
妊活お役立ちコラム
2026/01/09
妊娠中/産後
妊娠中の感染対策|トキソプラズマとチーズ、リステリアとの違いも解説

「妊娠中は生ものを控えたほうが良いというけど、具体的にはどんな食材を避けたほうがいいの?」
「妊娠初期に知らずに生ハムを食べてしまった。赤ちゃんは大丈夫か心配」
「もしトキソプラズマやリステリア菌にかかったときの対処法を知りたい」
妊娠中に避けたい食材はたくさんありますが、中でもユッケや生ハムなどの生肉やナチュラルチーズ(加熱殺菌されていないチーズ)は、妊娠中に食べることで流産や、胎児に影響が出てしまう「トキソプラズマ」「リステリア菌」に感染する可能性がある食品と言われています。
そこで本コラムでは、トキソプラズマとリステリア菌について、原因食品や感染対策に必要なことについて解説していきます。
妊娠中に食べてはいけないもの全般についてはこちらの記事もご参考にしてください。
妊娠中に食べてはいけないもの、注意すべき食べ物
妊娠中は、お腹の赤ちゃんによくない影響を与える食材があり、食べてはいけない&摂取量を控えたいものがあります。妊娠をきっかけに食事の内容や栄養バランスを見直す方が多いのではないのでしょうか。赤ちゃんは母体から栄養をもらいながら成長するので、妊娠中は安全でバランスのよい食事を心がけることが大切です。本記事では、妊娠中に食べたり、飲んだりしてはいけないもの(流産などのハイリスクへつながるもの)や妊娠中に食べたり飲む際は、注意が必要なものについて説明しております。
もくじ
「トキソプラズマ」って何?

トキソプラズマとは、寄生虫の一種です。
感染することで、先天性トキソプラズマ症という胎児に影響を与える疾患になる可能性があります。
このトキソプラズマの抗体を持っている妊婦は、わずか7%程度と報告されています。
(トキソプラズマ妊娠管理マニュアル [第5版]では、2〜10%と記載があり、また地域によって保有率の差がみられます)
抗体の有無は、妊娠初期の血液検査でわかりますが、妊婦の抗体スクリーニングについて、産婦人科診療ガイドライン(2017 年)の「妊娠初期の血液検査項目は?」という質問において推奨レベルCとされています。
しかし、 現在では、胎児トキソプラズマ感染を予防し治療する母体治療法も認知されており、スクリーニング(スクリーニングとは、無症状の者を対象に、疾患の疑いのある者を発見することを目的に行う検査) が実施されている医療機関もあるそうです。
トキソプラズマの主な原因食品例
スーパーなどの店頭に並ぶ食肉製品は、
- ・加熱食肉製品(ハム、ソーセージ、ベーコン)
- ・非加熱食肉製品(生ハムやスーパーの店頭で並ぶ精肉)
- ・乾燥食肉製品(サラミ、ジャーキー)
に分けられます。
加熱食肉製品は食品衛生法により「摂氏63度で30分間加熱するか、又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌すること」とされていますので、トキソプラズマは死滅しているものと考えられます。
非加熱食肉製品と乾燥食肉製品は、加熱殺菌処理を施されていないので、トキソプラズマに感染する危険性があります。
赤ちゃんへの影響
通常、成人がトキソプラズマに感染してもおよそ8割は無症状と言われており、妊娠する前から抗体を持っていた場合は、胎児に影響はありません。
もし仮に、妊娠中に初感染した場合、胎盤を経由して胎児に移行し、
- ・流産
- ・死産
- ・水頭症
- ・脈絡網膜炎(目の病気)
などを発症する「先天性トキソプラズマ症」になる可能性があります。
現在は、残念ながら感染予防のワクチンはありません。
しかし、胎児に感染しても、必ず先天性トキソプラズマ症を発症するとは限りません。
トキソプラズマの感染経路
トキソプラズマは、生肉や寄生虫卵に汚染された猫の糞、その糞で汚染された土が感染源になるので、
- ・加熱不十分な肉
- ・洗浄不十分な野菜や果物
の摂取で感染してしまうケースが多く、
他には、
- ・飼い猫のトイレ掃除
- ・園芸
などもあり、頻度は低いですが、眼、鼻の粘膜や外傷でも感染すると言われています。

妊娠中の場合、トキソプラズマはまず胎盤に感染して、その後、胎児脳や肝臓などの臓器に感染します。
胎盤はトキソプラズマ感染が生じやすい組織であり、トキソプラズマ胎盤感染と胎盤機能低下から胎児発育不全を起こしたケースも報告されています。
しかし、胎盤の感染防御機構によって、胎児感染はある程度阻止されます。
また、母体感染から胎児感染の成立まで数ヶ月かかるとされています。
胎児感染のリスクは母体が感染した時期によって異なります。
妊娠初期の感染では胎児感染率は低い一方、症状は重度になります。
妊娠経過とともに胎児感染率は増加し、妊娠末期で60〜70%に達しますが、症状は軽度や不顕性(病気の過程が始まっているがまだ症状が表れていないこと)が多くなると言われています。

加熱が充分されていない肉
生肉(レアステーキ、生ハム、サラミソーセージ、ユッケ、パテ、馬刺しなど) は加熱が不十分なため、トキソプラズマが含まれているリスクがあります。
猫のふん
猫が、鳥やネズミなどの野生動物を捕食することで感染し、トキソプラズマ菌が排泄物に混入します。
家猫よりも、外に自由に出入りしている猫からの感染率が高いので、猫のトイレの掃除やガーデニング・畑仕事は注意が必要です。
どうしたら予防できる?
お腹の中の赤ちゃんとご自身を守るためにも、予防がとても重要になります!
生肉を触れた後は手を石鹸でよく洗い、まな板やシンクをこまめに洗浄することも予防になります。
トキソプラズマは、
- ・加熱処理(56 ℃、15 分以上)
- ・加熱処理(70 ℃、10 分以上)
- ・冷凍処理(-20 ℃、24 時間 以上)
により不活化するので、食材は必ず中まで火を通すように調理しましょう。
ジビエ料理などで使われるエゾシカも、トキソプラズマを保有していると言われておりますので妊娠中は避けましょう。
その他にも、土壌からの感染対策が必要です。
- ・土のついた野菜や果物は、しっかり洗ってから食べる
- ・ガーデニングや飼い猫の糞の処理は、よく手を洗う・手袋をつける
などの対策をしましょう。
「リステリア」って何?
リステリアとは、リステリア・モノサイトゲネスを病原体とする感染症です。
土壌や河川水、動物の腸管内などの環境中に広く分布する細菌であり、病原体に汚染された未殺菌の乳製品や非加熱の加工肉などを食べることで感染してしまう可能性があります。
日本でのこれまでの食中毒統計では、リステリアによる食中毒の報告例はありませんが、食品安全委員会の評価書によると、リステリア感染症の推定患者数は年間200人(平成23年)とされています。

リステリアの食中毒の主な原因食品例
リステリアの食中毒の主な原因食品例には、
- ・生ハム、パテなどの食肉加工品
- ・未殺菌乳、ナチュラルチーズなどの乳製品(カマンベールやモッツァレラ、チェダーなど加熱をせずに製造されるもの)
- ・スモークサーモンなどの魚介類加工品
があります。
非加熱加工食品などにはリステリア菌に注意が必要です。
食中毒の原因であるリステリア菌は冷蔵庫の中でも繁殖します。
国産のチーズでは「包装後加熱殺菌しております」などの記載があるものは大丈夫ですが、輸入のチーズや記載のないものは避けた方が無難です。
調理する際には充分に加熱すれば問題ありません。
胎児への影響
発症しても軽症で自然に治るとされていますが、リステリアに感染したときの症状の重篤度には個人差があり、悪寒、発熱、筋肉痛などインフルエンザなどの他の感染症と区別が難しい場合や、敗血症、髄膜炎、中枢神経系症状などを引き起こす場合(リステリア症)もあります。
また、妊娠中に感染すると流産や早産・死産を引き起こす原因となります。
赤ちゃんが産まれたあとも肺炎、敗血症、髄膜炎などの重大な新生児感染症を引き起こす危険がある感染症です。
「妊婦リステリア症に関する指針」では、菌に触れてから2ヶ月以上無症状、もしくは発熱を伴わず、筋肉痛のみなど軽症の場合、胎児への影響を心配する必要はないという見解が示されています。
また、菌に触れてもリステリア症になる確率は極めて低いことがわかっていますが、妊娠中は健康成人と比べて感染率が20倍も高くなるため、予防が重要です。
どうしたら予防できる?
リステリアは、他の一般的な食中毒菌と同様に75℃で数分加熱することで死滅しますが、4℃以下の低温や、12%食塩濃度下でも増殖できる点が特徴です。
冷蔵庫内でも増えるので、消費期限を守り、長期間保存せずに開封後は速やかに食べるよう心がけましょう。
他にも、
- ・調理環境を清潔に保ち、食品は食べる前によく洗う
- ・食品を安全な温度で保つ(冷凍庫で保存するなど)
- ・未殺菌の牛乳から製造された乳製品、総菜や出来合いの肉料理、肉パテやミート・スプレット(ほぐし肉)、低温燻製の海産物(スモーク・サーモンなど)の摂取を避ける
- ・製品ラベルに記載されている保管期間と保管温度を守る
なども対策になります。
問題のないチーズ
ナチュラルチーズを粉砕、加熱溶融し、乳化したものを「プロセスチーズ」といいます。
ナチュラルチーズ中の乳酸菌や酵素などの微生物は加熱処理後に死滅するので、安心して食べられるチーズです。
- ・スライスチーズ
- ・6Pチーズ
- ・ベビーチーズ
などもプロセスチーズに該当します。
事例
当院に通われていたAさんは、妊娠12週の時、通われていた産婦人科の検診で、血液検査をしたらトキソプラズマにひっかかりました。
すぐに専門のクリニックを受診し、詳しい検査をしました。
問診では、妊娠中〜過去数ヶ月の食生活について聞かれたそうです。
IgM・IgGというトキソプラズマに対する抗体項目で、どちらも陽性でした。
IgMは最近の感染を示唆することがありますが、長く陽性が続く場合や偽陽性もあるため、追加検査で感染時期の確認が行われました。
Aさんはその後の検査で「医師から21ヶ月より前の感染の可能性が高い」と説明されました。
さらに
- ・過去2回の妊娠時期を含む、過去のどこかで感染して抗体(IgG)ができていた可能性がある
- ・念のため出産後に臍帯血の検査と、1歳を過ぎたときにも検査を推奨
と説明を受けたそうです。
トキソプラズマやリステリアは感染後、必ずしも症状が出るわけではないため、気づかない内に感染している可能性があります。
このことから、妊娠中の方だけではなく、妊活中やこれから妊活を始めようと思っている方も、もしもの時のために感染予防に取り組むことは非常に重要となっています。
その後Aさんは、先日無事に赤ちゃんをご出産され、母子共に健康に過ごされているとご報告をいただきました。
まとめ
妊娠中は、生肉や未殺菌の乳酸品などの非加熱食品を通じてトキソプラズマやリステリア菌に感染するリスクがあり、流産・死産や胎児への悪影響につながる可能性があります。
感染しても必ず発症するわけではありませんが、予防のポイントとして、非加熱食品は避け十分に加熱し、消費期限・保存方法を守る。
また、食品・調理環境を清潔に保つことでトキソプラズマやリステリア菌の感染リスクは大きく下げられます。
過度に不安になりすぎず、正しい知識で赤ちゃんと自分を守りましょう。
参考文献
(1)『トキソプラズマ妊娠管理マニュアル [第5版]』u.ac.jp/cmv/pdf/toxoM_5.pdf
(2)トキソプラズマ症|国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ta/toxoplasma/index.html
(3)リステリア症|厚生労働省検疫所FORTH https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ta/toxoplasma/index.html
(4)竹内正人著『妊娠中から授乳中のママのための食事と栄養お悩み解決ブック』かんき出版
初筆:2022年5月10日
加筆修正:2026年1月9日
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