初診のご予約日までの3ヶ月間にご妊娠されて、そのままいらっしゃるパターンが増えたからです。
妊娠初期の一番不安定な時期に、初診にもかかわらずそのまま来ていただけることは大変嬉しいことです。
当院にいらした患者様に理由を聞いてみると、
・前回流産したから今回は身体づくりのために鍼をすることにした
傾向をみてみると過去に鍼を受けた経験がある方や、刺さない鍼だから安心という方が多いようです。
妊娠初期の鍼灸治療
しかし今まで鍼をした経験がなく、
今は妊娠初期だという場合は不安に思うかもしれません。
鍼灸の業界では、
妊娠初期や妊娠中など、鍼灸師自身がよく分かっていない場合は治療しない方がいいという話を一度は聞くものです。
私も鍼灸の学生の頃に、その話を聞きました。
妊娠初期にはリスクの高いといわれるツボがあるのです。
しかし、何故ダメなのかという明確な根拠を聞いたことはありません。
余談ですが、中国では堕胎のために鍼をしたがほぼ失敗に終わったという報告があります。
なんとも恐ろしい実験があったものですよね。
流産の原因とは
初期の流産で一番多い原因は、受精卵の染色体の問題によるものです。
この場合は、着床してしばらくお腹の中で育つことができたとしても、
最終的にはほぼ流れてしまいます。
逆にいうと、染色体異常が原因の場合、
鍼灸で流産の防止をすることはできません。
・着床してすごく嬉しいけど、やっぱりこの先のことを考えると不安になってしまう。
・過去に流産をしてしまった経験があるから怖い。
このように感じてしまうのも無理はありません。
産まれてくるまでやっぱり不安はつきものです。
では鍼灸でできることは、どのようなことでしょうか。
妊娠初期の鍼灸治療の効果
@ストレスを緩和して血流の循環を良くし、流産のリスクを減らす
緊張状態になりすぎてしまうと、
交感神経が強く働いて血管が委縮して血流が悪くなります。
着床後は栄養が赤ちゃんにスムーズに運ばれる必要があります。
鍼灸は副交感神経が優位になりため血流の循環が良くなるので、
不安になりやすい方には特におすすめです。
心を和らげて緊張を緩和して血流の循環を良くし、
穏やかに次の通院日まで過ごせるようサポートします。
A出血に対しての治療
→原因のはっきりしない出血も多く安静にするしかないと言われますが、鍼灸治療では妊娠初期に限らず
不正出血に対して治療をすることはよくあります。
染色体異常が原因ではない場合は止まることも多いです。
B不育症に対しての治療
→抗リン脂質抗体や血液凝固因子があるためアスピリンやへパリン療法を行いながら併用して鍼灸治療を受けられている方が多くいらっしゃいます。
免疫の問題も取りざたされますが、東洋医学では子宮を「胞」といって半分は父親由来である遺伝子の赤ちゃんを大切に育てる場所です。
その「胞」への気血を整え東洋医学的な観点からの鍼灸を行います。
C東洋医学的に流産しやすい状態に対しての身体づくり
→特に原因がみつからないため治療のしようがないと言われてしまう流産を何度も繰り返してしまう方がいらっしゃいます。
原因が見つからなくても、流産しやすいお腹や、良くない脈であるため流産してしまってもおかしくないなという状態のお身体はあると思います。
そのような方はとくに、妊娠する前までの身体づくりが重要だと考えます。
Dつわりや妊娠初期の諸症状に対しての治療
→多くの方に現れるつわり。鍼ができない日も、ごじたっくでできるつわりのお灸の指導も致します。
(「妊娠初期のつわり症状 気持ち悪さで吐かなくなった鍼灸治療例」)
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