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妊活お役立ちコラム

2024/08/21

不妊治療解説

CD138とは?慢性子宮内膜炎の検査と鍼灸治療

「予定通り生理が来ちゃう。原因だからわからなくて、不安しかない。」

「採卵が終わり、次の期間は移植。着床しやすくするために、重要なのか知りたい」

「何回も移植しているのに結果は陰性。良性胚なのに床につかないのは、子宮側に原因があるってのではないかと思うと、これまでの移植が無駄になったのではないかと悲しい。」


妊娠に至らない現在として、「卵側」「子宮側」「原因不明」の大きく3分類されています。

今回子宮側の原因の検査方法としてCD138を紹介します。
検査を受ける時間や金額、根治療後の妊娠率の比較など説明していきます。

    もくじ
慢性子宮内膜炎 着床


慢性子宮内膜炎とは? 〜慢性子宮内膜炎と妊娠の関係〜

慢性子宮内膜炎で炎症が起きている図
慢性子宮内膜炎とは、子宮内膜の深い基底層まで細菌が侵入し炎症が起こり、それが慢性的に続く疾患です。
生理が起こり子宮内膜が作られるたびに炎症を繰り返すために自然には治りません。

痛みなどなく、自覚症状が乏しいのが特徴となります。
時に不正出血や骨盤痛などありますが、炎症が卵管に及ぶことなどにより不妊症となる事もあります。

着床不良や妊娠初期での流産の原因の一つだと言われています。

女性の10%程度発症し、反復着床不全や、流産を繰り返す習慣性流産の既往をもつ女性の約40〜60%に慢性子宮内膜炎が認められるとも言われています。


CD138

CD138検査とは、着床不全や反復着床不全の原因となる慢性子宮内膜炎の有無を調べる検査を対象です。

慢性子宮内膜炎が起こっていると、子宮内膜組織に形質細胞が出現します。
形質細胞とは、細菌・ウイルスを攻撃する抗体を作り出し、感染の発生を阻止する細胞で、その有無を調べることで慢性子宮内膜炎の診断が可能です。


原因

慢性子宮内膜炎の原因は、大腸菌、連鎖球菌、エンテロコッカス、マイコプラズマ、クラミジアなどの細菌感染とされていますが、不明な部分が多いとされています。


検査対象

  • ・胚移植を数回行っても着床しない方
  • ・子宮内膜を調べたい方
  • ・流産を繰り返す方
  • ・不育症にお悩みの方など


検査方法

CD138検査では子宮内膜基層の組織を採取し、病理検査を行います。

病原体を撃退するために変化した形質細胞を免疫染色していきます。
染色された形質細胞の数を顕微鏡下で調べ、内膜炎の有無を診断します。

この検査は保険適応外となるため、全て自費となります。
そのため検査費用は病院により異なり1万〜4万円以上するところもありが、15,000円程度の病院が多いです。

検査時期は、生理が終わった後(生理10日目くらい)〜高温期の間です。


慢性子宮内膜炎の治療法


正常値は染色された形質細胞が20視野内の5個以下
5個以上認めた場合は、抗生剤療法を行います。

最初の抗生剤で1番多いのが「ビブラマイシン」
1日2回14日間の摂取となります。

再検査で治らない場合は、通常様々な細菌やウィルスの感染症が疑われます。
抗生剤を変えて(サワシリン、フラジール、アジスロマイシンなど)、再度14日間服用となります。

2周期の抗菌薬治療後、90%以上の改善がされているとしています。


子宮鏡検査(子宮内視鏡)

慢性子宮内膜炎はCD138の他にも子宮鏡検査でも判明される場合もあります。
その場合、子宮内腔の発赤、粘膜のむくみ、多数の小ポリープが見られたりします。

子宮鏡検査は、その場で結果を確認できることがございますが、子宮鏡だけでは子宮内膜炎の6割程度しか診断できないとされており、他の検査と併用する場合もあります。


慢性子宮内膜炎に類似している検査

EMMA検査

EMMA検査は子宮内の乳酸菌の種類と割合を測定し、子宮内の環境が受精卵を受け入れるために最適な状況であることを確認するための検査です。
子宮内の乳酸菌は着床から妊娠継続に重要な働きをしているとされています。

具体的には、ラクトバチルス属の菌
この菌が90%以上、子宮内に常在菌として存在し、子宮内の環境を良い状態に保っていることが重要なのです。

要は、子宮環境のために良い乳酸菌がどれくらいいるかの検査となります。


ALICE検査

慢性子宮内膜炎の原因となる菌を正確に検出する検査です。
EMMAとは逆に、悪い菌が子宮内にどれくらいいるかの検査となります。

慢性子宮内膜炎の検査は炎症が起こっているかどうかの検査で、ALICE検査はさらに細かくに炎症を起こしている細菌性病原体を特定する検査です。

炎症を起こす菌を特定することで、その菌に強く、適切な抗生物質を処方することができるのです。


検査方法

EMMA・ALICE検査も一緒です。
子宮内に細い管のようなものを挿入し、子宮内膜の一部を採取します。

組織を採取するときに多少の痛みがあるといわれています。
基本的には無麻酔下で実施されますが、心配な方は病院の医師にご相談してみても良いかもしれません。


検査時期

排卵後、高温期4〜6日後となります。


費用

病院によって違いますが大体60,000〜77,000円くらいとなります。



子宮内細菌叢検査(子宮内フローラ検査)

子宮内フローラ検査は、膣や子宮内に存在する細菌の種類やバランスを検査するものです。
具体的には、悪玉菌や善玉菌(ラクトバチルス属菌)の割合を調べます。

悪玉菌は、善玉菌が減ると繁殖しやすいです。
悪玉菌が多いことで他の病原性細菌やウイルスに感染しやすい環境を作ってしまいます。

検査の目的として、子宮内は乳酸菌の一種である善玉菌のラクトバチルスの割合が多い状態が好ましいとされ、検査結果を元に子宮内環境の改善を目指します。
それによって着床に適した子宮内の環境を作り、妊娠率の上昇が見込まれるのです。


EMMA検査との違い

以前掲載されていたVarinos株式会社によるWEBセミナーの資料で、子宮内フローラ検査と EMMAALICE検査の比較をこのように分析されていました。

EMMA正常は21.3%(子宮内フローラ正常は52.6%)
EMMA 異常は20.6%(子宮内フローラの異常は47.6%)

検査の種類により正常(LDM)、異常(NLDM)の割合が異なり、これは検査解析の方法や検査結果の解釈の違いによるものであることが示唆された。

また、EMMA/ALICEでは、子宮内の菌環境異常(EMMA_ABNORMAL 群)と診断された症例のうち、一部(19.8%)にCEを認めた(ALICE_Positeve)。

しかし ALICEでのCE陽性率は4.1%と他の検査方法よりも低く、EMMA/ALICE 検査のみをCE診断に用いるとCE 見逃しの可能性も懸念される。


要は、検査によっては結果が異なり、慢性子宮内膜炎の診断をEMMA/ALICE 検査のみにしてしまうと、見逃す可能性がありという事です。



検査時期

生理が終わったくらいの生理7日目から生理24日の間となります。
排卵期がより良いとしている病院もありました。


費用

自費治療なので病院によって異なりますが40,000〜60,000円となります。


治療後について

 A total of 796 patients (from five studies) were included. Women receiving antibiotic therapy (without the histologic confirmation of CE cure) did not show any advantage in comparison with untreated controls (OPR/LBR, CPR, and IR). Patients with cured CE showed higher OPR/LBR (OR 6.81), CPR (OR 4.02), and IR (OR 3.24) in comparison with patients with persistent CE. In vitro fertilization outcome was comparable between women with cured CE and those without CE (OPR/LBR, CPR, and IR). Miscarriage rate was not significantly different between groups.

合計796人の患者(5つの研究から)が対象となりました。 抗生物質療法(CE治癒の組織学的確認なし)を受けた女性は、未治療の対照(OPR/LBR、CPR、およびIR) CEが治癒した患者は、CEが持続する患者と比較して、OPR/LBR (OR 6.81)、CPR (OR 4.02)、およびIR (OR 3.24)体外受精の結果は、CEが治った女性と CEが治らなかった女性 (OPR/LBR、CPR、およびIR)で同等でした。ありませんでした。 【Google翻訳】



2019年に掲載された論文です。

5つの研究から合計796人を反復着床不全で慢性子宮内膜炎の患者さんを対象に、慢性子宮内膜炎治療後の妊娠成績を比較されたものになります。

結果として、この論文では抗生剤を使い慢性子宮内膜炎が治っている場合、
妊娠継続率が6.81倍
臨床妊娠率が4.02倍
着床率が3.24倍
という結果になりました。

流産率はグループ間で大きな違いはなかったとしています。


事例

鍼灸の中では、慢性子宮内膜炎などの治療として「蠡溝(れいこう)」のツボを使うことがあります。

蠡溝の主治
《素霊》主治:腸疝痛、下腹痛、骨髄炎より来る下肢の麻痺、子宮内膜炎、月経不順、ヒステリー、神経性心動悸亢進症、脊髄炎、尿閉、帯下異常、月経困難、子宮出血
『主治症から見る経絡経穴』編 儀間達哉 平成18年5月 初版 


当院にてこのツボにお灸を施し、月経痛の軽減や生理不順が解消された方も多くいらっしゃいますので、一例を紹介させていただきます。


Sさんはなかなか移植がうまくいかず、次の移植の前に何かできることはしたいと当院に来院されました。。

子宮環境を良くしていくことが大事だとお伝えしたところ、「今度、慢性子宮内膜炎の検査を受けるんです」と教えてくださいました。

結果としては炎症反応が起きており、2週間の抗生剤治療からスタートしていきました。


西洋医学では、科学的に炎症の所見が出ているかどうかを検査して調べていきます。
一方東洋医学では、身体のバランスを診ていきます。
それは、身体のバランスが崩れてしまうことで病が発生すると考えているからなのです。


Sさんの場合は、水の流れづらさが起こっており、ご自身でも「仕事終わりには足がパンパンに浮腫むので、重くてだるい」とおっしゃっていました。
脈を診ていくと、水分の停滞が起こっている脈をしていました。


またその影響で熱と冷えのバランスが乱れており、特にお腹から下半身にかけて冷えが強く出ていました。
そのためまずは水分の流れを整えるツボを使い治療を行っていきました。


さらに子宮周囲の血流をサポートするために、お灸を行った場所が「蠡溝」
家でのメンテナンスも蠡溝にお灸をしてくださいとお伝えしていきました。

治療を重ねていくと、今まで重かった生理痛が軽くなっていることにSさんは驚かれていました。
実は生理痛が重いせいで仕事を休んだり、ベットから起きられない時もあったりで、毎月生理がくるのが怖いとおっしゃっていたのです。

無事に抗生剤も飲み切り、ついに移植期間。

余分な水分が流れやすくなり、むくみも少しずつ軽減していきました。
すると、少しずつ熱と冷えのバランスも整っていき、お腹の冷えが落ち着いてきました。

結果は無事に着床
そして、先日無事に出産しましたと報告してくださいました。


まとめ

CD138の検査で陽性の場合抗生剤を投与し、適切な治療によって多くの場合改善をみます。

そのため移植前に慢性子宮内膜炎がないかどうか調べて、炎症があった場合は事前に改善しておくことで着床しやすい子宮環境作りにつながると考えられます。

また東洋医学的にはふっくらして柔らかいお腹・脈だと着床しやすい子宮環境だといわれるため、子宮環境の検査結果とともに着床しやすい身体づくりを行います。

胚移植 着床鍼灸


この記事の著作者

鍼灸師 柔道整復師 福田 真弓

「東京漢方鍼医会」会員

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。

この記事の著作者

院長 松本 敏樹

不妊カウンセリング学会 認定不妊カウンセラー
一般社団法人「日本生殖医学会」会員
妊活コーチ/妊活コーチング
東京漢方鍼医会 代表

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。
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