 

 

10.産後

『察病指南』

胎蓐(じょく)、脉緩滑沈小細なる者は生き、実大弦急堅牢なる者は死す。

○胎蓐=蓐はしきわら、むしろ、坐ったり寝たりするときにしく敷物の意味。
産蓐は出産のときの産
婦の寝床を意味するから、胎蓐とは出産後のこと。

 

『診家枢要』

婦人すでに産ぜば、脉小実に宜し。

 

 

脈状資料(『新版漢方鍼医』より抜粋)

滑脈

脈の流れ方が滑らかで滞ることがなく、球が転がるような脈です。
主に痰飲、食滞、実熱等を意味します。また妊娠の際によく診られる他、
健康な人にも診られる脈です。

*妊娠の場合

月経が停止してのちに滑脈が現れるのは、妊娠により気血津液が充実して
調和していることを現しています。一般的には滑で数となります。

 

 

渋脈

脈の流れ方が滑らかでなく、弱く、細く、遅い感じを受ける脈で、
竹を刃物で削るような、やや不規則な感じの脈です。

 

 

牢脈

沈、伏、実、大、弦、長の混じた脈です。強く抑えて触れる脈です。
積聚や疝気に現れます。

「牢脈、似沈似伏、実大而長、微弦。」(『瀕湖脈学』)

「脈の虚実とは、濡なるものを虚となし、牢なるものを実となす。」(『難経』四十八難)

 

 

革脈

弦にして芤、鼓の皮を押す感じで中空です。放血、失精、婦人の漏下に現れます。

*脈理

慢性の出血、失精、半産(流早産)、漏下(慢性の性器出血)等で精血が不足し、
陽気がよりどころを失って外に浮越するために、脈は革となります。
動脈硬化等で、血管壁が硬くなるとともに血脈の不充が生じた場合にも現れます。

 

 

芤脈

浮大で柔らかく押すと中空で葱を摘んだような感じです。
吐血、下血等の失血の場合に現れます。

按ずるに、芤(こう)のなす義は、両辺ともに有りて、中央独り空の象なり。
診家正眼

 

 

微脈

脈の打ち方が細く、小さく、柔らかで指には脈がないように感じられます。

 

 

散脈

脈の打ち方が散漫でまとまりがなく、軽く押さえると脈が分散し、強く押さえると脈が感じられなくなります。気血ともに虚し、原気脱するを現わします。

 

参考文献

『新版漢方鍼医』

『難経解説』『難経鉄鑑』

『現代語訳黄帝内経素問』『現代語訳黄帝内経霊枢』『素問訳注』『霊枢訳注』

『察病指南』

『診家枢要』

『診家正眼』

『瀕湖脈学』

 
   
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