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妊活お役立ちコラム

2021/02/09

不妊治療解説

妊婦・妊娠希望の方の新型コロナウイルスワクチン接種について

2021年2月に入り、新型コロナウイルスの感染者数も徐々に減りつつあります。

しかし、会いたい人にも会えず寂しい思いをしている人、帰省・旅行を我慢した人、外食を控えている人、様々な我慢を強いられています。



新型コロナウイルスの関係で不妊治療を先延ばしにしている方もいらっしゃるでしょう。



そんな中、2月中旬から一部の医療従事者に対して新型コロナウイルスのワクチン先行接種が始まります。

新型コロナウイルスのワクチンについては未知な点もありますが、妊婦・不妊治療中の女性が接種していいのか、現時点での各学会の見解をまとめました。


どうぞ参考になさってください。



【厚生労働省】

厚生労働省から妊娠を希望している者に対して明確な意見は述べておりません。

しかし妊婦に対しては以下のように述べています。


第43回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会
予防接種基本方針部会 資料1-1
2020(令和2)年12月25日より
<有効性・有効性>
〇小児・妊婦・高齢者のデータが少なく、不明な点が多い。
<接種順位>
さらに、妊婦の接種順位について、国内外の科学的知見等を踏まえ、検討する。
<妊婦への接種>
妊婦であることが新型コロナウイルス感染症の重症化リスクとなるかについて、徐々に明らかになってきている。
一方で、現在行われているワクチンの臨床試験において、妊婦は対象から除外されていることから、妊婦に対する安全性・有効性は現時点では明らかでない。



【日本産婦人科学会】

日本産科婦人科学会は妊婦だけでなく、妊活中の方に対しても新型コロナウイルスのワクチン接種についての見解を述べています。


COVID-19ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する方へ
日本産婦人科感染症学会
日本産婦人科学会
令和3年1月27日
1 COVID-19ワクチンは、現時点では妊婦に対する安全性、特に中・長期的な副反応、胎児および出生児への安全性は確率していない
2 流行拡大の現状を踏まえて、妊婦をワクチン接種対象から除外することはしない。接種する場合には、長期的な副反応は不明で胎児および出生児への安全性は確率していないことを接種前に十分に説明する。同意を得た上で接種し、その後30分は院内での経過観察が必要である。器官形成期(妊娠12週まで)はワクチン接種を避ける。母児管理のできる産婦人科施設等で接種を受け、なるべく接種前と後にエコー検査などで胎児心拍を確認する。
3 感染リスクが高い医療従事者、重症化リスクの可能性がある肥満や糖尿病など基礎疾患を合併している方は、ワクチン接種を考慮する。
4 妊婦のパートナーは、家庭での観戦を防ぐために、ワクチン接種を考慮する。
5 妊娠を希望される女性は、可能であれば妊娠する前に接種を受けるようにする。(生ワクチンではないので、接種後長期の避妊は必要ない。)
患者さん一人一人の背景が違いますので、まずは産婦人科の主治医と十分にご相談ください。

Microsoft Word - COVID19ワクチン接種0127確定.docx (jsog.or.jp)



【日本生殖医学会】

日本生殖医学会からは米国生殖医学会の声明を紹介する形を取っています。



新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する日本生殖医学会からの通知
〜海外の動向について〜
(2020 年 11 月 17 日、12 月 16 日版)
・妊娠の予定がある、現在妊娠中である、または授乳中である者にワクチン接種を差し控えさせることを、タスクフォースは推奨しません。
※タスクフォース:緊急性の高い、特定の課題に取り組むために設置される特別チームのこと。
・不妊治療を受けている者や妊婦は、適正基準に従ってワクチン接種を推奨されるべきです。ワクチンは生きたウイルスではないため、ワクチンを投与したからといって妊娠の試みを延期する理由はなく、また、2回目の接種が完了するまで不妊治療を見合わせる理由もありません。
・新型コロナウイルス mRNA ワクチンは生きたウイルスを含まないため、不妊、妊娠前期または中期の流産、死産、そして先天異常のリスクを高めることはないと考えられています。

http://www.jsrm.or.jp/announce/213.pdf



まだ国内では統一した声明は出されていません。

また日本生殖医学会はあくまでも米国生殖医学会の紹介であり、日本生殖医学会からの声明ではない事をご了承ください。


そして、厚生労働省・日本産婦人科学会の共通認識としてはまだ妊婦への新型コロナウイルスワクチン接種の安全性・有効性は確立されておりません。


そして、日本産婦人科学会は器官形成期である妊娠12週はワクチン接種を避けること、今後妊娠を希望する人は妊娠前にワクチン接種を推奨しています。


今後のワクチン接種のスケジュールは、医療従事者が3月中、高齢者が4月1日以降、高齢者施設の従事者へのワクチン接種が4月以降であり、我々が接種するにはまだ先になります。


今妊娠されている方、妊娠を希望されている方もワクチンに対して様々な考えがあります。


一般の方へのワクチン接種までまだ時間がありますので、じっくり考えるきっかけとなればと思います。



【2021/5/30追記】
2021年5月12日に日本産婦人科学会からワクチン接種に対して新たな声明を発表しました。抜粋してお伝えします。


COVID-19 ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する

<中略>

現時点では、妊婦さんに対する接種について十分な知見がなく、各国で見解が分かれていますが、世界的な流行拡大と妊婦の一部で重症化することから積極的に接種をすべきという考え方が大勢を占めています。

<中略>

また、COVID-19 mRNA ワクチンの生殖に関する研究はまだ完了していませんが、現時点で胎児や胎盤に毒性があるとかワクチン接種を受けた人が不妊になるといった報告はありません。しかしながら、中・長期的な副反応については、今後も情報を収集する必要があります。日本産婦人科感染症学会および日本産科婦人科学会として、現状において以下の提言をします。

1. COVID-19 ワクチンは、現時点で妊婦に対して短期的安全性を示す情報が出つつあるが、中・長期的な副反応や胎児および出生児への安全性に関しては今後の情報収集が必要である。現時点では世界的に接種のメリットがリスクを上回ると考えられる。

2. 流行拡大の現状を踏まえて、妊婦をワクチン接種対象から除外しない。 特に人口当たりの感染者が多い地域では積極的な接種を考慮する。<中略>現時点で mRNA ワクチンには催奇性や胎児胎盤障害を起こすという報告は無いが、器官形成期(妊娠 12 週まで)は、偶発的な胎児異常の発生との識別に関する混乱を招く恐れがあるため、ワクチン接種を避ける。<中略>

3. 妊婦さんならびに妊娠を希望する方で、感染リスクが高い医療従事者、保健介護従事者、重症化リスクが高い肥満や糖尿病など基礎疾患を合併している場合は、ワクチン接種を積極的に考慮する。

4. 妊婦のパート8ナーは、家庭内での感染を防ぐために、ワクチン接種を考慮する。

5. 妊娠を希望される女性は、可能であれば妊娠する前に接種を受けるようにする。(生ワ

クチンではないので、接種後長期の避妊は必要ない。)

http://www.jsog.or.jp/news/pdf/20210512_COVID19.pdf

 

この記事の著作者

院長 松本 敏樹

不妊カウンセリング学会 認定不妊カウンセラー
一般社団法人「日本生殖医学会」会員
妊活コーチ/妊活コーチング
東京漢方鍼医会 代表

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。
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