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妊活お役立ちコラム

2024/10/09

おうち妊活

卵子の質の改善とメラトニンの効果|睡眠の改善方法とは

「寝ていても途中で何回か起きてしまう。だからこそ朝起きてもだるい…。」

「寝つきが悪く、しかも浅いせいか途中で起きてしまう。こんな状態だと身体にも良くないだろうし、卵の質にも影響してるのかな。」

「寝ようと思ってもなかなか寝れない。睡眠が大事なのに寝れないのは卵子の質が落ちてしまいそうで不安。」


当院にも、思うように睡眠が取れていない患者さんも少なくありません。


最近は、妊活情報を調べられている方もいらっしゃるので、きちんと睡眠が取れていない=卵子の質に影響すると心配になってしまうことも多いのではないのかなと思います。



知っている方も知らない方も、今回は睡眠が卵子にどう影響するのかをお伝えしていきます。


妊活とメラトニン

メラトニンとは?



メラトニンとは、脳の松果体(しょうかたい)から分泌されるホルモン。
日々の睡眠や覚醒、また体温やホルモン分泌などの概日リズム(サーカディアンリズム・体内時計)の調節に関わっているホルモンとなります。


概日リズム(サーカディアンリズム)とメラトニン


概日リズムは温度や食事など、外界の様々な刺激からズレていないかなど調整されます。

その中でも代表的な刺激は「光」です。

朝、光を浴びると、その光刺激が脳内の視交叉上核(SCN)に集まり、そこから松果体や、抹消の細胞に神経を通じて刺激がつたわります。

すると脳にある体内時計がリセットされ、活動状態になります。
同時に体内時計からの信号でメラトニンの分泌が止まります。

メラトニンは目覚めてから14〜16時間ぐらい経過すると体内時計からの指令が出て、再び分泌される状態となります。
すると徐々にメラトニンの分泌が高まり、その結果、深部体温が低下して休息に適した状態に導かれ眠気を感じるようになるのです。


卵子の質とメラトニンの関係

ではこのメラトニンは卵子の質とどのような関係があるのか紹介します。

メラトニンの抗酸化作用

メラトニンは概日リズムの調節のほかに、酸化ストレスを抑える「抗酸化作用」の働きもあります。

酸化ストレスにより活性酸素が増え過ぎてしまうと正常な細胞や組織を攻撃して酸化させ、免疫機能の低下や細胞の老化、動脈硬化、がんなど多くの害をもたらすと言われています。
この悪さをする活性酸素を除去する抗酸化作用を持つものを抗酸化物質と呼びます。

メラトニンの抗酸化作用は、抗酸化物質として知られるビタミンCやビタミンEよりも強いといわれています。

また抗酸化作用の働きのある栄養素として、メラトニンのほかにも様々あります。
野菜に含まれる赤やオレンジ色などの天然色素成分でβ-カロテンなどのカロテノイドコエンザイムQ10、ポリフェノールの一種のレスベラトロールなどがあります。

不妊治療に対するメラトニンの効果

近年の研究では、メラトニンは卵胞液中に高濃度に存在し、その抗酸化作用によって活性酸素から卵子や顆粒膜細胞を保護することが明らかとなっているのです。


卵子の質の向上を目的とした不妊症患者に対するメラトニン投与の臨床応用も行われています。
メラトニンを投与して体外受精胚移植を施行すると成熟卵子数、受精率、良好胚数の増加が報告されたとしています。

加齢マウス(43週)において,コントロール群では卵巣内のすべての発育段階の卵胞(原始卵胞,一次卵胞,二次卵胞,胞状胞)が減少したが、メラトニン投与群ではコントロール群に比較して多く卵胞が残存していた。過排卵刺激および排卵誘発して排卵数を調べたところ,メラトニン投与群では排卵数が多く,加齢に伴う卵子数の減少が軽減された。採取した卵子を用いてオスの精子と体外受精を行ったところ、コントロール群では、受精卵数、胚盤胞数は加齢に伴い減少したが、メラトニン投与群ではコントロール群に比較して多く、卵子の質の低下を軽減する効果もメラトニンは併せ持つと考えられる。


メラトニンを併用して体外受精胚移を施行すると、成熟卵子数、受精率、良好胚数の増加が報告されており、メラトニンの生殖医療に対する臨床応用が期待される。




メラトニンが増えることで抗酸化物質が活性酸素から卵子や顆粒膜細胞を保護。それにより成熟卵子数、受精率、良好胚数の増加が報告されています。
これは、メラトニンの生殖医療に対する臨床応用が期待されるとしています。

卵巣と年齢とメラトニン

抗酸化作用からメラトニンはアンチエイジングホルモンとして注目されています。
夜間のメラトニン分泌は、生後3歳頃までが最も多く、思春期以降、加齢とともに減少していき、70歳を超えるとピーク時の10分の1以下になるのです。

この夜間メラトニン分泌の減少と加齢現象が密接に関わっていることが明らかになっています。


マウスに6~12か月間メラトニンを投与した研究では、メラトニン投与によって加齢に伴う卵胞数の減少、産仔数の減少、胚盤胞率の低下が抑制され、さらにミトコンドリア機能の向上(ROS産生の減少,酸化ストレス減少,ATP産生増加、アポトーシス減少、抗酸化酵素増加)によって卵巣加齢を軽減するメラトニンの可能性について報告している38)。


こちらはマウスの実験となりますが、高齢のマウスにメラトニン投与。
すると加齢に伴う卵胞数の減少、産仔数の減少、胚盤胞率の低下が抑制され、さらにミトコンドリア機能の向上が期待できるとしています。
卵巣加齢を予防する有効な方法や薬剤が確立していない現代においては、メラトニン投与は有力な候補の一つであると考えられるとしています。


メラトニンを分泌させる方法

ではどのようにしてメラトニンを分泌しやすくさせるのか説明していきます。

睡眠の質を改善する

もちろん睡眠の量も大事ですが、1番は睡眠の質を改善する事が重要です。

早起き

1番の理想は早寝早起きですが、早めに寝れないという方はまずは早起きから挑戦してみるのも良いです‼︎
早めに起きて行動することで、いつも寝る時間よりも早く眠くなり、早めに睡眠につきやすくなります。

それが結果的に早寝早起きの良い習慣の第一歩につながります。

朝目覚めたら朝日を浴びる



最初にお伝えした通り、概日リズムを整えるためには光刺激が影響されます。
そのため朝起きたら1番にカーテンを開け、朝日を浴びることが重要となります。

適度な運動

一般的に、適度な運動は睡眠を促進されると言われています。

オススメとしては有酸素運動です。
有酸素運動は交感神経の昂りも抑えてくれる働きがあります。
そのため軽く汗をかく程度の運動を20分くらい、寝る2時間くらい前までに取り入れられるとベストです。


またこの論文では、自転車こぎなどのリズム運動がメラトニンの元となるセロトニンが増加するとしています。

自転車こぎなどのリズム運動を行うことによりセロトニンが増加することが知られているが、このセロトニンがメラトニンの分泌を促進する。このことから就床前に運動を行うことによりメラトニンの分泌が促進され眠気が高まり、その後の寝つきのよさにつながるのではないかと考えられる。


ご飯は寝る2時間前までに

寝る直前に食事をすると、胃腸の働きが睡眠を妨げ、質の低下につながります。
どうしても食事から就寝時間までに2時間空けることができない場合は、消化に良く、胃腸に負担をかけない食事がおすすめです。

入浴は睡眠の90分前に

睡眠のメカニズムはこの体温リズムの影響も大きく受けています。

大切なのは寝る前に身体の深部体温がグッと下がること!
体温が下がることで眠気が引き起こされていると考えられています。

お風呂に入ることで身体が温まり、そのあと温度が下がってくるのが90分後くらいとなるため、睡眠に入りやすい状態となるのです。

寝る前の生活

メラトニン分泌を促すには寝るための準備が必要。

メラトニンを分泌させるためには、朝や昼は日の光をしっかり浴び、夜寝る前に部屋を暗くする事が大切です。
そのため寝る前は蛍光灯などの光の度合いを落としたり、オレンジ色の電球に変えたりするのがオススメ!

またパソコンやスマートフォンなどから出るブルーライトの光はメラトニンの分泌を阻害しますので、寝る1時間ほど前から使用しないほうが良いでしょう。

トリプトファンの多い食材を摂取する


メラトニンは、セロトニンというホルモンから合成されます。
セロトニンはトリプトファンというアミノ酸から合成されるため、トリプトファンが多く含まれるタンパク質の摂取することも大切です。

【トリプトファンの多い食材】
豆腐・納豆・味噌・しょうゆなどの大豆製品、チーズ・牛乳・ヨーグルトなどの乳製品、
米などの穀類などその他、ごま・ピーナッツ・卵・バナナにも含まれています。

カフェイン



コーヒーや紅茶、緑茶に含まれるカフェイン、タバコやお酒、ストレスもメラトニンを抑制する働きがあります。

質の良い睡眠のためには
カフェインを取る場合は、寝る6時間以上前に
タバコを吸う場合は、寝る1時間以上前にしましょう。

そあら鍼灸院のメラトニン分泌を促す関わり(施術とセルフケア)

メラトニン分泌を促すために当院でのアプローチ方法としては「自律神経の乱れを整える」

自律神経の乱れにより、質の良い睡眠がとれなくなってしまっている方も多くいらっしゃいます。




自律神経とは、わかりやすく言うと・・・
体を動かす時や休ませる時の切り替えスイッチのような働きをしています。


朝起きて仕事に行く時は動かすスイッチ(交感神経↑)が作動して、
仕事が終わり家でゆったり過ごしている時には休ませるスイッチ(副交感神経↑)が作動します。


そんな自律神経ですが、
深夜にスマホを見ていたら目がさえてしまい、なかなか寝れなくなったり
夕飯が遅くなってしまい、食事してすぐに寝たら次の日胃もたれしてしまったり・・・
ちょっとした事でスイッチが乱れてしまう時があります。

その乱れを鍼灸を行う事で、休ませるスイッチが入りやすいように促すのです。

事例

ある患者さんは、
「今飲んでいる睡眠導入剤を減らしたいけど不安。でも妊活を考える前にどうにかしなきゃいけない・・・」と悩んでいました。


「妊娠中は薬を飲めないからこそ、今出ている寝つけず朝まで起きてしまう症状を改善させなきゃ」と症状の緩和のため、妊娠を考えるのは一旦ストップさせなきゃいけないというイメージを持たれていました。


この記事の様に、睡眠の質の向上妊活にもプラスになります。
鍼灸は睡眠と妊活のどちらにもケアできますよ。とお伝えしたら

「鍼灸をして睡眠を取れるようになると、薬も減って妊活にもプラスになるなんて私にとっては一石二鳥で嬉しい!」とおっしゃっていました。


その患者さんは治療を行い、自律神経の調節を促していきました。
眠れる時と眠れない時の波はまだありますが、排卵までの日数が乱れなくなり足先の冷えも改善してきました。

そして先日、妊娠されたのです。

その後無事に出産したとお便りをいただきました。
本当におめでとうございます!


まとめ

日々の睡眠や覚醒、他にも概日リズム(サーカディアンリズム・体内時計)の調節などにかかわっている「メラトニン」
そのメラトニンは抗酸化作用の働きで、酸化ストレスによる活性酸素の除去も行っています。
近年の研究では、メラトニンは卵胞液中に高濃度に存在し、その抗酸化作用によって活性酸素から卵子や顆粒膜細胞を保護することが明らかとなっているのです。
論文のデータによると、メラトニン投与により成熟卵子数、受精率、良好胚数の増加
さらに、加齢に伴う卵胞数の減少、産仔数の減少、胚盤胞率の低下が抑制され、卵巣加齢を予防する有効な方法や薬剤が確立していない現代においては、メラトニン投与は有力な候補の一つであると考えられるとしています。

そんなメラトニンを分泌しやすくするために重要なのが「睡眠の質」です。

睡眠の質を向上させるためには、
・早起き
・朝目覚めたら朝日をあびる
・適度な運動
・寝る前の生活
・トリプトファンの多い食材を摂取する…
などを気をつけてみてください。

ちょっとした心がけ次第で、睡眠の質は変わっていくと思います。
それでもなかなか寝付けない方は、鍼灸によるアプローチで寝やすい身体の状態をつくっていけたらと思います。

この記事の著作者

鍼灸師 柔道整復師 福田 真弓

「東京漢方鍼医会」会員

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。

この記事の著作者

院長 松本 敏樹

不妊カウンセリング学会 認定不妊カウンセラー
一般社団法人「日本生殖医学会」会員
妊活コーチ/妊活コーチング
東京漢方鍼医会 代表

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。
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