受精卵のグレード
「受精卵のグレードって成績表みたいですね。」
とお話しされた方がいらっしゃいました。
確かにグレード(grade)には成績・評価という意味が含まれています。
学生の頃、成績表を見る事がドキドキであるように、
患者様も胚のグレードを確認する時はドキドキでしょう。
ただし、グレードがいい=妊娠できると考えがちですが、
胚のグレードは成績表のように絶対的なものではありません。
胚のグレードは主に
・成長スピード
・見た目
で決められます。
つまりグレードの高い胚は成長が早くきれいなもの。
グレードと妊娠率
ではグレードと妊娠率はどうでしょう?
病院のHPなどで
グレードごとの妊娠率を示していますが、
やはりグレードの高い胚は妊娠率が高いと言えるでしょう。
ではグレードの高い胚は妊娠できて、
グレードの低い胚では妊娠しないのでしょうか?
また、グレードの高かった胚を移植して妊娠できなかった人は、
もっときれいで成長が早い胚でないと妊娠しないのでしょうか?
これは移植してみないと分からない話です。
しかし、妊娠の有無はグレード以前に重要な点があります。
それは受精卵に染色体異常があるかないか。
「不育症学級 改訂版」には卵子・精子・胚の染色体異常が起こる割合について書かれています。
卵子 25%
精子 10%
受精卵 40%
胚盤胞 25%
卵子、精子も多少なりとも染色体異常はありますが、
受精の過程でも染色体異常が現れるため、
受精卵では40%も占めます!
そこから胚の成長につれて染色体異常の胚は自然淘汰されます。
それでも25%の胚盤胞には染色体異常が表れるのです!
グレードが高い胚の方が妊娠率が高いため、
染色体異常の胚は少ないのでしょう。
しかし、グレードの高い胚にも染色体の異常はあり得ます。
一方、グレードの低い胚に染色体の異常がなく出産までいくこともあります。
4BCと3CBの胚を移植して双子を妊娠
例えば当院の通われている患者様で、
4BCと3CBの胚を移植して双子を妊娠された方がいらっしゃいます。
ある病院ではBC、CBの妊娠率を20%程度と示していますが、
2つの胚が同時に着床するケースもあるのです。
染色体異常の有無が分からないとなると、
グレードでは妊娠の予想はできても実際のところは全く分からない話。
そうなるとグレード低いから…
と悩み過ぎるのは杞憂と言えるかもしれません。
とはいえ、グレードについて悩んでしまう事も致し方ない事。
では、グレードが低いと悩む時間をより良い子宮環境に変える時間に費やしてみてはいかがでしょうか?
不安から起こす行動ではなく、
未来を信じて行動を起こすことは、
発する言葉が変わり、思考が変わり、未来をも変える力があります。
何もしないとつい悪い方へと考えこんでしまいます。
子宮の環境を整えるのによい栄養素をしっかりとってあげ(ビタミンA、E、鉄分などが挙げられます)、
体をよく温め、
体をしっかり動かして血流をよくし、
よく眠り体を労わってあげてください。
鍼灸治療で着床しやすい身体づくりを行いたいとご来院される方は多くいらっしゃいます。
特に移植を控えている方はその傾向が顕著です。
今まできっと不妊治療でいっぱい無理をされてはいませんか?
まずは今までの自分をいっぱい褒めてあげましょう。
そしてしっかり自分を労わってあげる時間を持つ事で、
胚にとっても心地よい環境となるでしょう。
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