今使っている排卵誘発剤は、どのような目的で使っていますか?
当然、「排卵誘発剤」という言葉の通り、排卵をさせるために使います!
しかし不妊治療では、排卵できている方でも使う事があるんですね!!
例えば卵胞の数を増やすために使われたり、排卵に時間がかかる方に使われる事もあります。
要は「妊娠しやすくする」ことを目的に使われます。
実際、排卵障害ではないけれども、「妊娠しやすくする」目的で使っている患者さんの方が当院では多くいらっしゃいます。
不妊治療では、排卵誘発剤は様々な用途で用いられるため、とても使用頻度の高い薬です!!
排卵誘発剤の種類
では排卵誘発剤にはどのような種類があるのでしょうか?
・飲み薬
・注射
この2つに分けられます。
(注射についてはこちらの記事にまとめています「排卵誘発剤 注射の効果 HMG FSHなど…」)
簡単に説明すると、
飲み薬は脳からの指令を増やして卵巣に作用し、
注射は直接的に卵巣に作用します。
排卵誘発剤の作用 3種類の排卵誘発剤の特徴
では、それぞれの排卵誘発剤がどのように作用するか、
3種類の排卵誘発剤の特長をお伝えします。
〜・〜・〜・〜・飲み薬には主に3種類に分けられます〜・〜・〜・〜・
・シクロフェニル製剤 (例)セキソビッド
・クロミフェン製剤 (例)クロミッド、クロミフェン、セロフェン
・レトロゾール (例)フェマーラ
最もよく使われる薬はクロミフェン製剤です。
昔から多くの病院で使われています。
逆にシクロフェニル製剤を使う病院はあまりありません。
また、レトロゾールは最近使う病院が増えてきました。
【クロミフェン製剤】(クロミッド、セロフェンなど)
服薬すると、クロミフェン製剤はエストロゲン(卵胞から出るホルモン)の受容体にはまります。
クロミフェン製剤がエストロゲン受容体にはまってもエストロゲンは分泌されません。
そこで脳はエストロゲンが低下していると勘違いをし、より多くの化学物質が脳から分泌されて卵胞の発育を促進します。
脳の中で、エストロゲン受容体という鍵穴にエストロゲンがハマるべきところに、
クロミフェンが代わりにハマってしまいます。
そのため脳は鍵穴にエストロゲンが全然ハマってないものだから、エストロゲンを出せていないと勘違いしてしまうんですね。
だから脳としてはエストロゲンはもっと出させるために、
卵胞を発育させるホルモンを出す、ということです。
クロミフェン製剤は、エストロゲンの反対の作用があります。
そのため副作用として、
・子宮頚管粘液(おりもの)が減る
・子宮内膜が薄くなる
などが報告されています。
エストロゲンの作用として、子宮頚管粘液が増える、内膜が厚くなる効果があるためです。
排卵前におりものが増える自覚がある方もいらっしゃいませんか?
クロミフェン製剤は排卵障害はもちろん、
原因は特にないけれども処方される場合、
また黄体機能不全の改善として使用することもあります。
排卵させるため
いくつか卵胞を育てるために
良く使われる排卵誘発剤です。
【シクロフェニル製剤】(セキソビットなど)
薬の効き方はクロミフェン製剤と同じになりますが、シクロフェニル製剤は飲み薬の中でも最も刺激が弱く、副作用も少ないと言われています。
排卵誘発剤はクロミフェン製剤が主流のため、
当院ではセキソビッドを服用されている方は少ないです。
子宮頚管粘液が減ってしまう場合や、子宮内膜が薄くなる方は、病院によってはセキソビットが出ている方もいらっしゃいます。
タイミング療法、人工授精の時に出ている方はおります。
【レトロゾール】(フェマーラなど)
レトロゾールは元々、乳癌の治療薬です。
レトロゾールを服薬する事によって、エストロゲンの転換に必要な酵素であるアロマターゼを阻害し、エストロゲンの発生が抑えられます。
そこで脳から卵を育てる為に化学物質の分泌をより増やし、排卵を誘発します。
内膜が薄くなるなどの副作用は報告されていません。
PCOSの方や、採卵周期、中には移植周期に服用されている方達を対象に、
最近は当院でもフェマーラを服用されている方が増えております。
まとめ
以上が飲み薬の排卵誘発剤の特長です。
飲み薬の排卵誘発剤の使われ方は、