妊活お役立ちコラム
2022/05/10
妊娠中/産後
妊娠中に絶対に避けたい2つの食品【生肉・ナチュラルチーズ】
妊娠中の食事は、
・お刺身や魚介類を控える
・身体を冷やす食品を避ける
・ビタミンAとビタミンDや、塩分の摂りすぎに注意する
などなど、本当に気を付けることがたくさんありますよね。
本記事では、その中でも特に気を付けることで流産や赤ちゃんの身体的影響を防ぐことが出来る食品について紹介していきます!
それは、
・生肉
・ナチュラルチーズ(加熱殺菌されていないチーズ)
です。
ユッケや生ハムなどの生肉、チーズが大好きな方は特にどうして食べられないの?と疑問に思いますよね。
実は、これらは妊娠中に食べることで流産や、胎児に影響が出てしまう「トキソプラズマ」「リステリア」に感染する可能性がある食品なのです。
トキソプラズマ?
リステリア?
あまり馴染みのないこの言葉ですが、それぞれご説明していきます!
「トキソプラズマ」って何?
トキソプラズマとは、寄生虫の一種です。
生肉や寄生虫卵に汚染された猫の糞、その糞で汚染された土が感染源となります。
通常、成人がトキソプラズマに感染してもおよそ8割は無症状と言われており、妊娠する前から抗体を持っていた場合は、胎児に影響はありません。
しかし、妊娠中に初感染してしまうと、胎盤を経由して胎児に移行し、流産や死産、水頭症や脈絡網膜炎という目の病気などを発症する「先天性トキソプラズマ症」の可能性があります。
現在は、残念ながら感染予防のワクチンはありません。
このトキソプラズマの抗体を持っている妊婦は、わずか7%程度と報告されています。
(トキソプラズマ妊娠管理マニュアル [第 4 版]http://cmvtoxo.umin.jp/doc/toxoplasma_manual_20200116.pdf
では、2〜10%と記載があり、また地域によって保有率の差がみられます)
抗体の有無は、妊娠初期の血液検査でわかりますが、妊婦の抗体スクリーニングについて、産婦人科診療ガイドライン(2017 年)の「妊娠初期の血液検査項目は?」という質問において推奨レベルCとされています。
しかし、 現在では、胎児トキソプラズマ感染を予防し治療する母体治療法も認知されており、実際には妊婦取扱施設の半数程度でスクリーニングが実施されているそうです。
(※スクリーニングとは、無症状の者を対象に、疾患の疑いのある者を発見することを目的に行う検査)
〇トキソプラズマの感染経路
トキソプラズマは、生肉や寄生虫卵に汚染された猫の糞、その糞で汚染された土が感染源になるので、
・加熱不十分な肉
・洗浄不十分な野菜や果物
の摂取で感染してしまうケースが多く、
他には、
・飼い猫のトイレ掃除
・園芸
などもあり、
頻度は低いですが、眼、鼻の粘膜や外傷でも感染すると言われています。
妊婦では、まず胎盤に感染して、その後、胎児脳や肝臓などの実質臓器に感染します。
胎盤はトキソプラズマ感染が生じやすい組織であり、トキソプラズマ胎盤感染と胎盤機能低下から胎児発育不全を起こしたケースも報告されています。
しかし、胎盤の感染防御機構によって、胎児感染はある程度阻止されます。
母体感染から胎児感染の成立まで数ヶ月かかるとされています。
胎児感染のリスクは母体が感染した時期によって異なり、妊娠初期の感染では胎児感染率は低いが症状は重度になりますが、妊娠経過とともに胎児感染率は増加し、妊娠末期で60〜70%に達します。
症状は軽度や不顕性(病気の過程が始まっているがまだ症状が表れていないこと)が多くなると言われています。
どうしたら予防できる?
お腹の中の赤ちゃんとご自身を守るためにも、予防がとても重要になります!
生肉(レアステーキ、生ハム、サラミソーセージ、ユッケ、パテ、馬刺しなど) ・ナチュラルチーズの摂取は極力控えましょう。
(プロセスチーズは加熱処理されているので大丈夫です)
生肉を触れた後は石鹸でよく洗い、まな板やシンクをこまめに洗浄することも予防になります。
トキソプラズマは、
・加熱処理(56 ℃、15 分以上)
・加熱処理(70 ℃、10 分以上)
・冷凍処理(-20 ℃、24 時間 以上)
により不活化するので、食材は必ず中まで火を通すように調理しましょう。
最近流行りのジビエ料理などで使われるエゾシカも、トキソプラズマを保有していると言われておりますので妊娠中は避けましょう。
他にも、土壌からの感染対策が必要です。
・土のついた野菜や果物は、しっかり洗ってから食べる
・ガーデニングや飼い猫の糞の処理は、よく手を洗う・手袋をつける
などの対策をしましょう。
「リステリア」って何?
リステリアは、河川水や動物の腸管内など環境中に広く分布する細菌ですが、加熱処理していない食品に付着している場合があり、それを食べることで感染してしまう可能性があります。
リステリアの食中毒の主な原因食品例
・生ハムなどの食肉加工品
・未殺菌乳、ナチュラルチーズなどの乳製品(加熱をせずに製造されるもの)
・スモークサーモンなどの魚介類加工品
日本でのこれまでの食中毒統計では、リステリアによる食中毒の報告例はありませんが、食品安全委員会の評価書によると、リステリア感染症の推定患者数は年間200人(平成23年)とされています。
発症しても軽症で自然に治るとされていますが、リステリアに感染したときの症状の重篤度には個人差があります。
悪寒、発熱、筋肉痛などインフルエンザなどの他の感染症と区別が難しい場合や、敗血症、髄膜炎、中枢神経系症状などを引き起こす場合(リステリア症)もあります。
「妊婦リステリア症に関する指針」では、菌に触れてから2ヶ月以上無症状、もしくは発熱を伴わず、筋肉痛のみなど軽症の場合、胎児への影響を心配する必要はないという見解が示されています。
また、菌に触れてもリステリア症になる確率は極めて低いことがわかっています。
どうしたら予防できる?
リステリアは、他の一般的な食中毒菌と同様に加熱により死滅しますが、4℃以下の低温や、12%食塩濃度下でも増殖できる点が特徴です。
冷蔵庫内でも増えるので、消費期限を守り、長期間保存せずに開封後は速やかに食べるよう心がけましょう。
他にも、
・生野菜や果物などは食べる前によく洗う
・冷凍庫で保存する
・肉と魚の加工品や乳製品は加熱してから食べる
なども対策になります。
まとめ
トキソプラズマやリステリアなどの食品から感染するものは、正しい知識をもって日々の予防をしっかりとおこなっていれば、感染対策ができるので、妊娠中も安心して過ごすことができます。
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