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妊活お役立ちコラム

2024/09/17

妊娠中/産後

産後の腰痛の原因やケアに効果的な対策とは?骨盤の歪みは関係ある?

「出産が終わってから育児で寝不足続き。それなのに抱っこで腰も痛くて、精神的にも肉体的にも辛い」

「出産の時に恥骨離開とのことで、全治2ヶ月と言われてしまった。骨盤がグラグラして歩けない。このまま歩けるようになるのか心配で仕方ない」

「出産してから1年たったけど、尿もれが続いている。さらに腰も痛いしこれってもう治らないのかと不安になる」


産後の女性は全治2ヶ月の交通事故と同じくらいのダメージを受けていると言われています。


そうはいっても待望の我が子。お腹でゆっくりと育ててきた赤ちゃんとやっと対面出来て、喜びもひとしおだと思います。
しかし出産後、身体はあちこちが痛く、思うように動かないとおっしゃっている方は多いです。

それに加え、出産とともに育児がスタートし、寝不足続き。
さらに授乳や抱っこによる肩こりや腰痛、腱鞘炎など肉体的な痛みが出る方も少なくありません。


今回は産後の骨盤の変化や腰痛が起こってしまう原因、解決方法など解説していきます。
 

産前・産後の身体の変化

まずは妊娠・出産にかけて起こる身体の変化が産後の腰痛に関係してくるので、そちらから説明します。


妊娠中から出産にかけて身体の変化

妊娠後の身体の変化。反り腰
妊娠中は赤ちゃんのスペースを確保できるよう、「リラキシン」というホルモンにより骨盤周りの靭帯が緩みやすくなります

また赤ちゃんや子宮が大きくなるにつれて、腹直筋などのお腹前面の筋肉が伸ばされていくのです。


さらに、妊婦さんはお腹が大きくなるにつれて、身体の重心のバランスを保つために上半身を後方にそらした「反り腰」の姿勢をとるようになります。

「反り腰」とは骨盤は前に傾き、腰椎の前弯(腰のカーブ)は強くなる事です。


それによって腰部の筋肉は収縮・緊張しやすくなり、妊娠中の腰痛を発生させやすくなります。


産後の身体の変化

出産前、身体の重心のバランスを保てるように反り腰に変化していきましたが、出産とともに胎児、羊水、胎盤が排出されます。

杉並区での体重コントロールの表では、
胎児:約3kg
胎盤・羊水:約1.5kgと出ており、
約4.5kgがお腹から外に排出されます。



さらに赤ちゃんが産道を通ることで、一時的に骨盤周りの靭帯が緩み、骨盤底筋は伸ばされるのです。

リラキシンによる靭帯の緩みは産後2〜3日で落ちついてくるといわれています。


産後の腰痛とは

産後の腰痛は、通常の腰痛とは異なる部分もあり、様々な要因により発生しやすくなります。


産後の腰痛の原因

では、どのような原因で産後の腰痛が起こるのでしょうか。


筋力の低下

腹筋群。腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋。インナーマッスル
姿勢を保つために必要な腹筋ですが、妊娠によってお腹が大きくなるのに伴い引き伸ばされてしまい、筋力の低下が起こるといわれています。

それにより、お腹の前面の腹直筋が伸ばされた「腹直筋離開 」という状態になると、姿勢を維持することが難しくなり、腰への負担が増えることによって産後に腰痛を感じる原因となるのです。


骨盤底筋


骨盤底筋とは、文字通り骨盤の底にハンモックのように位置していて、内蔵を支えたり、尿道や肛門を閉めたり緩めたりする筋肉群です。

骨盤底筋はお腹周りのインナーマッスルと共に骨盤の内側から腰周り支えています。

そんな骨盤底筋は赤ちゃんが産道を通ることで大きく引き伸ばされ、ダメージが生じ、結果産後の腰痛に影響が及びやすいのです。


ホルモンバランス

上でも紹介しているように骨盤周りの靭帯を緩める「リラキシン」
靭帯を緩めると骨盤周りがガタガタして安定しにくくなります。

さらに出産時の圧力により恥骨結合が広がり過ぎた場合を「恥骨離開」といい、これも腰痛の出る原因となります。
 

育児による姿勢

授乳や抱っこ、おむつ替えなど…育児によって姿勢の変化が起こります。
いずれも腰に負担がかかりやすい姿勢になることが多いです。

例えば、前屈みの姿勢は骨盤や腰椎、腰の筋肉に負担がかかります。
産後の筋力が落ちた状態で育児をしなければいけないこともあり、このような理由からも腰痛を感じる方が多いでしょう。


メンテナンスの時間がない

腰痛があると自覚していても、腰痛の治療や骨盤のメンテナンスに行く時間がないことも腰痛を悪化させている原因となります。

育児で時間がないことや、赤ちゃんを預かってくれる人がいないなどの理由から腰痛を放置してしまう方が多いです。
そうすると痛めた腰をかばうように、また無理な姿勢をするので腰痛が更に悪化してしまう可能性もあります。
 

婦人科系の問題

上述の原因以外であれば、子宮筋腫子宮内膜症など、何らかの婦人科系の疾患が関連している可能性があります。

子宮筋腫は良性の腫瘍が子宮の筋層にできる疾患です。
その筋腫ができる場所や大きさなどによっては周辺の神経や臓器を圧迫することがあり、腰痛を感じる場合があります。


子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織が子宮内腔以外に発生し、発育を続ける疾患です。
強い月経痛が代表的な症状ですが、月経時以外のときでも下腹部痛や腰痛を伴うことがあります。


産後の腰痛対策

それでは腰痛の対策としてどんな事をしたら良いのか、お家でできる方法を紹介いたします。
 

座り方

座り方によっては骨盤の前傾を悪化させたり、ねじれる力が加わったりするので、注意が必要です。
しかし逆を言えば、座り方に気をつけるだけでも腰痛を緩和する可能性もありますので、意識してみるといいかもしれません。

ポイント
・足を閉じた状態
・左右のお尻にかかる荷重を一定に


具体的には正座、両足を伸ばして座る、イスに深く座ることです。

これらの座り方は骨盤が正しい位置で安定しやすいのです。

逆にあぐらやお姉さん座り、イスの場合は足を組むなどは腰に負担のかかりやすい座り方なので避けてあげた方がいいです。

またやわらかいソファーも注意が必要です。
やわらかいソファーは深く座りすぎると腰の筋肉がひっぱられた状態でかたまってしまいます。

そのためやわらかいソファーは浅めに座るのが良いです。
 
 

コルセットや骨盤ベルトを使う

コルセットや骨盤ベルトを使うと、骨盤が閉まり腰回りの筋肉をサポートしてくれる働きがあります。


【コルセットや骨盤ベルトの着け方】
ポイントとしては大腿骨の出っ張りの「大転子」「恥骨」を巻くという事です!!

まずは、大転子を見つける事。
立った状態で手を下すと自然と大腿骨に触れます。
その骨に添って身体の体幹方向にのぼっていくと出っ張りが出てきます。それが大転子です。
左右の大転子に骨盤ベルトをあてて、少し引っ張りながらつけます。
目安としては付けた後にパーにした手が入るくらいの引っ張り具合です。
きちんと装着できると骨盤ベルトで恥骨も隠れる状態となります。


骨盤ベルトは妊娠中から出産後まで使えるもの、帝王切開後も使えるものなど様々な種類があります。

またコルセットなどは姿勢をサポートしてくれるアイテムですが、長期間にわたって着用すると筋力低下につながるケースもあります

個人の状態によって使用に注意が必要な場合もあるため、気になる場合は一度かかりつけ医に相談することをおすすめします。
 

腰痛対策のエクササイズ・ストレッチ

腰痛対策のため、家でできる方法をいくつか紹介させていただきます。
 
 

骨盤底筋のエクササイズ

上でも話したように骨盤底筋は腰痛緩和のためにも重要な筋肉となります。
また産後の尿もれなどのマイナートラブルの対策にもつながるのでオススメです。

方法は簡単です。
1.ベッドや床に横になります
2.膝をたてます
3.肛門や膣を閉めるよう力を入れていきます

最初は10回1セットを意識して行ってみてください。
できるようになったら2〜3セットできるとさらにベストです。

 

お腹のインナーマッスルの強化

出産に向かうにつれて引き伸ばされてしまったお腹前面の筋肉を伸び縮みしやすくします。
すると緩み過ぎた筋肉が元に戻り、さらにコルセットのように腰回りをサポートしてくれます。

腰痛のストレッチ、セルフケア方法
1.ベッドや床に横になります
2.手はおへその位置。
3.ゆっくり吸って2秒止める
4.ふーっと限界まで吐ききります
5.またゆっくり吸っていきます

まずは吸って吐いてを5セット。
慣れてきたら増やしましょう

息をこれ以上吐けない状態まで吐くと、お腹のインナーマッスル(腹横筋や腹斜筋など)が使われます。
もし筋肉が収縮してるかわからない場合は、お腹に置いている手を少し押し込んで動いている感じがすればOKです。
 
 

腰やお尻のストレッチ

まずは
1.四つん這いになります
2.息を吐きながら、頭をお腹につけるように背中・腰を丸めていきます
3.気持ちいいと感じるところで2〜3秒キープ
4.息を吸いながら戻していき、さらに反らしていきます
5.気持ちいいと感じるところで2〜3秒キープ

次はお尻
お尻は腰と関連していて、腰回りの緊張がある場合はお尻周りも硬くなってしまっている可能性もあります。
そのためお尻周りの緊張を取り、腰周りの緊張も取っていきます。

1.イスに浅く座ります
2.右足の外くるぶしを左膝にのせ4の字を作ります
3.息を吐きながら上半身を前に倒していきます
4.気持ちいいところで2〜3秒キープ
5.息を吸いながら状態を戻していきます

5回左右やってみてください。

このストレッチは痛みの出ない範囲でやってあげてください。

 

そあら鍼灸院の腰痛対策と鍼灸治療

当院でも産後の腰痛のケアをさせていただいています。

当院ではまず患者さんの脈やお腹の状態を診て、お身体の状態を把握し、本治(病気の根本的な治療を目的とした方法のこと)をおこないます。
それによって腰痛が出てしまっている根本の原因をケアしていくのです。


産後ですと出産の時のダメージにより血が足りなくなっていたり、睡眠不足や疲れなどによって気が消耗していたりします。



東洋医学では「腰は腎の府」といい、生命に関する気の源である腎は腰にあり、腎の影響は腰との関係が深く関わります。

足腰に力が入らない、足腰がだるい、足腰が冷える、足腰が疲れる…

そして女性は7の倍数で…というCMを聞いたことがあるかもしれませんが、加齢がもっとも腎との関りが深いとされます。


また月経時に腰が重くなったり痛くなるなど。

こちらは「腎」と共に「血」というものが絡んできます。

血は「肝」が貯蔵するエネルギーです。

「婦人科疾患は全て「血」が関わる」
と言われるほど切っては切り離せない関係性となります。

さらに「肝」と「筋」というものは密接な結びつきがあります。
どちらも血が豊富にあることが重要だからです。



まさに肝腎要め(かんじんかなめ)。

腰痛には腎と肝の存在を考えなくてはなりません。


そして心・脾・肺といった他の臓もすべて合わせて助け合っているので、いずれの臓が原因でも腰痛を発することになります。





産前産後の腰痛の治療と予防については「寒さを防ぎ、冷えや湿気を除くこと」「気血の流れを良くする」「肝と腎の機能を高め、筋肉を強化する」ことがポイントとなります。

水や風などから生じる冷えは痛みのもととされるので、産前産後は気を付けましょう。


そこを改善していくことで、腰回りの緊張が取れ、痛みが緩和していきやすくなります。



またより早く改善できるよう、お家でのセルフケアとしては原因となる上記の臓を助けるために必要なツボにお灸や、ストレッチなどをお身体の状態に合わせてご提案しています。


事例

当院に来られて無事に妊娠し、出産後腰痛が治らず来院された方の事例を紹介します。


もともと当院に通われていて無事に着床し、出産間近まで定期的に通われていました。

出産前はマイナートラブルもほとんどなく、無事に産まれるようにと安産灸も欠かさずやっていらっしゃる方でした。


3.5時間の超安産で無事に出産されたと報告をくださいました。


しかし出産を機に、体調が悪くなったとのことでご連絡をいただきました。
今まで自分のメンテナンスしていた時間がなくなり、寝不足になりながらも育児に奮闘していたところ段々と腰が痛くなってきたそうです。

通院された時は動作のたびに痛みが出ていて、床に落ちたものを拾うのも一苦労でした。


身体を診ていくと、冷えが強く出ていました
もともとこの方は冷えが出やすい方で治療により改善していたのですが、また出産や育児のダメージで冷えが出やすくなってしまったようです。

その冷えが特に「肝」に現れていました。
出産により大量の血を失い、血の調節をしている肝により多くの負担がかかってしまった可能性があります。
冷えの軽減と肝のサポートの治療を行いました。

治療していくと「久々に身体がポカポカしていて気持ちいい」とおっしゃっていて、治療後には前屈みがスムーズにできるようになり痛みが緩和していました。
 
だいぶ腰の緊張は取れていきましたが、今後も腰の痛みが出ないように必要な筋トレやストレッチ方法をお伝えし、治療を終えました。

それから3か月後、連絡をしたところ
「抱っこなどで負担が増えた時は少し痛みが出ることがありますが、痛みが出たら教えて頂いた筋トレやストレッチをするとバリバリ動けます!!ありがとうございます。」と返信がきました。

 

まとめ


産後の腰痛は
・出産による重心の変化
・筋力の低下
・骨盤底筋の緩み
・ホルモンバランスの変化
・育児による負担
・メンテナンスの時間がない など
様々な要因によって起こりやすくなります。

解剖学的にも東洋医学的にも明確な骨盤の歪みという根拠は見つけ出せません。


まずは脈でお身体の状態を診て、腰痛が起こってしまっている原因を特定し治療をする。

そうすることで、あなたに合った治療とお家でのメンテナンス方法をお伝えでき、より早く痛みを改善できる可能性が広がります。
お子さんとの大切な時間を痛み無く過ごせるよう、お身体をサポートさせていただければ幸いです。






この記事の著作者

鍼灸師 柔道整復師 福田 真弓

「東京漢方鍼医会」会員

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。

この記事の著作者

院長 松本 敏樹

不妊カウンセリング学会 認定不妊カウンセラー
一般社団法人「日本生殖医学会」会員
妊活コーチ/妊活コーチング
東京漢方鍼医会 代表

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。
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