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妊活お役立ちコラム

2015/01/23

不妊治療解説

自然周期移植とホルモン補充周期移植のメリットデメリット


体外受精で予め凍結してある卵を移植する場合、自然周期移植とホルモン補充周期移植どちらかに分かれます。


移植する受精卵と着床が同じタイミングに戻します。



子宮はE2(エスとラジオール)やP4(プロゲステロン)等の影響で受精卵を受け入れやすく妊娠しやすい期間があります。


このタイミングが合っている期間をインプランテーションウィンドウ(着床の窓)といいます。



例えば3日目胚を移植する場合は高温期3日目(排卵3日後)に移植します。


3日目胚を高温期5日目に移植すると受精卵と子宮の状態があっていないため、着床率が下がってしまいます。


この移植日を決定する際に卵胞チェックにより排卵日を特定して移植するやり方を自然周期移植、月経周期をお薬でコントロールして移植するやり方をホルモン補充周期での移植と言います。




自然周期移植


自然周期ではお薬を使わない事が多いです。


病院によっては例えばフェマーラという排卵誘発剤を飲みながら卵胞チェックをするところもあります。


① 排卵前に卵胞チェックをします。(患者様それぞれの月経周期に合わせての受診となります。)

② 採血、内診によって排卵日を特定します。(ドミノ周期といい、この卵子を採卵する事もあります。)

③ 移植する受精卵に合わせて移植日を決定します。



メリット

・薬、貼り薬を使用する煩わしさがない。


・薬等にお金がかからない



デメリット

・移植日が直前に決まる。


・排卵日前は診察が何度か続く。


・自力で排卵できない場合、なかなか移植できない。



ホルモン補充移植

ホルモン補充周期移植は薬によってホルモンをコントロールします。


外からホルモンを補充するため卵胞は育たず、排卵も起こらず、基礎体温も変動しません。



① 月経中から卵胞ホルモンを補充し、内膜を厚くしていきます。

よく使われるお薬としてはプレマリンやジュリナなどの飲み薬、エストラーナなどのテープ(貼り薬)があります。



② 内膜が厚くなったら黄体ホルモンを追加します。

デュファストン、ルトラールなどの黄体ホルモン剤、膣座薬、プロゲステボ注射などのなどがあります。

もしくは卵胞ホルモン剤をやめて、卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合薬であるピル(プラノバールなど)を使用する事もあります。


③ 黄体ホルモン剤を追加した日に合わせて移植日を決定します。

自然周期移植とホルモン補充周期での着床率に違いはないといわれます。


しかしながら自然周期移植とホルモン補充周期のどちらに決めるかは、病院によって得意な方法や、独自に出しているデータに基づき移植方法を提案されると思います。


例えば、自然周期移植を第一選択としている病院は自力排卵できない方のみホルモン補充移植を提案し、基本は自然周期移植のみとなります。


逆にホルモン補充移植を第一選択としている病院は患者様からの希望がない場合はホルモン補充移植をメインとします。



メリット

・移植日が早い段階で分かる。


・移植まで通院回数が少ない。


・自力で排卵しにくい、内膜が整わない方でも移植できる。



デメリット

・薬、注射のお金が別にかかる。


・着床後も薬でコントロールしなくてはならない。


特に通院の手間、移植日の日程がいつ頃決まるかなどはお仕事をしながら治療している方には大事な点だといえます。




どんな移植の方法が良いのか?


移植の方法は大まかに分けるとこの自然周期移植とホルモン補充周期の移植になりますが、これらの移植にもう少し手を加えた方法もあります。



【シート法(SEET法)】

シート法では胚盤胞まで培養した際に使用した培養液を別にとっておき凍結します。


別の移植周期に胚盤胞を移植する2,3日前に凍結しておいた培養液を融解して子宮に注入します。その後に胚盤胞を移植します。



【二段階移植】

二段階移植ではまず排卵から2日後に初期胚を移植します。


そしてその3日後に胚盤胞を移植します。


つまり同じ周期に2つの受精卵をタイミングをずらして移植します。


自然妊娠では卵管内で受精した卵は数日かけて内膜に着床します。この間に受精卵から子宮内膜へ着床しやすくするサインを送っているとされています。


シート法、二段階移植ではこのサインを移植前に送り、着床しやすい状態に近づけます。


そのサインを送る方法が培養液の注入、初期胚の移植となります。



シート法、二段階移植で画期的に妊娠率が上がったという訳ではありません。


しかしいいとされる卵を移植してもなかなか着床しない、そういう方に新たに試すことができる方法といえるでしょう。




今まで移植のやり方で妊娠率は変わらないと述べてきました。


しかし、患者様それぞれに合った方法はあると言えます。



内膜が厚くなりにくい、排卵が安定しない場合は自然周期を試みてもスムーズに移植ができません。


そういう場合はホルモン補充移植が適しているといえるでしょう。



また内膜、排卵に問題ない方が毎回ホルモン補充周期で移植してもうまくいかなかった場合は、自然周期移植を試す価値は十分あると思います。


移植の方法は病院からベストな選択をしてもらえるでしょう。


あと自分自身の子宮で「胚を育てる力」を上げる努力をしていきましょう。




子宮の「育てる力」を養おう

子宮の育てる力を養う

移植時にはホルモン値や内膜の厚さは8mm以上など客観的な基準があります。


あとはあなたの子宮自身の育てる力が重要です。



例えば、4AA以上のグレードを7回以上移植しても一回も着床したことがなく、8回目の移植時に当院へ来院された方がおりました。


8回目は残念でしたが、9回目で妊娠されました。


ご年齢も若く今までの8回の移植の受精卵全てが問題があるとは思えませんでした。


受精卵のグレードはいいので、着床障害が原因ではないかと言われる方もたくさんいらっしゃいます。


そのため育てる力を養い、子宮環境を整えることは重要なのです。


移植日までに身体づくりをしておいて育てる力を上げておきましょう。





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この記事の著作者

院長 松本 敏樹

不妊カウンセリング学会 認定不妊カウンセラー
一般社団法人「日本生殖医学会」会員
妊活コーチ/妊活コーチング
東京漢方鍼医会 代表

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。
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