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妊活お役立ちコラム

2024/01/03

不妊治療解説

着床不全とは|着床障害の原因(慢性子宮内膜炎や免疫の問題?)

「今度こそは!と思い今周期も治療をがんばるけどまた生理が来てしまい、これだけうまくいかないのは何か着床に問題があるのかな?と思い途方に暮れてしまう。」 

「私は子宮筋腫や内膜症があるから、着床しにくいのではないか。やっぱり手術をしないと妊娠できないのかな。でもそれだと時間をまたロスしてしまうと思うと不安で仕方がない。」

「グレードも良く、先生も良い胚と言ってもらえたのに結果は陰性。胚が良さそうでも子宮環境が良くなかったのかなと思うと先に子宮内の検査をしておけばよかったと悔しさと後悔がある。」


いずれも患者さんが話されていたことです。


妊娠するためには「卵子の質」がとても重要とされています。

しかし、卵子の質だけではありません。
受精卵が着床するために子宮環境も良くしていく必要があります。


着床を妨げる要因にはどのようなものがあるのか、またその場合どんな治療を行うかなど説明していきます。

    もくじ


着床障害とは

着床障害とは、体外受精で良質な胚(形態が良いグレードの高い受精卵)を移植しても、繰り返し着床しない症状をいいます。

反復着床不全とも言い、病院によっては具体的な移植の回数を2〜4回と定めているところもあります。

着床の課程はとても複雑な上、着床しない原因は「胚側」「子宮側」、もしくは「母体側」の3つ。


どれか一つだけではなく全てに該当している場合があり、着床障害の原因をはっきりさせることはとても困難とされています。


着床障害の原因となり得る要因を一つ一つ説明していきます。


胚因子の原因(染色体異常)と対応



一般に体外受精で妊娠しない原因が一番多いのは「胚側」の原因の染色体異常です。

胚には染色体というDNAや多くの遺伝子が格納されている構造体があります。

人の染色体は、23種類が2本ずつペアになり46本の染色体があります。

染色体数が1本少ないまたは多かったり、構造が正常でないと移植しても妊娠しないか流産します。



一般的に年齢が上がるにつれて染色体異常胚は増加していきます。

20代よりも40代の方が妊娠しにくいのは染色体異常の胚の割合が増えてくるからなのです。


しかし、残念ながら胚の染色体異常を「治す」治療は存在しません。

現在の体外受精では胚の評価を胚の形態や成長スピードで判断しているため、染色体の異常があるかを完全に知ることができません。

しかし、胚のグレードと妊娠率は相関することが知られており、グレードがよければ胚の質がよい可能性が高くなります。


それでもうまくいかない場合は、PGT-Aという選択肢もあります。


PGT-A(着床前染色体異数体検査)

PGT-Aとは、体外受精によって得られた胚(受精卵)の染色体数を調べる検査です。着床前遺伝子検査とも呼ばれています。

PGT-A検査の適応条件として
  • ・体外受精を2回以上成功していないご夫婦
  • ・2回以上流産を繰り返しているご夫婦
となります。

胚の染色体の数に異常があると、着床しない、または着床しても成長が進まず流産死産となってしまう可能性が高くなるのです。

そのため事前に検査をして染色体異常のない胚を移植することで、妊娠率や流産率の改善を期待できるとされています。


上記でも書いたように、胚因子が原因となって着床・妊娠できないケースが多くあります。

そのため、染色体異常のない胚を移植することで着床を期待することができるのです。


子宮因子の原因と検査・治療



着床しづらくなってしまう原因の2つ目が「子宮因子」となります。

各項目に沿って説明していきます。


子宮の形態の問題

  • ・子宮内膜ポリープ
  • ・子宮筋腫
  • ・卵管留水腫
  • ・子宮腺筋症
  • ・子宮内膜症
  • ・子宮内腔癒着
  • ・子宮形態異常 などが該当されます。

上記が疑われる場合、子宮鏡検査、子宮卵管造影、超音波検査、MRIなどを使って確定診断をしていき、必要があれば手術を行います。


子宮内の環境の問題


子宮内膜受容能検査(ERA ・ERPeak)

子宮内膜受容能検査とは、着床のタイミングが合っているのかを遺伝子的に調べる検査となります。

俗に着床の窓の検査と呼ばれているものです。


体外受精で移植する際、着床する準備ができている胚(胚盤胞)と受け入れる準備ができている子宮内膜のタイミングが合わないと着床しづらくなってしまいます。

子宮内膜受容能検査を受けることで最適な移植日を決定するのに役立つのです。


エマ/子宮内膜マイクロバイオーム検査(EMMA)

EMMA検査とは、子宮内膜に存在する細菌の種類と量を調べる検査です。

子宮内におけるラクトバチルス属の菌の割合が崩れると、生殖補助治療を受ける患者さんの治療成績に影響されることがわかっています。


子宮環境を良くする菌が少なかった場合、乳酸菌やラクトフェリンなどで対処していきます。


アリス/感染性慢性子宮内膜炎検査(ALICE)

ALICE(感性性慢性子宮内膜炎)検査は、慢性子宮内膜炎の原因となる特によく認められる細菌を検出することができます。

子宮内のラクトバジルス属の菌が少なくて雑菌が増殖すると、炎症が慢性的に起こります。

すると身体の免疫反応が働き、それが着床障害につながる可能性が考えらるのです。


この検査を行うことで病原菌を保有しているか、もしある場合は病原菌の種類やどれくらいの割合なのか調べることができます。

治療としては、その病原菌に対して抗生物質を投与します。


慢性子宮内膜炎(BCE 検査)

近年では、慢性子宮内膜炎が着床不全や反復流産、早産に関与することがわかってきました。

慢性子宮内膜炎は、子宮内膜間質に形質細胞の浸潤がみられることで確認できるため、子宮内膜組織検査(CD138免疫染色)で形質細胞を調べれば慢性子宮内膜炎が起こっていないか診断できると言われています。

陽性であれば、抗生物質を投与し炎症を抑えていきます。


子宮鏡検査 (子宮ファイバースコープ検査)

子宮鏡検査とは、簡単に説明すると子宮内を胃カメラのような小型のカメラで細かく見ていく検査のことです。

子宮内部の筋腫(粘膜下筋腫など)や子宮内膜ポリープの有無、先天性子宮形態異常、子宮内の癒着などがあるかを直接観察することができます。


原因不明子宮内膜異常の対策


PRP・PFC-FD 療法 (多血小板血漿療法)


PRP療法は、患者さんの自分の血液から抽出した高濃度の血小板血漿を作成し、子宮内に注入する再生医療です。

PRP(自己多血小板血漿)は、細胞の成長を促す豊富な成長因子を放出し、組織の修復、損傷部位の血管新生などを促すことが知られています。

着床不全、特に子宮内膜が菲薄化している場合などに効果が期待されています。


GM-CSF(マクロファージコロニー刺激因子)含有培養液 


GM-CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)とは、簡単に説明をすると受精卵側と子宮側のコミュニケーションに重要な細胞増殖因子の一種です。

主に女性の卵管や子宮内膜などで分泌され受精卵の分化・増殖、および胚盤胞の形成や着床時の免疫反応を抑制し着床を促すことに関与しています。


最近の研究で化学的妊娠、初期流産を繰り返す方や着床不全の方の中には血中GM-CSFの発現量が少ないことがわかってきました。


そのためGM-CSFを融解後の培養および胚移植に用いることにより、妊娠率の向上が期待でき、妊娠継続に寄与できると示唆されています。


子宮内膜スクラッチ

子宮内膜スクラッチとは、子宮内膜にあえて小さな引っかき傷を作る方法です。

その傷の修復のために分泌される成分が、着床能を高めると報告されています。


スクラッチを行うタイミングとしては、移植を行う前の周期の排卵日の数日後に行う事が多いです。


母体が原因となりうる場合の検査・治療



血液凝固因子 


第 12 因子・プロテイン C・プロテイン S、aPTT

血液中の凝固因子(血液を固めて出血を止める働き)に異常があると、血栓が作られやすくなり、流産や死産を繰り返すことがあります。

元々、不育症の検査の中に入っていましたが、着床した部分の血管においても血栓による血液凝固異常が血流不全を引き起こし、発育停止に至る可能性があるとしています。

凝固因子異常の疾患として、
  • ・第12因子
  • ・プロテインC欠乏症
  • ・プロテインS欠乏症 などがあります。

治療法は不育症と同様にヘパリン、アスピリンによる抗凝固療法を用います。


自己免疫因子

自己免疫因子とは、本来なら身体を守る「免疫」という仕組みに異常をきたし、自分自身を攻撃してしまう病気の総称となります。


抗核抗体 

抗核抗体は、全身性の多臓器疾患である全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病を持っていると高い値となることが知られています。

抗核抗体と不妊症の間に直接的な因果関係は証明されておりません。

抗核抗体陽性の方でも無事に妊娠出産されている方は大勢いらっしゃるといわれています。

しかしある特定の染色パターンを示す抗核抗体の場合、受精障害の原因になるという報告があるのです。


抗リン脂質抗体

抗リン脂質抗体とは、リン脂質、またはリン脂質とそれに結合する多様なタンパク質の複合体に対する自己抗体群の総称で、動静脈血栓症、習慣流産、血小板減少をきたしやすいといわれています。

代表的な抗リン脂質抗体として
  • ・抗β2グリコプロテインI抗体(抗β2GPI抗体)
  • ・抗カルジオリピン抗体(aCL)
  • ・ループスアンチコアグラント(LA) 
などがあります。

同種免疫因子 

夫婦の組織の型の相性が悪いと、胚を異物と勘違いしてしまい、着床に影響する場合があります。

Th1/Th2 比
ThとはヘルパーT細胞。

ヘルパーT細胞には細菌やウイルスなどの異物に反応し細胞性免疫を誘導する「Th1細胞」と、液性免疫を誘導する「Th2細胞」に分かれます。


着床・妊娠が維持されるのはTh1細胞機能が低下し、Th2細胞機能が亢進するためと考えられています。

対して、Th1値が高くなるほど、胎児や胎盤を排除しようとして、反復着床不全などを引き起こしやすいとされているのです。

血液検査でTh1/Th2の比率が10以上と高い数値が出た場合は、免疫抑制剤であるタクロリスムを内服して、免疫が強く反応するのを抑えていきます。


NK 活性

NK(ナチュラルキラー)細胞とは全身をパトロールしながら、がん細胞やウイルス感染細胞などを見つけ次第、攻撃するリンパ球です。


NK細胞の中には攻撃力の強いものと弱いものが存在します。


通常、妊娠すると攻撃力の弱いNK細胞が子宮内膜に移動し、受精卵を外敵から守ろうと働きかけます。

しかし、何らかの原因で攻撃力の強いNK細胞が子宮内膜に移動してしまうと着床を妨げてしまう働きをするのです。


実際に反復着床不全の方は、NK細胞活性が高い場合があると研究データが出ているそうです。


検査で異常値が出た場合には細胞の活性を抑えるためのステロイド療法や漢方など使って治療している病院もあります。

漢方は「柴令湯」を使われることが多く、身体の免疫反応を調節し、炎症を和らげる働きがあります。

柴苓湯にはTh1/Th2サイトカインバランス調整作用があるため自己抗体価が減少すると報告されている。
【柴令湯についての論文】


ホルモン異常

様々なホルモンの変動によって、着床を妨げてしまっている原因もあります。


甲状腺機能検査 

甲状腺ホルモンは高すぎても低すぎても何らかの月経異常をきたすことは知られていました。

さらに子宮内膜にも直接働き、卵子の着床に深く関わっていることが明らかになったのです。


高プロラクチン血症

乳腺を刺激する作用のプロラクチンというホルモンは、卵巣機能の抑制と、拒絶免疫の促進作用もあるため、妊娠前から高値である場合は不妊・着床不全・不育の原因になると言われています。


黄体機能不全

卵子が排卵した後の殻が黄体となり、そこから分泌されるホルモンがプロゲステロンとなります。

プロゲステロンは子宮内膜に作用し、受精卵の着床から妊娠の維持に働く妊娠の成立には不可欠なホルモンです。


一般的に、黄体期の長さが10日以下となる場合を黄体機能不全と言います。


黄体期の長さはFSH濃度の低下、卵胞期のエストロゲン濃度の低下、卵胞期のFSH/LH比の変化などと関連するといわれています。

しかしホルモン値が問題なくても起こる場合がありますので、一概に言えないのかもしれません。


その他の因子

血中ビタミン D
ビタミンDは免疫寛容に関連するTh2細胞やヘルパーT細胞を調節する制御性T細胞を増やす働きがあります。


一方で、免疫拒絶に関連するTh1細胞を抑制することが報告されており、妊娠に有利な免疫の状態を誘導することが知られているのです。


着床不全の他にも、体外受精の妊娠率低下・習慣性流産に関与・新生児の体重や妊娠期間・妊娠高血圧症候群といった妊娠合併症・新生児の発育障害のリスクが高くなるとの報告があります。


銅・亜鉛

・銅
銅は生命活動に必要不可欠なミネラルで体内の骨、筋肉、肝臓に存在しています。

銅は体内でたんぱく質と結合し銅酵素として作用し、酸素の運搬などを促します。

他にもエネルギーの産生や神経伝達物質の産生などにも関与しています。銅があることにより貧血を予防する効果があるのです。


・亜鉛
亜鉛は体内で作り出すことができないため食事から摂取する必要があります。

働きとしては、酵素の構成や酵素反応の活性化、ホルモンの合成や分泌の調整、DNA合成、タンパク質合成、免疫反応の調節などに作用し、身体の成長と維持に必要な栄養素となります。


銅と亜鉛の関係性として、シーソーのような働きがあります。

銅を取り過ぎると亜鉛が減り、亜鉛を取り過ぎると銅が減るのです。


実は体内の銅濃度が高い方は、子宮内膜に銅が付着することにより着床しづらいとの報告があります。

亜鉛を摂取することで銅とのバランスが落ち着き、着床しやすい子宮環境に貢献すると考えられています。

詳しくはこちら


フェリチン

フェリチンとは別名「貯蔵鉄」と呼ばれています。

機能鉄のヘモグロビンが減ってきた時に、フェリチンから補充される仕組みとなっています。

そのためフェリチンが少ない方は隠れ貧血と呼ばれ、鉄欠乏性貧血になりやすいと言われているのです。


鉄が不足すると、活性酵素が発生し、抗酸化酵素の働きが低下します。

すると、卵子の染色体異常が増加し、酸化ストレスになり 卵子の染色体異常が増加するとも言われています。

詳しくはこちら



染色体因子(転座)

流産や不妊と関係がある転座の形として相互転座ロバートソン転座があります。


相互転座

相互転座とは、異なる2本の染色体に切断が起こり、その切断された断片が交換され、他方に結合するものです。





2本の染色体が交差した時に起こりやすいと言われています。

遺伝子情報の位置が変わっただけなので、見た目や身体の変化などはありません。

しかし、子孫を残すために精子や卵子を作る際、遺伝情報の過不足が起こる場合があるのです。

それにより流産が起こったり、相互転座が遺伝されてしまったりと起こりやすいのです。


ロバートソン転座

ロバートソン転座とは遺伝子の長い方がくっついてしまい、本来4本あるところが3本となってしまっている状態です。
(遺伝子番号13.14.15.21.22の5種類が起こりやすいとしています)


短い方の遺伝子がなくても過不足はないため、見た目や身体の変化はありません。

しかし子孫を残す場合、不均衡が生じる事があり、不妊や流産の原因となります。





正常な人の染色体と一緒になって子どもとなるので、6種類の染色体の子どもができる可能性があります。

遺伝子レベルの高いところでの過不足があると着床に至らない場合が多いです。

しかし、染色体の過不足があっても、不均衡の度合いが低い場合はダウン症として産まれてくる可能性もあります。


染色体が正常な場合と転座保因者は産まれてきます。


このように転座があるかどうかは胚盤胞の見た目だけでは分かりません。

調べるためには遺伝子レベルでの検査、着床前スクリーニング(PGS)でしか判断が難しいのです。


そあらの施術目的・対応

では着床不全に対し、鍼灸治療がどのようにアプローチしていくのか説明させていただきます。

関連があるのが
  • ・血流を上げる
  • ・免疫機能の向上
  • ・自律神経を整える

この3点です。


血流を上げる

着床しやすい身体に近づけるためには「卵子の質」「子宮環境」がとても重要とお伝えしました。

では具体的にどう良くしていくのかというと"血流"なのです。


例えば、卵巣の中の卵子。

卵子が成長するために必要な栄養素や酸素、ホルモンなどは全て血管を通り卵子へと届けられます。

もし血流が悪くなってしまうと、卵子へと届きにくくなってしまうので成長がゆっくりになってしまったり、栄養が足りなく質が悪くなってしまったりするのです。


それは子宮環境でも同じです。

受精卵が着床するためには、血流が良い状態で内膜が厚くなっている事が必要条件となります。

鍼灸は血管抵抗指数の改善が認められています。

要は血液の流れを上げる効果があるので、卵子や子宮環境に働きかけ着床しやすい状態へと近づけられるのです。

鍼灸の働きについてはこちらも参考にしてみてください。


免疫機能の向上

「免疫機能の向上」というと、外敵から身を守る働きが強くなる事。

半分ご主人の遺伝子を持った受精卵は攻撃される力が強くなるのではないかと思ってしまうかもしれません。

しかし、そうではありません。

鍼治療は免疫系におけるサイトカイン産生を変化させる可能性があると思われる。…鍼刺激を行った際には、特にIFN-γとIL-10などに変化が認められるといった報告が多い。近年、ヘルパーT細胞には大きくTh1 細胞とTh2細胞の2種類があり、これらが互いにバランスをとることで免疫応答の質を変化させていることが明らかにされ、アレルギーなどの免疫システムにおける疾患においても、これらのバランスの乱れが疾患の原因となっていることが指摘されてきている。このTh1細胞とTh2細胞は、互いにこのIFN-γとIL-10を通じて相手の細胞の活性を抑制し、そのバランスをとっている。この点から見ても、鍼刺激がこの2つのサイトカインの産生を変化させうるならば、鍼治療が免疫システムの調節を行いうる可能性を示すものとして重要な意義があるものと考えられる。



【鍼と免疫】


以上のように

鍼灸ではTh1細胞とTh2細胞のバランスを取り合っている「IFN-γ」「IL-10」に働きかけることができるとされています。


要は病原体と免疫細胞が戦っているのを少し離れたところで見ている司令塔が「IFN-γ」「IL-10」


鍼灸はその司令塔に
「ここは敵が弱いから味方を少なくしても良いのではないか」
「こっちは強敵なので援軍をお願いしましょう」
と調節できる可能性があるという事です。


自律神経を整える

免疫細胞の約7割は腸に存在しています。

腸は「第二の脳」と言われることもあるほど脳に次いで多くの神経細胞が集まっている器官で、その働きは自律神経によって大きく左右されます。

自律神経を整える事で腸の働きも上がり、免疫細胞も活性化させる事で、着床に良い働きをすることができるのです。


着床と脈

当院では、脈を診ることで血流が良い状態なのか、自律神経の乱れがないかを判断しています。

脈は日々変化していきます。

太さが細かったり、ギターの弦のように引き伸ばされ硬くなったり、茹ですぎたうどんのように周りが柔らかくなったり…と体調によって変わっていくのです。

その脈を「妊娠脈」に近づけることを目標に日々治療をしています。

じつは妊娠された方の多くが「妊娠脈」という、熱が多く流れのスムーズな脈となっているのです。

血流を改善し、自律神経の乱れが緩和していくとこの妊娠脈に近づいていきます


事例

慢性子宮内膜炎による着床不全の患者さんの事例をご紹介します。

Aさんは、体外受精へのステップアップを機に当院へご来院いただきました。

当初は肩こりやお腹(特に下腹部)の硬さがかなりあり、また不眠などの不調もありました。

濇脈(しょくみゃく)という滞りのある脈が出ていました。

滞りが長く続き積もり重なることでだんだんお腹が堅くなってきます。
それが瘀血(おけつ)といわれるものです。


鍼灸治療やご自宅でのセルフお灸で症状が少しづつ軽くなってきた頃に臨んだ初めての移植。

期待と不安で迎えた判定日はhCGが0という残念な結果でした。


お家で涙を流しながら、着床しなかった原因はなぜだったんだろうと考えて、すぐに着床障害と不育症の検査を受けられました。
(以前自然妊娠で流産の既往がありました)


検査結果を待っている間に、2度目の移植へ。

結果は…またしてもhCG 0



ちょうどその頃、以前受けた着床障害と不育症の検査結果もきました。

病院では特に大きな指摘はなかったのですが、血流不足により今後は移植後にバイアスピリンの服薬をすすめられました。

この時点で凍結していた胚は0個に。


ちょうどお仕事も忙しくなるタイミングだったので、3周期ほど病院での治療はお休みして新たに漢方を始めたり、更なる体質改善をしてから採卵をすることにしました。



鍼灸治療を始めてから5カ月が経過しました。

仕事も落ち着いてきたころ、肩こりが以前より気にならなくなったり、深く眠れる日が増えてきました。

最初の頃に比べて、下腹部の硬さも取れて柔らかいお腹に変化した状態で2度目の採卵に臨みました。

結果はなんと、以前よりもグレード良好の胚がとれました。


病院では、採卵した次周期にすぐに移植をすることをすすめられましたが、「せっかくグレードの良い胚だから、良い状態で移植をしたい」という思いから、改めてERA,EMMA,ALICE検査を受けることにしました。

検査の結果は全て問題なし。

しかし、本当に何も問題はないのか?と疑問に思い、念のため慢性子宮内膜炎の検査を受けたところ…、なんと強陽性という結果が。


「自分の身体はマイナスなところしかないんじゃないか…」

と検査結果に落ち込み涙しましたが、これが治ればきっと移植が上手くいく!と不安な気持ちに負けず前向きに治療に取り組みました。



慢性子宮内膜炎も無事に完治して迎えた3回目の移植。

判定日に初めてhCGが2桁を超えて、その後胎嚢・心拍確認と進み妊娠継続されています。


この記事の著作者

鍼灸師 柔道整復師 福田 真弓

「東京漢方鍼医会」会員

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。

この記事の著作者

院長 松本 敏樹

不妊カウンセリング学会 認定不妊カウンセラー
一般社団法人「日本生殖医学会」会員
妊活コーチ/妊活コーチング
東京漢方鍼医会 代表

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。
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〔①不妊鍼灸3本柱×②不妊カウンセリング×③おうち妊活〕

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