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妊活お役立ちコラム

2024/06/12

不妊治療解説

子宮内フローラ検査(子宮内細菌叢検査2)|ラクトバチルス菌の割合


これまで、体外受精でうまくいくかどうかは胚の状態に左右されるという意見が多く、子宮環境に関しては深く言及されことも多くありました。

グレードのよい胚を移植してもうまくいかず「卵の質がよくなかったかもね」と言われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

近年、生殖医療の研究が進み、内膜の厚さ以外にも着床を阻害するものについて明らかになったものがあります。

今回はそのうちの1つ、子宮内フローラについてお話します。

    もくじ



子宮内環境(子宮内フローラ)とは

フローラ(flora)という言葉から腸内フローラを思い出した方もいるのではないでしょうか?

フローラとは植物群。

これまで子宮内は無菌状態であると考えられていましたが、研究を進めた結果、子宮内に様々な細菌が存在することが分かりました。

そして、子宮内に雑菌が増えると免疫が高まり胚を異物と認識して攻撃するのではと考えられています。

そうすると着床だけでなく、妊娠の継続も難しくなってしまいます。

では子宮内にはどのような細菌が存在するのでしょうか?

菌の種類

子宮内に存在する善玉菌の一例として以下の菌が挙げられます。

  • ・ラクトバチルス菌(乳酸桿菌)
  • ・ビフィズス菌

子宮内に存在する悪玉菌の一例として以下の菌が挙げられます。

  • ・ガードネレラ菌
  • ・レンサ球菌
  • ・大腸菌
  • ・ウレアプラズマ
  • ・マイコプラズマ

善玉菌が増えることで、悪玉菌が増えづらい子宮環境に整います。

一方、善玉菌が減ると悪玉菌が増えてウイルスや悪性の細菌に感染しやすくなります。
また、胚を異物と思い込み、攻撃してしまうこともあります。

ラクトバチルスの働き

上記で善玉菌の割合が増えると子宮環境が整うと伝えましたが、その中でもラクトバチルス菌の割合が大事になります。

ラクトバチルス菌は腸や膣に存在する菌であり、雑菌の繁殖を防ぎます。
そうすると生殖器全体は酸性が保たれ、悪玉菌の増殖が抑えられます。

悪玉菌が増殖すると子宮内に炎症が発生します
炎症があると免疫が高まり、胚を異物と認識して攻撃してしまいます。

そのため、子宮内のラクトバチルス菌の割合を増やすことが必要になります。

子宮内フローラ検査とは? 



子宮内フローラ検査は子宮内に存在する菌とその割合を調べます。

先進医療として認められているため、保険診療で治療をしている周期に併用が可能です。

ただし内膜から組織を採取するため、妊娠を期待する周期(移植周期など)は避けた方がよいと考えられています。

子宮内フローラ検査を行うメリット 

子宮内フローラ検査をうけることで

  • ・何度移植しても着床しない
  • ・流産を繰り返す
  • ・検査をしても原因不明

これらの理由が解明できる可能性があります。

第1回VarinosWEBセミナーで新橋夢クリニックの瀬川医師は「子宮内フローラ検査によるART成績向上の試みと今後の展望」をテーマに以下の発表をされています。

最後に子宮内フローラ検査とPGTーA(着床前胚染色体異数性検査)について述べたい。
正倍数性の胚を移植した現時点での当院の妊娠成績は、移植あたり妊娠継続率が71.8%と高い値が得られており、患者平均年齢が40才である点を考慮すれば良い成果が得られているものと考えている。
しかしながら、この結果が得られた背景には、約70%の患者が胚移植する前に子宮内フローラ検査やCE検査といった内膜検査や治療を行っている。
このことからPGTーAと内膜検査を組み合わせることでART成功率が向上する可能性があると考えている。
https://varinos.com/wp-content/uploads/2022/06/フローラ講演内容資料原稿0829-2_瀬川先生.pdf

子宮内フローラ検査を受けるタイミングはいつ?

上記の「子宮内フローラ検査とは?」で述べたように、妊娠を期待する周期に子宮内フローラ検査は避けた方がいいとされています。

そのため、移植周期・人工授精の周期・タイミングの周期などに検査を受けることはお勧めしません。

クリニックによってお勧めの検査日が異なりますが、月経期間中は避け、排卵前までに検査をするクリニックが多くありました。

子宮内フローラ検査を行う際の注意点 

子宮内フローラ検査は内膜の組織を採取するため、痛みを伴うことがあります。

検査の結果で感染予防や重度な菌の乱れが判明した場合には抗生物質を投与されます。

また、検査不良で再検査になることや子宮内フローラだけでは不妊原因が分からないこともありえます。


検査方法

子宮内フローラは子宮内もしくは膣内の組織を採取し、DNAを取り出します。
その後、DNA配列を解読し、菌の配列と数から細菌の割合を読み解きます。

これは次世代シークエンス技術が開発されたことにより、検査が可能になりました。


検査ができないとき 

以下に該当する場合、子宮内フローラ検査を受けることはできません。

  • ・妊娠中
  • ・膣炎
  • ・凝血異常
  • ・子宮内感染症
  • ・骨盤炎症性病
  • ・検査を受ける時期に不正出血がある場合(バイアスピリンなどの抗凝固剤を服薬期間も検査不可)

費用

クリニックによって検査費用は異なりますが、40000円~60000円で検査を受けられるクリニックが多くあります。

子宮内フローラ検査の結果が良くなかった場合


細菌性膣炎を引き起こす細菌が検出された場合は治療として抗菌薬が処方されます。

また、ラクトバチルス菌の割合が低い場合、ラクトフェリンなどのサプリメントの処方や生活指導が行われます。


EMMA検査との違い

EMMA検査でも子宮内膜の細菌叢を調べます。

しかし、EMMA検査では「ULTRALOW」という結果がでることがあります。
これは細菌が微量のため、検出できないというもので判断に悩まされていました。

子宮内フローラ検査は次世代シーケンサーを使用しているため、より感度の高い結果を得られます。

EMMA検査についてこちらのコラムでも解説しています。



子宮内フローラを整え方

子宮内フローラを整えるには

  • ・睡眠をしっかりとる
  • ・食事の意識
  • ・ストレスを溜めないようにする

などの基本的な生活習慣改善がポイントになります。


食事に関しては
  • ・発酵食品
  • ・食物繊維
  • ・オリゴ糖

などを積極的にとりいれることがお勧めです。

また、食生活を補う形でラクトフェリンなどのサプリメントを処方されることがあります。

ラクトフェリンについてはこちら



膣内の乳酸菌を増やす膣座薬・サプリについて

ラクトフェリンはラクトバチルス菌のいわば餌となるものなので、乳酸菌の育つ環境を作るものです。
それに対して、ここから説明するものは乳酸菌を直接増やすものです。

ここからはラクトバチルス菌についての記述となります。


inVag(インバグ)

膣内では20種を超えるラクトバチルス属が検出されています。しかし、大多数の女性の健康な膣微生物叢には、ラクトバチルス・クリスパタス、ラクトバチルス・ガセリ、ラクトバチルス・ジェンセニ、ラクトバチルス・イナースのうち1種または2種のラクトバチルス属が含まれています。現在、膣の健康におけるラクトバチルス・イナースの役割はまだ明らかになっていません。実際、最近、ディスバイオティックの女性と健康な女性の両方でラクトバチルス・イナースが検出されており、その存在と量はラクトバチルス・クリスパタスと逆相関しています。


膣内にラクトバチルス菌の割合が多いといいとされますが、その種類は20種類以上います。
その中でも

・Lactobacillus crispatus, (ラクトバチルス・クリスパタス)
・Lactobacillus gasseri, (ラクトバチルス・ガゼリ)
・Lactobacillus jensenii, (ラクトバチルス・ジェンセニ)
・Lactobacillus iners (ラクトバチルス・イナース)

の内1~2種類が含まれていることが重要としています。



実際に乳酸桿菌が少ない場合はどうするか?
実際に乳酸桿菌が少ない場合はどうするか?乳酸桿菌を腟剤として補充します。乳酸桿菌の腟座薬を移植前周期あるいは移植周期の月経以外の期間に投与することで生殖器内を移植に適した良い環境にすることができます。腟座薬は何種類も存在しますが、当院では下記の腟座薬を採用しています。また黄体ホルモンの腟座薬を使用することがありますが、乳酸桿菌腟坐剤の投与時間をずらすことで併用することも可能です。
乳酸桿菌剤
乳酸桿菌腟剤:inVag(インバグ) 製造会社:IBSS BIOMED社
加藤レディスクリニック


加藤レディスクリニックのホームページに記載のあるinVag(インバグ)を調べてみました。

・25% Lactobacillus fermentum 57A, (25%ラクトバチルス ファーメンタム 57A)
・25% Lactobacillus plantarum 57B, (25%ラクトバチルス プランタラム 57B)
・50% Lactobacillus gasseri 57C.(50%ラクトバチルス ガセリ 57C)

上記の4種類の中のガゼリが含まれています。



ラクトフローラフォルテ


女性専用のラクトバチルス菌製剤で、妊娠女性及び健康な女性由来の3種類の乳酸菌が含まれていおり、健康な乳酸菌フローラの形成をサポートします。ソフトカプセルのため、すぐに溶けて乳酸菌が広がります。
Lactoshopより引用

・Lactobacillus gasseri
・Lactobacillus rhamnosus
・Lactobacillus crispatus

こちらは2種類含まれています。


ラクトフローラシナジーというラクトフェリンも一緒に含有されたものも販売されています。


ラクトフローラシナジー

こちらは経口摂取タイプ。

・L.reuteri
・L. rhamnosus
・L. crispatus

1種類が含まれています。


プロバイオテクスⅢ

こちらも調べるとわりと目にする商品かもしれません。
多くのクリニックが取り扱っています。


・L. crispatus LCR04 20mg(10億個)
・L. gasseri LAC-343® 40mg(20億個)
・L. rhamnosus HN001™ 13.4mg(60億個)
・L. acidophilus La-14® 45mg(90億個)

こちらは先ほどの論文の内2種類が含まれています。

しかしinVagとラクトフローラフォルテと異なり、ラクトフローラシナジー同様経口摂取となるのでその点が留意点といえるかもしれません。



胃酸や胆汁酸への耐性を確認(経口摂取で生きたまま腸や腟に到達)
とあるので大丈夫ですが、腸溶性であるかは重要です。


というものヨーグルトや飲料で摂っても、胃酸でやられるためほぼ腸には届かないからです。



またいずれの商品にも言えることですが、生菌の場合はクール便で運んでくれるかなどの輸送手段も重要です。

もちろん自宅での保管も冷蔵するなど、菌がしっかりと生着するためには管理も大切になります。




inVagは海外から輸入、プロバイオテクスⅢは手軽ではあるが経口摂取、膣座薬の場合の煩雑さなど検討する点はあると思います。

いずれにしてもクリニックの先生と相談し今後の対応を相談できるとよいでしょう。


まとめ


これまで移植を成功するカギは胚の質と言われている期間が長くありました。

もちろん、良好な胚を移植することは大事ではありますが、どれだけ良好な胚を移植しても子宮環境が整えっていなければ、それらの胚を無駄にしてしまうことにもなりかねません。

子宮内フローラ検査は始めから受けるというよりは、何度か移植してうまくいかなかった時に推奨される検査ではあります。

しかし、子宮内フローラを改善する方法はサプリメントだけでなく、基本的な生活習慣改善です。

子宮環境を整えるためにも普段から生活習慣改善を意識し、それでも治療順調でない場合は是非視野に入れていただけたらと思います。


この記事の著作者

鍼灸師 あんまマッサージ指圧師 楠本 敦子

「東京漢方鍼医会」会員

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。

この記事の著作者

院長 松本 敏樹

不妊カウンセリング学会 認定不妊カウンセラー
一般社団法人「日本生殖医学会」会員
妊活コーチ/妊活コーチング
東京漢方鍼医会 代表

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。
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