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妊活お役立ちコラム

2021/02/21

不妊カウンセリング

【対談】不妊治療の苦労~ご主人!夫婦関係が悪くなっていませんか?~

不妊治療は大変という声はよく聞くとは思います。

しかし夫婦の問題である筈の不妊治療はどうしても女性に負担がかかりがちです。

また、子供がいない事への矢面に立たされるのも圧倒的に女性が多いでしょう。
通院回数が多く、仕事や生活にも支障が出やすい不妊治療は夫婦の協力が必須です。



今回は「ご主人に気を付けてほしいこと」をテーマに、
院長と不妊治療を経験した楠本との対談形式でお伝えしたいと思います。

女性の辛さ、また男性の考えを伝えていきたいと思います。



【不妊治療中の女性の苦労】

〔通院の苦労〕

楠本:まず1番知っていただきたいのは通院の苦労です。


男性が通院に必要な日と言えば採精のある採卵・人工授精の当日だと思います。

でも持ち込みでしたら休む必要はないですよね。


付き添いで来られる方ももちろんいらっしゃって素晴らしいと思いますが、付き添いは必須ではないですよね。


一方、女性は丸一日休みとまではいかなくとも、半休を連日とる事があります。

あらかじめ休みを取る事が分かればまだいいのですが、「明日通院になった」という事は珍しくありません。


私も通院のために何度も遅刻や休みを頂きましたが、患者様や他の先生方に皺寄せが来るので心苦しかったですね。



松本:通院日はあらかじめ分からない事も多く、急に休みを欲しいと申し出ないといけない事も多いので、相当なストレスだと思います。

しかもそれがいつまで続くのか分かりません。

ましてやオープンにできない事の方が多く、大きな苦労があるのに、その苦労を誰にも理解してもらうこともできません。


私自身、会社員だった頃に急に休みを取れたか考えると、正直難しいです。

でもそれを何とか両立して通院されているわけですからね。

とても心苦しいなか通院されているケースも多いと思います。

それだけの覚悟を持っているのだということです。




楠本:女性も急に仕事のお休みを頂くのは現実難しいでしょうね。

でも休まないと何も進まないから休まざるを得ないというのが本音でしょうか。

私は理解のある職場だったので本当に助かりました。



〔子供は?と聞かれる事、友人が妊娠した!精神的負担〕

楠本:女性は何気ない会話で「子供はいた方がいいよ!」と言われたり、友人の妊娠報告でプレッシャーを感じる機会が多くあります。

語弊があるとは思いますが、自分は仕事をセーブして、金銭面に負担をおいながら不妊治療をしている時に、身近な人が苦労なく妊娠するとどうしても黒い気持ちが生まれてしまいます。

そしてそんな自分にまた自己嫌悪で嫌な気持ちになります。

女性はそういった精神的な辛さが多いと思うのですが、男性もやはり子供の事を聞かれたり、プレッシャーのようなものはあるのでしょうか?



松本:女性は何気ない会話や妊娠報告を受けた時は、強い衝撃があるのだろうなと思います。 
                  
そんな中自分を立て直して…本当につらいだろうなと思います。

男性も様々なプレッシャーはあるかもしれませんね。

しかし女性はより大きなプレッシャーにさらされていると感じます。

実際に通院の回数も比較になりませんし、通院のためのスケジュール調整も大変で、気を遣うことも多いです。

それが理解されなかったらとてもつらいことです。


〔生理の苦労〕

楠本:自分の体にはない事なので、100%理解する事は不可能なのは分かっていますが、女性は生理の期間は本当に不快です。

処理も面倒ですし、匂いなどにも気を使います。

私は生理痛があまりない方ですが、辛い人は顔を真っ青にしていましたし、寝込む方も多いですよね。

ただでさえ妊娠出来ずに精神的ダメージがあるのに肉体的なダメージが加わるのは辛いですね。



松本:以前「一周期の間で、本当に体調の良いのは1週間くらいしかありません。」とお話された方がいらっしゃいました。

生理中は生理痛や気分の変化、排卵期に一番体調が悪くなる方もおられます。

ずいぶん昔の話ですが、同僚が排卵痛のため救急車で運ばれた方もいました。

便秘や吹き出物、お腹の重さや気分の落ち込みが高温期に一番出てきついという方もよくおられます。

ただでさえ肉体的にしんどいことも多くて、しかもそれが定期的に来る中での妊活、尊敬しかないですね。



【ご主人にやってほしいこと】

楠本:ここまでは女性の苦労についてお話しました。

ただ、女性は覚悟を持って不妊治療に取り組まれているのでしょうし、ご主人に同じ苦労をしてほしいわけではないと思います。

病院の付き添いで仕事を休んで給料が減っても困りますし…。

でも私が色々お話を聞いてとにかくご主人に望む事は「不妊治療の当事者意識を持ってほしい事です」

私の主人がそうだったのですが、治療の報告をしてもどこか他人事のような感覚がありました。

私が不妊治療の報告をしなかったとしても、何も進捗を聞いてこないのでは?
とよく思いました。

そうなると不妊治療は夫婦の事なのに、女性だけの事にように感じてしまいますよね。



松本「夫婦の中で温度差を感じる」というお悩みをよく聞くことがあります。

これはタイミング療法の時期に多い印象です。

女性はすでに多くのことを勉強し行動されていることが多いので、どうしてもこの時期は知識の差が考え方の差として出ることが多いのかもしれません。

ある患者さんは体外受精にステップアップしたら、旦那さんも勉強して治療に前向きになり「旦那さんの行動が変わった」とお話されました。



楠本:以前、患者様で採卵後の凍結確認の電話がとてもストレスだという話を伺いました。

仕事の合間に隠れるように電話をかけていたらしいのですが


「何で自分ばかり!」


と不満が爆発して、凍結確認の電話はご主人担当になったそうです。


ご主人が自分で電話をかけた事で、凍結できたか不安な気持ちが分かってもらえたようです。

それまでは治療には他人事だったご主人に当事者意識が生まれるようになっとおっしゃいましたね。

男性は採精日さえ分かっていれば不妊治療は進むので、ますます2人の意識の差が広がってしまいます。

是非奥様の話を是非聞いてほしいです。



松本:「当事者意識」

すごく大事だと思います。

患者さんと病院の治療について話している時、「旦那は私の好きにしていいよと言ってくれる。だけど全て自分に任されているようで辛い」とおっしゃられていました。


ただ、知識面も奥様と共有できて、その中でできることを主体的にされている旦那さんもいらっしゃいます。

「お互いの気持ちのシェアするようにしたら、熱量の差が埋まって旦那さんの行動が変わった」と教えてくれる患者さんも多くおられました。

気持ちの共有ができると、当事者意識が高まり、変わっていくことが多いのかもしれませんね。




【ご主人、これは言わないように…】

〔正論・アドバイスは不要〕

楠本:よく「女性は共感を求め、男性は解決を求める。」

という言葉を聞きますよね。

これは不妊治療の当事者の夫婦でもよくある事ですね。

男性が良かれと思ってアドバイスした事が逆効果になってしまう事があります。

例えば

妻「薬の副作用で身体がだるくて辛い。」

夫「副作用が辛いなら薬を変えてもらうように相談したら?」


こんな会話はよくあると思います。

ご主人の言葉は正論ですが、奥様は正論やアドバイスを求めていないです。

既にスマホで副作用や別の薬に代えられないか調べていると思います。


私だったら「そうか、いつも辛いのを頑張ってくれてありがとう。無理しないで休んでいてね」と労わってほしいです。


そしてあわよくば家事を負担してほしいです(笑)。

男性の立場からすればどうですか?



松本:本当にその通りだと思います。

つい解決策を言ってしまいがちなので、肝に銘じています。

スタッフの先生達と接するときは、特にそれを注意してきましたので、昔に比べたらかなり変わったのではないかと…笑


まずは共感。

そして思ったことは(良いことは)口に出す。

極力心がけています。


男は「解決」が先にきがちなので。



〔根拠なく楽観的にならないで〕

楠本:なかなか授からなくて落ち込んでいる時に主人から

「心配しなくてもその内出来るって!」

と言われた時は大分腹が立ちました…。


あと、患者様でご主人から

「知り合いの夫婦は子供を諦めた後に授かったって!一旦うちも治療をやめたら授かれるんじゃない?」

と言われて憤慨していた方もいましたね。


この2つの発言は幾度となく聞いています。

でも授かっていないから治療をしていますし、年齢を重ねるとそれだけ妊娠しにくくなるから楽観的にはなれないですよね。

ご主人が楽観的になればなるほど奥様からすればご主人が不妊治療に対して他人事のように見えてしまいます。

不妊治療を重く考えてほしいわけではないのですが、軽んじてほしくはないのですね。

何であんなに楽観的なのでしょう?



松本:リアルに子どもを産み育てるというイメージをしたことがなかったりというような、脳や体が違うから考え方や認識に違いが出るのかもしれません。

でも落ち込んだりしている時に、旦那さんの前向きさに助けられたという話も伺うので、自分にないものを持っているというのは良い面もあるのだと思います。

普段からお互いの気持ちも話し合っていて、そこに自分事として捉えているということが根底に必要だと感じます。



【奥様注意!自分本位になっていませんか?】

楠本:ここまで男性への要望を話してきましたが、女性も気を付けないといけない事はたくさんあると思います。

不妊治療は女性がメインになるので、どうしても自分本位になりがちです。


正直ちゃんとは覚えていないのですが…

主人に何かアドバイスされた事があります。


でも「私の方が不妊治療に詳しいから口出ししないで」と返した事があります…。

私も採精のプレッシャーは分かりませんし、100%理解しあえる事は難しいですよね。

夫婦の事だから主人を蔑ろにしてはいけないなと反省しています。


松本:お互いの相手を思いやる心ですよね。

私の失敗談ですが、正論を言ったとしてもそれが伝わることは、ほとんどありませんでした。

多少なりとも感情的になっていますしね。

正論を言うのは決して正しいことではないのだなと思いました。

相手はその言葉を理解できたとしても、心では受け取れません。

まずは共感してその後に伝えたいことを言うようにしたら耳を傾けてもらえるようになりました。



【楠本の不妊治療を振り返って】

楠本:私は不妊治療に関しては主人に比べて圧倒的な知識があると自負していたので、治療に関しては一切口出しをさせませんでしたね。

でも不妊治療への熱量がかなり違ったので苦労しました。

まず、排卵日に合わせて夫婦生活を持つことすら大変でした。


ある日、「義務的に夫婦生活をもっても子供は出来ない」と言われて、かなり腹が立ちましたね。

この人はコウノトリが赤ん坊を連れてくると考えているのかなと真剣に思いました(笑)



不妊治療を色々経験したかった事もあって、妊活始めて半年ぐらいで不妊治療のクリニックに通い始めました。

そこでフーナー検査を受けたら、動いている精子は0で人工授精を勧められました。


主人にどう結果を伝えるか迷って

「再度フーナー検査を受けて様子を見る、もしくは精液検査を受ける」

どちらがいいか聞いてみました。



結果、再度私がフーナー検査を受けることになりました。

2回目のフーナー検査も動いている精子は0でした。

結果を伝えても主人は精液検査を受ける事に抵抗があったようですが、私も揉めたくなかったので、それ以上は言えませんでした。


その後、妊娠出来ない苛立ちが募り、勢いで「次の私の誕生日までに妊娠出来なかったら検査を受けてほしい。」と伝えました。

不服そうではありましたが、私の勢いに飲まれたのか承諾してもらいました。



その後、誕生日前に私は妊娠したものの流産。

流産から2ヵ月程経過した頃、主人はこう言いました。

「自然妊娠出来たから俺はもう検査しなくていいよね。」

これは結構イラッとしましたね。


でも自然妊娠出来たのは事実なので一応承知しました。



でもその後また妊娠できなくて、焦りが出てきたので、別の不妊治療のクリニックへの転院を決めました。

初診の予約の際に「ご主人はいらっしゃいますか?精液検査も受けられますか?」と聞かれました。



これは主人に当事者意識を持たせるいい機会と思い、付き添いで来る事への承諾を得ました。



初診の前日、あまり飲み過ぎないように忠告しましたが、プレッシャーがあったのでしょうね。

前日はかなりお酒を飲んで帰りました。

当日私は主人に「あなたも検査があるよ。サイセイすればいいから。」とだけ伝えました。

主人は”採精”の意味が分からずキョトンとしていました。

病院に着いてからは看護師さんが淡々と主人を採精室に連れて行ってくれたので、本当に助かりましたね。


主人の結果はあまり芳しくはなかったのですが、一度採精を経験すればかなりハードルは下がったようです。


人工授精のステップアップはスムーズにいきましたし、正直タイミング指導に疲れていたのでプレッシャーが減りましたが、やっぱり妊娠まで至りません。


そこで「このまま妊娠しなかったら体外受精のステップアップになる。子供が全てではないとは思うからステップアップしないのも有りだし、やれることはやってみるのも有り。どう思う?」と尋ねてみました。

主人は「やれる事はやろう」と答えました。

子供を希望している意志を感じたので人工授精5回を経て(6回目は排卵済みでした…)体外受精にステップアップしました。


妊娠出来ず私が落ち込んでいるとウンザリしていたり、子供がいる友人に会いたくないと言って怒られた事もあります。

これらはもっと話し合うべきなのは分かってはいますが、どうしてもぶつかる事は出来ませんでした。

心が疲れ切っている時に話し合う程のエネルギーがありませんでした。

なので患者さん、そあらのスタッフとの会話によって何度も救われました。

治療者である私の話を聞いてくれた患者様には本当に感謝しています。

でも患者様には私のような目にあってほしくはありません。

そのためにもご主人には是非奥様の気持ちを汲んでいただきたいです。



【最後に】

不妊治療の苦しみをご主人にも分かってほしいのですが、奥様から直接言われても素直に受け止められない事は多々あるでしょう。

第3者から言われる事で気付く事もあると思うので今回このような対談をさせていただきました。


奥様はご主人との子供を希望して頑張っています。

イライラしたりアドバイスをしたくなる事をまずはグッと押さえて、まずは奥様の話を聞いてあげてください。

ご主人が話を聞く事で奥様は救われます。


この記事の著作者

院長 松本 敏樹

不妊カウンセリング学会 認定不妊カウンセラー
一般社団法人「日本生殖医学会」会員
妊活コーチ/妊活コーチング
東京漢方鍼医会 代表

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。
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