タクロリムスと飲み合わせ・食べ合わせについて
タクロリムスと薬の飲み合わせ
難治性着床不全に処方されるタクロリムス。
特に最近はタクロリムスの処方をする病院が増えてきました。
(この着床不全が疑われる場合に行われる血液検査「Th1/Th2比検査」
については最近書きましたので気になる方はこちらです。
タクロリムスなどの免疫抑制剤は、
薬の飲み合わせにより血中濃度が上がりすぎてしまうことがあり、
その場合は副作用が出やすくなってしまいます。
どんな薬でも自分の判断で服用はせず、
処方医師に相談して欲しいと思います。
私の個人的な意見となりますが、
免疫抑制剤を日頃から処方している先生は非常に少ないので、
他の薬が必要だと感じた時でも内科や耳鼻科で相談するのでなく、
免疫抑制剤を処方してくれる医師に別の薬を飲んでもいいか確認してみるといいでしょう。
例えば、
注意して欲しい薬の中には、
クラリスロマイシン(商品名だとクラリス、クラリシッド)、
エリスロマイシン(商品名だとエリスロシン)
などの抗生物質があります。
これらは、
タクロリムスが肝臓で代謝される時に働く酵素の力を弱める働きがあるため、
同時に服用するといつまでも体内にタクロリムスが残り、
血中濃度が高くなってしまう事があります。
風邪症状の時など、
よく使われる抗生物質なので注意が必要です。
タクロリムスと食べ合わせ 〜グレープフルーツ〜
タクロリムスと一緒に摂取しない方がいい食物の代表は、グレープフルーツです。
グレープフルーツに含まれるフラノクマリンと言われる成分に、
上記でタクロリムスと一緒に服用すると、
血中濃度が上がってしまうとお話した抗生物質と同じように、
タクロリムスを代謝する酵素を阻害する働きがあります。
この成分は、
赤い果肉のものより、白い果肉に多く含まれ、
皮には更に多く含まれているため、
ジュースやマーマレードなどは注意が必要です。
また、グレープフルーツだけでなく、
はっさく、ぶんたん(ザボン)、スウィーティにもフラノクマリンは含まれているので注意が必要ですが、
逆に同じ柑橘系のものでも伊予柑、デコポン、レモン、温州みかんなどには含まれないことも分かっています。
タクロリムスの効果が弱まる可能性のあるハーブ 〜セントジョーンズワート〜
もう一つ、ご紹介したい物は、セントジョーンズワートです。
なかなか聞いたことがないかもしれませんが、
うつ病に効果が期待されるハーブであり、
ハーブティやサプリメントにしばしば含まれています。
セントジョーンズワートは、グレープフルーツとは逆に、
タクロリムスを代謝する酵素を誘導する働きがあるため、タクロリムスの代謝が早まり、効果が減弱してしまう可能性があります。
グレープフルーツとセントジョーンズワートはタクロリムスに限らず、色々な薬に対して同じ様な働きをしますので、医薬品服用時の摂取には注意してください。
タクロリムスと飲み合わせ食べ合わせのまとめ
- 薬の飲み合わせにより副作用が出やすいものがある(血中濃度が上がるため) 〜一部の抗生物質やグレープフルーツ〜
- タクロリムスの効果が弱まるハーブがある 〜セントジョーンズワート〜
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