妊活お役立ちコラム
2024/07/15
不妊治療解説
不妊治療(体外受精)で使うプラノバール配合錠の働き
本記事では、薬剤師の立場から、プラノバール配合錠について解説し、不妊治療中にプラノバールを処方された方の疑問や不安が少しでも解消されることを期待しています。
プラノバール配合錠という薬は、不妊治療において排卵の抑制のために使ったり、着床の補助として使ったりします。
同じ薬なのにどうして色々な働きをするのか解説していきたいと思います。
プラノバール配合錠(中用量ピル)とは
この薬には、ノルゲストレル(合成黄体ホルモン)とエチニルエストラジオール(合成卵胞ホルモン)という2つの成分が含まれています。
プラノバール配合錠(pmda.go.jp) 2つの成分が一つの薬に入っているので配合剤といいます。
その働きは、
脳下垂体前葉に作用して、脳下垂体前葉からの卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン分泌を抑制し、また、子宮内膜の再生を促進し、分泌相に転換する。
とされています。
脳下垂体前葉に作用して、脳下垂体前葉からの卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン分泌を抑制する
簡単にいうと排卵を抑制するということです。
子宮内膜の再生を促進し、分泌相に転換する
月経によって剥がれ落ちた子宮内膜の再生を促し、厚くして、妊娠に向けた準備を整えるということです。
中用量ピルと低用量ピルの違い
中用量ピルとは、卵胞ホルモン(エストロゲン)を50μg含む薬剤のことです。
50μg以上エストロゲンが含まれれば高用量ピル、50μg以下であれば低用量ピルと言われます。
卵胞ホルモンが多ければ、その分効果は高いのですが、副作用も増えてしまいます。
以前は中用量ピルが避妊目的で使われていたこともありましたが、今は避妊目的では(超)低用量ピルが使われています。
また、アフターピル(緊急避妊薬ともいいます)としては、専用の薬剤が発売され、中用量ピルであるプラノバールが避妊目的で使われることはほとんどありません。
プラノバールを手に入れる方法
プラノバールは処方箋医薬品なので、医師の診察が必ず必要です。
診察後に処方箋を発行してもらい薬局で受け取ります。
(院内処方であれば会計時と同時に受け取れることもあります)
忙しいと中々病院に行けず、ネットで購入できれば便利!と思われる方もいると思いますが、ネット購入される方は購入先がオンライン診察をしている先か、個人輸入をしている業者なのかは必ず確認し、個人輸入は絶対にやめましょう。
医薬品が正規のものである保証がないので、副作用が出たときにも対応が遅れてしまうこともあります。
プラノバールの服用方法・用法容量
一日一回一錠を医師の指示通り、決められた日数服用します。
目的により、いつからいつまで飲むのか変わるため、ネットの情報に惑わされず、必ず医師の指示に従ってください。
プラノバールの使用例
1,月経周期の調整
プラノバールを服用すると脳下垂体前葉に作用して、脳下垂体前葉からの卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン分泌を抑制するので、排卵を阻止する働きがあり、服用中は月経にはなりません。
服用をやめると通常3〜5日後に月経が起こります。
プラノバールは低用量ピルに比べると副作用の発現頻度も高いのですが、効果も高くきちんと服用すればほぼ確実に月経周期を調整することが可能です。
月経周期の調整の場合、早めたい場合と遅くしたい場合で服用方法が異なります。
必ず医師の指示通りに服用しましょう。
尚、プラノバールを月経周期の調整に使用する場合、基本的には遅くするために使われますが、この薬は効果が高い分、副作用が出やすいため、体調への考慮が必要となります。
(大事なイベントと避けるために月経を調整しても副作用のために体調を崩してしまっては、元も子もありませんよね。)
2,月経困難症、子宮内膜症などの治療
前述の通り、排卵を阻止し子宮内膜が厚くなるのを防ぎ、月経に関連する疾患を改善することが期待できます。
(月経第5日目より服用を開始し、毎日約3週間服用するのが一般的となります。)
3,不妊治療で使われる場合(卵胞の大きさを整えるためや黄体ホルモン補充のために使われます)
1,体外受精時、排卵前に服用
未熟な卵子が排卵されるのを防ぎ、卵巣内での卵胞の成長を促します。
(主に)体外受精において、一周期の排卵を休ませ、成熟した卵子を採卵するために使用されます。
2,着床の補助として服用
排卵後に服用することで、黄体ホルモンを補充し着床の補助をする目的で使用。
子宮内膜を厚くして受精卵が着床しやすい状態へと整える目的で使用されます。
*プラノバールは、いつどのくらい服用するかによって真逆の働きをします。
医師の指示通り服用することが大変重要です。
プラノバールの副作用について
0.1〜5%の確率で下記のような副作用が報告されています。
肝機能の異常、不正出血、悪心・嘔吐、食欲不振、浮腫、体重増加 等
これらの副作用は、服用しているとだんだんと治まってくると言われています。
そのため、気持ち悪い、少しむくみがあるかな?
といった症状が出た場合でも、服用しているとだんだんと治まってくるでしょう。
嘔吐など強い反応が出た場合は、使用を中止し、病院に相談して判断を仰いでください。
半日くらいは吐き気が続くかもしれませんが、心配しなくで大丈夫です。
副作用の中で1つだけ知っておいて欲しい副作用、それは“血栓症”です。
それは0.1~0.2%未満と稀ではあるますが、血栓症というものです。
血栓は放っておくと命の危険もあるため、下肢の急激な疼痛・腫脹や突然の息切れなどが起こった場合、直ちに中止し、適切な処置が必要となります。
このような症状が現れた場合は、様子を見るのではなくすぐに医師に連絡し相談してほしいと思います。
血栓の副作用は、デスクワークであまり動かない方に多い傾向にあります。
こまめにストレッチをすることを心がけてください。
(座ったままのストレッチでも効果はあります)
プラノバールを服用すると太るって本当??
副作用にも記載されているように、0.1%〜5%の確率で体重増加が起こるとされていますが、これは本来の黄体ホルモンの働きであると考えられます。
黄体ホルモンとは、本来妊娠の準備をし、更に継続させるためのホルモンです。
つまり、黄体ホルモンによって妊娠に備え水分・栄養分を体内に溜め込む働きにより、食欲が増進することで体重が増加したり、むくみが起こったりすると考えられます。
体重増加は全員に起こるわけではなく個人差がありますが、この働きがあることを事前に知り、食欲増進に備えておけば(急に食欲が湧いてしまったら低カロリーゼリー等を食べるなど対処できます)体重増加を過度に心配しなくても大丈夫ですね。
プラノバール配合錠の役割
プラノバール配合錠が日本で初めて発売されたのは40年以上も前のことです。
新薬が開発され、発売されるまでにはいくつもの関門があるのですが、最終的に既に世の中で使われている薬と比べてより有用性が認められなければ発売は許可されません。
それは、簡単に言うと既存の薬と比べて高い効果があるか、効果が同程度でも副作用を減らすことができるかということになります。
医療の世界は日進月歩、毎日研究は進み、新しい薬がどんどん出ていく中で40年も前の薬が使い続けられているということは、その薬にしかない良さがあるということです。
プラノバール配合錠の場合、副作用があるけれど、それを上回る効果が期待できるということでしょう。
ナイフと一緒で、切れ味抜群な分、使い方を間違えればケガをしてしまうといったところでしょうか。
きちんと決められた量を決められた時間に使って欲しいと思います。
食事の影響を受けず、一日の中でいつ服用してもいい薬なので、夕食後・就寝前等一番飲み忘れが少ない時に服用していいのですが、出来ればタイマーをかけて、毎日同じ時間に服用すると効果が最大限発揮されるでしょう。
(毎日同じ時間に服用することで、血液中の薬の濃度が安定します)
プラノバール配合錠はどんな薬なのかを知り、妊活中の疑問が一つでも解消出来れば嬉しいです。
参考文献
プラノバール配合錠(pmda.go.jp)
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2482005F1041_3_10/?view=frame&style=XML&lang=ja
スマートライフプロジェクト
https://www.smartlife.mhlw.go.jp/event/womens_health/2021/lecture1
経口避妊薬とステロイドホルモン動態
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscc1971b/29/1/29_53/_pdf/-char/ja
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