妊活お役立ちコラム
2024/02/19
不妊治療解説
子宮内フローラの正常化にラクトフェリン|ラクトバチルスの比率はEMMAで
「妊活において、原因が不明で、何度も体外受精や顕微受精を繰り返しても妊娠反応が出なかったり、妊娠反応は出るものの妊娠が継続できずつらい思いをされている方へ」
今回の記事は、妊活がうまくいかず自信をなくしてしまった方へ、子宮内フローラの正常化という新たな視点を妊活に取り入れてみてはいかがですか??というご提案です。
最近話題のサプリ“ラクトフェリン”とは一体何なのか。
どんな作用が期待できるのか、薬剤師の立場から分かりやすく説明したいと思います。
“ラクトフェリン”と“ラクトバチルス”の関係性とは何か??
“子宮内フローラ”を正常にしたい方
着床環境を良くしたい方はぜひ最後まで目を通していただきたいと思います。
もくじ
ラクトフェリンとは
糖たんぱく質の一種で、哺乳類の乳汁、涙、唾液、膵液などに含まれる成分です。
牛乳の中から発見され、発見当初はレッドプロテインと呼ばれていましたが、鉄と結びつく作用が強いことが分かり、ラクト(=乳)+フェリン(=鉄と結合)と名付けられました。
ラクトバチルス菌とは
ラクトフェリンとラクトバチルスは混同しやすいところですが、ラクトフェリンはタンパク質でラクトバチルスは“菌”なので全くの別物です。
両方ラクト(=乳)で始まるので仲間な気がするのも分かる気がしますが、、、
ラクトバチルス菌とは乳酸菌の一種です。
糖を分解して乳酸を産生する細菌を乳酸菌と呼びますが、その中の代表的なものがラクトバチルス属です。
つまりラクトバチルスはヨーグルトやヤクルトなどの乳製品に含まれている乳酸菌の仲間であり、その種類は200以上あります。
細菌と聞くと病気の原因と連想されがちですが、実は体内では様々な細菌が身体の働きを助けたり、病気の原因となる他の細菌の増殖を抑える役割も果たしてくれています。
着床に関係あるとされるラクトバチルス菌の種類についてはこちらの記事に書いてあります。
子宮内フローラ検査(子宮内細菌叢検査2)|ラクトバチルス菌の割合
何度移植してもうまくいかない場合、子宮環境が整っていない可能性があります。子宮内フローラ検査は子宮内の細菌の種類・割合を調べることで着床しやすい環境か調べます。また、自分で子宮内フローラを改善する方法も解説しております。
ラクトフェリンの効果
ラクトフェリンはその名の通り、鉄と結合する性質があるため、その周りから鉄を奪う働きがあります。
多くの細菌の増殖には鉄が必要なので、ラクトフェリンが鉄を奪うことで細菌が増えることができなくなり、抗菌作用を発揮します。
また、ウイルスに対しては直接付着して体内に取り込まれないようにする働きがあり、抗細菌作用だけでなく、抗ウイルス作用もあることが分かっています。
他にも内臓脂肪を減らす効果や、貧血を改善する作用など様々な働きがあることが分かってきています。
常在菌や善玉菌と言われたりもして、ラクトバチルス属の細菌はその代表例です。
ラクトバチルス属の細菌は女性の膣・子宮でも働いていて、周囲を弱酸性に保つことでカンジダや他の感染症の原因となる細菌の増殖を抑制する働きをします。
膣・子宮内の細菌に占めるラクトバチルスの比率は妊娠率に影響し、90%以上の人と90%以下の人では妊娠率に大きな違いが出ることが分かってきています。
ラクトバチルスが少ないとその分悪玉菌が増えてしまうことで、膣・子宮内に炎症が起きてしまします。
その炎症を抑えようと働く免疫細胞が受精卵等を攻撃をしてしまい、妊活がうまくいかない原因になっているのではないかと考えられています。
子宮内細菌叢(子宮内フローラ)を増やす
妊活において、子宮内フローラを正常に保つことが重要であるということを聞いたことはあるでしょうか。
子宮内フローラとは、子宮内の細菌の集まりを指した言葉であり、妊活においては膣・子宮内のラクトバチルスの割合を高めることが大切であるということです。
ラクトフェリンの子宮内膜炎への効果
子宮内フローラにおけるラクトバチルスの比率が低く悪玉菌が多いと、その周囲は炎症が起き子宮内膜炎を引き起こします。
一通り検査を受けて何も原因がないと言われたのに、何度チャレンジしてもうまくいかない方の中には、子宮内フローラの状態が悪く子宮内膜炎が起きている方が一定数いることが分かってきています。
先ほどラクトフェリンは、周囲の鉄を奪うことで細菌が増殖できなくなり、抗菌作用を発揮すると説明しました。
つまり、子宮内膜炎を引き起こすような悪玉菌はラクトフェリンによって増殖できなくなるためにその数が減り、子宮内膜炎も良くなっていきます。
その逆に子宮内フローラにとって大切なラクトバチルスは増殖する際、鉄を必要としないため、ラクトフェリンによって影響を受けません。
悪玉菌と呼ばれる炎症を引き起こす菌は減少する一方、相対的にラクトバチルスが増え、子宮内フローラを良好な状態に導くことができるのです。
内臓脂肪を減らす効果
妊活からは少し話がそれますが、ラクトフェリンには内臓脂肪を減らす働きがあることが分かっています。
内臓脂肪は、日々合成と分解を繰り返していて、身体にエネルギーが必要になると脂肪は分解され、エネルギーとして体内へ供給されます。
また、体内に過剰にグルコースや遊離脂肪酸が存在する場合は、それらを原料に脂肪を合成して蓄えます。
ラクトフェリンは脂肪合成を抑制し、分解を促進するという両方の働きにより内臓脂肪の低減効果があることが分かってきました。
貧血の改善
ラクトフェリンには鉄代謝を調整する作用があることも分かっています。
食事により摂取した鉄は体内で吸収されずらいのですが、ラクトフェリンにはこの吸収を助ける作用があります。
また、体内の鉄が不足すると貯蔵鉄と呼ばれる肝臓に蓄えられている鉄を分解して体内に供給する仕組みがあるのですが、様々な要因によりIL-6と呼ばれる炎症性のサイトカインが増えてしまうとこの仕組みがうまく働かなくなり、体内に鉄が足りないのに、うまく貯蔵鉄から供給できず貧血になると言われています。
ラクトフェリンは、このIL-6の産生を抑制する働きがあり、それにより貯蔵鉄から血中への鉄の移行を助け、貧血を改善できることが分かっています。
鉄は必須元素ですが、過剰になると便秘・吐き気などの胃腸障害が出たり、更に過剰となると全身の臓器にも影響が出てしまいますが、ラクトフェリンの摂取により鉄が過剰になることはないため、安心です。
ラクトフェリンを摂るべき原因が分かる検査
ラクトフェリンを摂っても効果が全く現れないという場合、2つの原因が考えられます。
1.もともと子宮内にラクトバチルスがいない場合
2.摂取しているラクトフェリンが途中で無効となってしまっている場合
1.先ほども出てきましたが、ラクトフェリンには直接ラクトバチルスを増やす作用はありません。
そのため元々子宮内にラクトバチルスがいない場合効果がないのです。
子宮内のラクトバチルスの状態を調べることが出来るのがEMMA検査です。
EMMA 検査は子宮内膜マイクロバイオーム検査のことで、子宮内の乳酸菌の種類と割合を測定し子宮内の環境が妊娠に適している状態かどうかを
判定することができます。
2.ラクトフェリンは非常に熱に弱いため、加熱処理をしている牛乳や乳製品を摂取しても効果が得られません。
また、胃酸やペプシンにも弱く、分解されて無効となってしなう性質があります。
ラクトフェリンのサプリメントを検討する際は必ず腸まで届く工夫をしているもの(腸溶性と書かれているもの)を選ぶようにしましょう。
ラクトフェリンを摂取する際の注意
ラクトフェリンは生乳の成分です。
そのため、牛乳アレルギーのある方は摂取を控えた方がいいでしょう。
ラクトバチルス菌0%からの妊娠事例
Aさんは何度も胚盤胞の移植にトライしましたが、中々授からず他にできることはないかと子宮内膜に存在する細菌の種類と量を調べるEMMA検査を行いました。
その結果、「ラクトバチルス菌の割合が0%」と告げられたそうです。
Aさんも数値が少ないにしても0%であることに、はじめはショックを受けていましたが、同じようにラクトバチルスの値が低かったけど、ラクトバチルス菌を増やしてその後授かった患者さまのお話などを聞き、希望を持って治療に励んでいました。
ラクトバチルス菌が0%だったため、ラクトバチルスを増やすために座薬を使い、ラクトバチルスを餌にするラクトフェリンを服用していきました。
その後、検査後の最初の移植で初めて着床し、無事ご妊娠することができたのです。
ラクトバチルス菌の値は検査をしないとわからないので、Aさんも検査をしてよかったと安堵されていました。
栄養や薬・サプリなど、しっかり吸収できるように胃腸の環境を整える。
その次の段階として必要なものを摂取することがとても重要です。
栄養学ではまずは吸収できる体であることが大事だという考えがあるからです。
当院では、せっかく摂っている栄養や薬・サプリがより吸収しやすくなること、そして移植/着床に向けた着床環境づくりを行いました。
まとめ
近年注目を集めている子宮内フローラ。
良好な子宮内フローラとは、乳酸菌であるラクトバチルス属が豊富な状態であり、全体の90%以上がラクトバチルスであるかどうかが妊娠・出産のカギとなることが分かってきました。
そのラクトバチルスを増やすために注目されているのが、ラクトフェリンと呼ばれるたんぱく質です。
ラクトフェリンは、初乳と呼ばれる出産後すぐの母乳に豊富に含まれることから、その効果が注目され、研究が進みました。
名前の通り、その周囲から鉄を奪う作用があり、その結果抗菌作用を発揮することが解明されています。
それ以外にも抗ウイルス作用や貧血改善・内臓脂肪減少作用など様々な効果が分かってきています。
しかし、熱や胃酸、ペプシンに弱く体内に取り込むのはなかなか難しい成分でもあります。
効率的な摂取にはサプリメントが適しているといえるでしょう。
但し、牛乳アレルギーの方は摂取を控える事、また、サプリメントを選ぶ際は必ず腸まで届く腸溶性の物を選びましょう。
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