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妊活お役立ちコラム

2021/01/25

不妊カウンセリング

流産された方へ -流産の悲しい気持ち 無理に立ち直らなくても大丈夫-

流産の辛さは計り知れません


そあら鍼灸院の楠本です。

今は子供がいる身ですが、私も患者様と同じように不妊治療を受け、流産も経験しております。


この文章は流産した後、多少気持ちが落ち着いた頃に書き留めたのですが、あまりにも主観が強いと思い公開していませんでした。

しかし、患者様から不妊治療中の人・流産を経験した人に対して心に寄り添うような記事を読みたいとのお声を頂きました。

そこでこの度、書き留めた文章を公開させていただきました。


流産の辛さは計り知れないです。
無理に元気を出す必要は全くありません。
今は弔う時です。


悲しみを少しずつ受け止める手助けが出来たら幸いです。



流産された方へ

今回は非常に悲しい思いをされたと思います。


今まで気を張った生活をされていたと思いますので、まずはゆっくり休んでください。

何か少しでも力になれたらと思いましてこのような文章を書かせて頂きます。




私の話をさせていただきます。


私自身も流産の経験があります。

子供を希望してから1年半で妊娠し、本当に嬉しかったです。


1年半という歳月は長くはない考える人は多いでしょう。
とはいえ、妊娠を期待しても真っ白な検査薬・下がった基礎体温・真っ赤な生理を見て落ち込む。

これが毎月ある続くことは本当に辛い日々でした。


周囲から「子供は〜?」と聞かれる事も地味に負担でしたので、妊娠が分かった時はようやく妊娠できた!!という喜びでいっぱいでした。


しかし妊娠後、次は流産の心配です。



今まで多くの患者様を見ていたので「『〜週に入れば安心』は存在しない」という事は充分理解していました。


検診で順調と言われた直後はホッとし、その後は気を引き締める日々です。


しかしクヨクヨ悪い事ばかり考えても仕方がないと思い、不安を抱えつつも主人と子供のいる未来を考えて過ごしていました。



7週に入った時に生理初日程度の出血がありました。
すぐに診てもらいましたが赤ちゃんも元気でした。


9週の検診の際、心拍・赤ちゃんの大きさに問題が無くお医者さんからも「90%出産までいける」と言われ、大きな関門を乗り越えたかと思っていました。


自分でも2回心拍確認できたら安心と思っていたので、両親、仕事に関わる他院の鍼灸の先生方、産院を紹介してくれた友人に妊娠報告をしました。


しかし11週の検診で随分内診に時間がかかると思っていたら若い女医さんから「心臓が止まっているね」と言われました。



「え????」



と声がでて、その後10週以降で流産された患者様の顔が浮かび、


「あぁ…自分もレアケースに当たってしまった…。」
とグルグルと頭によぎります。




「心拍が確認できなかった」
「2回目の心拍確認の際に心拍が停止していた」


こういった流産のケースを多くみていた為、大きさも順調で6週・7週・9週と問題が無かった自分の件を「レアケース」と思いました。




診察室を出て待合室で泣きじゃくる私を周りの夫婦はびっくりしたかもしれません。

看護師さんから会計まで別室に移動するか聞かれましたが、何も考えられず周りを見る余裕は全くなく、ただひたすら待合室で泣いていました。




帰宅後、全力で泣きました。




流産は珍しいことではない。



でもどうしてここまで週数が進んでから流産してしまうのか?


何も意識せず妊娠・出産をする人がいる中、自分はようやく妊娠したと思ったのにどうして今度は流産しなくてはいけないのか?




何故?


どうして自分がこんな目に合わなくてはいけないのかと泣き続けていました。






そんな中、流産の報告を受けた友人からこんなメールが届きました。



「また帰ってきてくれるといいね。」


確かに次に妊娠しても次の子と今回の子は全く別人です。




でも今回流産した子が「次の妊娠した時に帰ってきてくれる」と考える事は私の自由。


ならば次に妊娠し、無事出産できたら2回妊娠分の愛情を注ごうと決めました。

お腹に手をあて「次生まれたら倍の愛情を注ぐよ。相当しつこいよ、覚悟してね。」と呟きました。





翌日には大分気持ちが落ち着きました。



亡くなっているとはいえまだお腹に赤ちゃんがいる。

手術まで残り僅かの期間、赤ちゃんとの時期を大事に過ごそうと決めました。


手術の日が近づくにつれて喪失感は強くなりました。



いつまでも亡くなった胎児がお腹にいては感染症などの危険がある。

次の妊娠の為にも早く外に出さなくてはいけない。




しかも私は流産の原因を知るために胎児の染色体の検査を希望していました。

そうすると手術で胎児を出さなくてはならない。



でもまだ赤子はお腹の中に留まっている。

それを人為的に出そうとしている。



自然に出血したならば胎児の意志でお腹の外に出たと受け止められるが、私はお腹に留まっている子を出そうとしている。




そう思うとやるせない気持ちになりました。



迎えた掻把手術当日。



手術が怖いというよりも手術で赤子と離れる事を何よりも恐れていたので手術そのものより手術後の喪失感を心配していました。


しかし私の場合手術後、呼吸が苦しい上、腹痛でベッドの上でのたうちまわっていました。


病院の方針で痛み止めを極力使用しなかったのでしょうか?


患者様のお話を伺っても、手術後特に何もなかったという方が多いですが、私は痛みが強かったです。




精神的なダメージを予想していた手術後は

・予想外の手術後の体のダメージ

・次の妊娠では今回の子供が帰ってくると決意



これらのおかげか心穏やかに過ごせました。



街で赤ちゃんを見るとチクリと胸が痛くなる、妊娠している友人の話を羨む、そんな黒い感情もたくさんあります。


しかし流産を受け入れる事ができたおかげか次へ進む事ができたのかと思います。



コラム

私が流産した後、同僚から脳科学者の茂木健一郎先生のコラムを紹介してくれました。
コラムにはこのように書かれていました。




「いわゆる“前向きな考え方”はただの我慢。脳のエネルギーを消費するだけで、行動するためのエネルギーを消耗させてしまいます。確かに、悩みや不安に直面すれば『ポジティブにならねば』と自分を奮い立たせようとするかもしれませんが、それでは一時的にモヤモヤを回避しただけ。ネガティブな感情を引き起こしている根本的な原因に向き合っていないので、ストレスは解消されません」

「無力感や自己嫌悪とか、ネガティブな感情にとらわれている自分は弱い、ダメだと烙印を押して、まるで石鹸で手を洗うかのように、心の汚れを洗い落とそうとしてしまう。こうしたネガティブ無菌志向は問題です。体と同様に、脳や心にも、善玉菌だけでなく悪玉菌のような存在が必要。ポジティブ一辺倒でなく、ネガティブな思考があることで、脳と心の免疫力がアップするものなんです」

「ネガティブな感情をきちんと受け入れた人ほど、ポジティブな感情と一体となって、ものすごいパワーを生み出している実例がたくさんあります。欠点と長所は表裏一体なので、欠点も客観視してちゃんと見つめ、受け入れられるようになれば、ネガティブな脳からポジティブ脳へとスイッチを切り替えられるはずです」






無理に元気になろうとせず、悲しい事実を受け止める事が先決なのでしょう。


流産の報告をすると多くの方から

「流産したという事は妊娠できるという事。次頑張ってね。」

「流産した後は妊娠しやすいよ。」

と多くの方が未来へ向けた励ましをしてくれました。



しかし私自身はまだお腹に赤ちゃんがいると思うとなかなか次へと考えにくく、うじうじと考えていました。
しかし悲しみを受け入れられないと次に勧めません。



空へ還った子供を弔い、たくさん悲しむ事。

この期間に期限はありません。





たくさん泣いて悲しみ「いつまで引きずるの!!」と言われようが、悲しみを受けとめてゆっくり過ごしましょう。




空に還った赤ちゃんはまた、あなたのお腹に帰ってきてくれると信じています。


この記事の著作者

院長 松本 敏樹

不妊カウンセリング学会 認定不妊カウンセラー
一般社団法人「日本生殖医学会」会員
妊活コーチ/妊活コーチング
東京漢方鍼医会 代表

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。
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