毎月ニ回、所属している鍼灸の研修会にスタッフ全員で参加しています。
今回の研修会は「鍼灸と漢方薬」についての講演がありました。
今回はその中で話題に出た、流産と鍼灸・漢方薬の話をまとめます。
白朮散は流産をしかけた時(切迫流産)によい漢方薬。
子宮を温める作用があります。
漢方薬も鍼灸も同じ理論なので、
漢方薬で○○という薬が出た場合、鍼灸で治療する場合はこういうツボを使うという様に考えることができます。
「白朮散を用いる場合は、冷えて流産しやすい方」というお話しがありました。
白朮散が適応する身体の状態は、脈はこんな感じで・・・というように薬の適応を考えます。
ということは白朮散が適応する場合は、
「鍼灸で考えるとこのようなツボを選ぶ」というように考えることができます。
例えば脈が沈んで細いような脈は流産しやすくなりますが、
そのような方は妊娠する前から温経湯がよく、
妊娠したけど、流産の心配がある場合に初めて白朮散が適応となります。
紀元後200年ころに書かれた『金匱要略』という本の中の婦人妊娠病篇というところに記載されています。
妊娠中の腹痛には当帰芍薬散
また、同じ篇に当帰芍薬散についても記載があります。
来院される患者さんの中で、病院でよく処方されている漢方薬です。
当帰芍薬散は「婦人懐妊腹中痛スルハ当帰芍薬散之ヲ主ル」とあります。
妊娠中の腹痛には当帰芍薬散を用いるということです。
よく適応するタイプは、血が少なく身体に水が多いための症状を現わしている様な人です。
したがって当帰芍薬散が適応する場合では、
血が少なく身体に水が多いというようなタイプととらえ、
鍼灸治療の際にはその様なツボを選べば効くということになります。
鍼灸も漢方薬も、その時のその人の体調や体質的なことを考えて使わないと効きません。
この病気にはこのツボ!不妊治療にはここのツボ!なんて便利なツボがあれば簡単なのですが…
ずっと来られている患者さまで体調を理解していたとしても、
きちんと毎回症状を伺って脈を診て、お腹を診て、体表観察をする。
そして、その時のその方の体調や体質的なことを考えツボを選ばないと効果的ではありません。
当院では、
病院での治療方針、治療状況、使用している薬など西洋医学的な状況を踏まえて、
以上の様な考えのもと鍼灸治療を提案しています。
妊娠中の腹痛には当帰芍薬散
血が少なく身体に水が多い方が適応
となります。
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