難治性(反復)着床不全の検査 Th1/Th2比検査
体外受精において良好な受精卵(胚)を複数回移植しても妊娠しない場合を難治性(反復)着床不全といいます。
この着床不全が疑われる場合に、
行われる血液検査の一つにTh1/Th2比検査というものがあります。
Th1細胞、Th2細胞とは
Th1細胞は、免疫反応の中で、体内に進入してきた異物を直接攻撃し(細胞性免疫といいます)、
Th2細胞は抗体を作ることで、異物を攻撃します(体液性免疫といいます)。
Th1細胞とTh2細胞は互いに協力し、体内での免疫を正常に保つように働いていますが、
そのバランスが崩れ、
Th1細胞が優位になりすぎると自己免疫疾患になりやすく、
Th2細胞が優位になりすぎるとアレルギー疾患になりやすくなると言われています。
受精卵を異物とみなさず受け入れることが重要
通常、妊娠に至る過程では胎児や胎盤を異物とみなし攻撃するTh1細胞が減少し、
Th2細胞が優位になることで妊娠が維持されます。
受精卵は半分が精子由来であるため、
受精卵を異物とみなさず受け入れることが重要となります。
(これを免疫寛容といいます)。
プログラフ(タクロリムス)について
着床不全が疑われる方の中で、Th1/Th2比が高い場合、
受精卵を異物として拒絶してしまっていると考えられ、
その作用を抑えるために薬物療法として使われているのがプログラフ(タクロリムス)です。
なおTh1/Th2比の値は10.3以上の場合、
プログラフ(タクロリムス)適応としているクリニックが多いようです。
しかし評価がまだ一定ではないのでその基準は病院によって異なります。
当院に通われている患者様でも服用されている方が増えており、
以前より処方している病院も増えてきています。
実際にプログラフ(タクロリムス)を飲み始めていた時期ですが、
移植日の、
- 2日前から
- 前日から
- 当日から
と病院によって違いがあります。
Th1/Th2比検査は血液検査のため、採血によって検査可能ですが、
全てのクリニックで実施しているわけではないので、
検査を希望の場合は事前にクリニックへの確認が必要です。