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妊活お役立ちコラム

2022/05/25

不妊治療解説

不妊治療の保険適用について〜メリット・デメリットは?〜



令和4年4月から不妊治療の保険適用が始まりました。


 

タイミング指導や人工授精などの一般不妊治療だけではなく、体外受精やTESE(精巣内から精子を採取する男性不妊の手術)も保険適用になりました。


 

これは不妊治療をされている方からすると、大きなニュースですね!

 


著者、楠本も不妊治療の経験をしており、金銭面に悩まされることは多くありました。


 

そして患者様と「早く不妊治療が保険適用してほしい!」という話題は何度も挙がっていました。

 


では不妊治療が保険適用されると何が変わるのでしょうか?

 


不妊治療の保険適用のメリット・デメリット、注意事項についてお話します。


 


保険適用によるメリット・デメリットは?


不妊治療の保険適用の最大のメリットはやはり金銭負担の軽減です


 

厚生労働省が令和2年に発表した「不妊治療の実態に関する調査研究」では体外受精の1周期あたりにかかる平均費用は501,284、人工授精は30,166です。

 


不妊治療が保険適用されれば、費用は1/3程度に抑えられます。


 

また、保険適用される診療に対して医療費が月の上限額を超えた場合は、超えた金額分を支給する「高額療養費制度」があります。

 


保険適用された不妊治療も高額療養費制度の対象になるので、金銭面を理由に不妊治療を躊躇していた人たちにとって、保険適用は大きな助けになるでしょう。

 


一方、不妊治療の保険適用のデメリットは決まった治療しか受けられないことです。

 


不妊治療は混合診療が認められていないため決まった治療法しか受けられません。

 


では混合診療とはどのようなものでしょうか?

 




混合診療ってそもそもなに?


混合診療とは?


保険診療と自由診療を同時に行うこと

 


例えば?


人工授精の日(保険診療)に不育症の治療のためのアスピリン(自由診療)を処方してもらう


 

これは混合診療になります。

 


では「同時」とは何を表すのでしょうか?

 


「同時」は治療1周期内のことです。生理が始まってから次の生理がくるまでの間を1周期とします。

 


つまり不妊治療は混合診療が禁止されるため、保険適用内の標準的治療しか受けられません。

 


決められた治療しか受けられないことが保険適用のデメリットです。


 

 

混合診療の例外−先進医療とは−


先進医療とは施設基準などを設定した上で


保険診療との併用を認め、将来的な保険導入に向けて評価を行う制度です。

 


先進医療に限って保険診療と並行して自費で治療できます。

 



現状認められている先進医療(令和4年5月1日現在)

 

・タイムラプス

受精卵を培養器に入れたまま観察でき、外部からのストレスを極力減らす培養器


・シート法

胚を培養した際に使用した培養液を一緒に注入して移植する方法


ERA検査

着床のタイミングを調べる検査


・子宮内細菌叢検査

子宮内の細菌を調べる検査。

EMMA検査ALICE検査は先進医療として認められている一方、子宮内フローラ検査は条件付きで先進医療に認められれています。


IMSIPICSI

精子の選択技術


・子宮内膜スクラッチ

わざと内膜に小さな傷をつけて着床を促す手法


・二段階移植法

タイミングをずらして2つの胚を移植する方法

 


これらは先進医療として認められているため、保険診療と並行して治療を受けられます

 


また、PGT(受精卵の染色体の数を調べる検査)、タクロリムス(反復着床不全に使用する薬)は現在審議中です。

 

 

 

体外受精の回数制限について


混合診療以外にも注意する点があります。体外受精の回数制限です。

 


体外受精は何回でも保険適用できるものではありません。年齢によって回数が制限されています。

 


40歳以下    1子ごとに移植の回数は回まで


4043歳以下  1子ごとに移植の回数は回まで


44歳以上の方は保険適用外

 


また、採卵に回数制限はありませんが、全ての胚を移植しないと新たに採卵できません。

 


回数が制限されているため、よく計画した上で治療を進める必要があります


 

まとめ


不妊治療の保険適用の最大のメリットは金銭面の軽減です。

 


これまで患者様からこんなお話を聞いたことがあります。

 


<家1軒建てられるほどのお金を不妊治療に費やした>


<本当はもっと治療をしたいけど、上の子の教育費を残したいからこれ以上は治療ができない>


 

高額な治療費はお財布だけではなく、精神的にもダメージが蓄積するので、金銭負担が減るに越したことありません。

 


一方、不妊治療ではまだまだ分からないことが多くあります。標準化した治療だけでは結果が出ない人もいるでしょう。

 

とはいえ、不妊治療を始めたばかりの方からすれば、まずは標準化された治療を受けることがセオリーです。

 


最初は保険診療で治療を受けて、結果が出なかった時に自由診療を視野にいれることがお勧めします。

 


特に体外受精を始めたばかりの方にとっては「保険診療」という選択肢が広がったことで、どう治療を進めればいいか混乱する方もいるかもしれません。

 


そんな時には是非、私たちにご相談ください。一緒に治療計画をたてていきましょう。




この記事の著作者

院長 松本 敏樹

不妊カウンセリング学会 認定不妊カウンセラー
一般社団法人「日本生殖医学会」会員
妊活コーチ/妊活コーチング
東京漢方鍼医会 代表

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。
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