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妊活お役立ちコラム

2024/05/16

不妊治療解説

二段階移植・SEET法(シート法)の効果|子宮内膜刺激法

ついに体外受精に取り組むことになったものの、分からないことだらけ。
何をどう調べればいいか分からない、そんな経験はございませんか?

当院の患者様で分厚いファイルを持参され

「体外受精にステップアップすることにしたら病院からこの資料を渡されました。でも何が何だか分かりません!」

と嘆いた方もいらっしゃいます。

一言で移植といっても1人でも多くの患者様が妊娠できるよう、病院は様々な方法を研究しています。
今回お話しする二段階移植・シート法は移植の際のアプローチ方法の1つです。

ここでは二段階移植・SEET法の考え方やメリット・デメリットについてまとめています。

    もくじ



二段階移植・SEET法


SEET法は培養液を移植の2〜3日前に注入し、その後胚盤胞移植を行う移植方法。

一方、二段階移植はまず初期胚を移植し、その2〜3日後の同じ周期に胚盤胞を移植します。
つまり1周期の中でタイミングをずらして2つの胚を戻すやり方です。

これらに共通することはクロストーク

ではクロストークとは一体どんなものなのでしょうか?


クロストーク

クロストークとはシグナル交換(細胞同士の情報交換)とも言います。

胚と内膜は互いに信号を送りあっている、会話しているなどと表現されています。

では何故クロストークが必要になるのでしょうか?

良好の胚と充分な内膜だけでは着床に至りません。
胚と内膜が互いに信号を送り、化学物質を分泌し合うことで胚の受容能を高めることで着床しやすい状態にします。

自然妊娠の場合は受精卵が分割している間、互いシグナルを送りあうことができます。

しかし、胚盤胞移植の場合はクロストークする期間がないまま移植を迎えます。

そこでクロストークを補う手段として考えられた方法が二段階移植とSEET法です。


二段階胚移植について

二段階移植は初期胚を移植した後に、胚盤胞移植を同周期に行う移植方法です。

初期胚を2つ移植するより、初期胚1つ移植した後に胚盤胞1つを移植する方がより妊娠率上昇し、注目されていました。

それはつめに移植した初期胚からシグナルが行われるため、胚盤胞移植をされる頃にはクロストークが成立しています。

しかし、胚を2つ移植するため多胎のリスクが懸念されます。

そこで1つの胚移植でクロストークをする手段としてSEET法がうまれました。


SEET法(子宮内膜刺激胚移植法)について

SEET法とは移植の2〜3日前に培養液を注入してから胚盤胞移植を行う移植方法です。

培養液には胚の受容能を促進させる因子があります。
胚を移植せずとも培養液を注入することでクロストークが成立し、着床しやすい環境を作り出します。


SEET法の種類

SEET法には使われる培養液が2種類あります。
自身の胚を培養した際に使用された培養液を注入する子宮内膜刺激SEET法と一般培養液を使用する簡易SEET法があります。

なお、日本IVF学会の学術集会にて以下の研究が発表されています。

「当院における年齢別SEET法実施妊娠成績」(はらメディカルクリニック)
当院では、胚盤胞凍結時に使用していた培養上清を用いたSEET 法と、培養に使用していない培養液GM601 Culture( GYNEMED)を用いた簡易SEET法を実施している。
今回、当院におけるSEET 法の実施別の妊娠率について比較を行ったので報告する。
<中略>
41〜43歳までの妊娠率はS群で14.4%、簡易群では16.9%と、簡易群の方が高くなったが、その他の年齢層ではS群の方が高い妊娠率が得られた。
しかし、どちらにおいても有意な差は認められなかった。
現在、培養上清には着床に関与するリゾホスファチジン酸が含まれているとの報告があり、他にも多くの胚由来因子および内膜刺激因子が含まれていると考えられる。
https://www.jsar.or.jp/dissertation/当院における年齢別seet法実施妊娠成績/


二段階移植・SEET法の適応

良好胚を移植してもなかなか着床に至らないケースがあります。

子宮内膜ポリープや卵管水腫などの器質的要因も挙げられますが、これらが当てはまらない場合は子宮内膜が着床する準備が整っていない胚受容能の低下が考えられます。

そのようなケースの場合、二段階移植・SEET法が適応となります。

また、SEET法は先進医療に含まれる治療法ですので、自費治療ではありますが、保険診療との併用ができます。


二段階移植・SEET法のメリット・デメリット

どちらの方法も胚受容能を上昇させる手段です。

しかし、二段階移植の場合は複数胚を移植するため多胎のリスクが高まります。

SEET法では移植する胚が1つのため多胎のリスクが避けられる一方、長期間培養した培養液を注入するため、子宮内感染症の可能性は否めません。


そあらの考え



当院では子宮環境を整え、着床しやすくするための着床鍼灸を行っております。

子宮環境を整えるためにはホルモンがきちんと子宮内膜に送られる必要があります。
そのためには血流をよくすることと自律神経を調整し、ホルモンバランスを整えることがポイント。

鍼灸治療では全身の血流をあげる効果・自律神経を整える効果がありますので二段階移植やSEET法の効果を後押しさせます。

子宮内膜と鍼灸の関係についてはこちらから



二段階移植による鍼灸のポイント

当院では着床の時期に合わせて治療する「着床鍼灸」を推奨しています。
なので二段階移植の場合は2回目の移植である胚盤胞移植の日に合わせて治療を行います。

しかし、着床鍼灸はその日だけ治療すればいいわけではありません。

鍼灸治療を1回受けただけではまた元の身体の状態に戻ろうとする力が強く働きます。
移植日に向けて体を整え、最後の仕上げとして着床鍼灸を行うことで最大の力が発揮されます。


初期胚、二段階移植、SEET法での着床鍼灸の詳細はこちらから



週1回3ヶ月治療をしてから二段階移植に臨んだ事例

ここで当院に通われている患者様のお話をさせていただきます。
40歳のAさんは2人目治療を始めるにあたり、当院での鍼灸治療を始めました。


Aさんは1人目治療の際は身体づくりを行いつつ10回以上採卵され、流産の経験もございます。

努力の甲斐あって上のお子様を無事に妊娠出産できました。

しかし、出産のダメージだけでなく、日々の睡眠不足などもあり、自分のメンテナンスは一切できない状況。

そこで、1人目治療で採卵した胚があるため、採卵はせずにすぐに移植することは可能ですが、まずはしっかり体を整えてから移植をしたいとAさんは話していました。

週1回鍼灸治療を行ない、日々悩まされていた腱鞘炎の痛みも少しずつ軽減し、3ヶ月間身体づくりに専念しました。

そしてグレード2の初期胚を移植し、2日後に胚盤胞を移植しました。
その結果、無事に妊娠!

着床鍼灸も大事ですが、週1回の治療を3ヶ月続けお身体のメンテンナンスをすることで移植の後押しができたのではないかと考えています。


まとめ

二段階移植もSEET法もクロストークを通じて胚の受容能を高めることで着床を促します。

一方、鍼灸治療では血流を促進し、自律神経を整えることで二段階移植・SEET法を後押しさせることができます。

とはいえ、着床鍼灸は決まったツボを使うものではありません。
脈やお腹をみて、患者様の1人1人の状態に合わせて本来持つ力を引き出します。

移植の際はどうしても緊張して体がこわばってしまっても無理はありません。
着床鍼灸を通じて体をリラックスして血流よくして胚を迎え入れるお手伝いができたらと思います。

着床鍼 移植鍼灸

この記事の著作者

鍼灸師 あんまマッサージ指圧師 楠本 敦子

「東京漢方鍼医会」会員

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。

この記事の著作者

院長 松本 敏樹

不妊カウンセリング学会 認定不妊カウンセラー
一般社団法人「日本生殖医学会」会員
妊活コーチ/妊活コーチング
東京漢方鍼医会 代表

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。
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