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妊活お役立ちコラム

2025/05/26

不妊治療解説

hCG注射の効果や副作用|hCGを使うクリニック、使わないクリニック

「hCG注射」を聞いたことがありますか?

不妊治療をされている方の中にはこのhCG注射を受けたことがある方がいらっしゃるかもしれません。

hCG注射について調べると大きな効果がある一方、副作用についても明記されています。

そのため、医師によってhCG注射の使用は見解が分かれる傾向に。

hCG注射は何なのか、効果、副作用、当院に通われていた患者様の症例を交えて解説します。


  1. 1. hCG注射とは?
  2. 2. hCG注射の効果
  3.  2-1排卵のタイミングを予測できる
  4.  2-2卵胞を成熟させ、受精可能な状態へ
  5.  2-3黄体機能を補助する
  6. 3. hCG注射の副作用
  7.  3-1OHSS(卵巣過剰刺激症候群)
  8.  3-2多胎妊娠
  9.  3-3hCG注射を打ってから妊娠検査薬使用の期間
  10. 4. hCG注射の種類
  11. 5.hCG注射を使用するタイミング
  12. 6.体外受精においてhCGを使うクリニック、使わないクリニック-鍼灸の現場での経験-
  13. 7. hCGが検出されながらもご出産された事例
  14. 8. まとめ




hCG注射とは?

hCG注射を投与する医者
そもそもhCGとは一体何なのでしょうか?

正式名称はヒト絨毛性性腺刺激ホルモンといい、妊娠した際に胎盤から分泌されるホルモンの1つです。

つまりhCG注射とは妊娠中に分泌するホルモンをまだ妊娠していないに段階で投与します。

では何のためにhCG注射を投与するのでしょうか?


hCG注射の効果

hCG注射には以下の効果があります。

  • ・排卵を誘発し、タイミングを予測できる
  • ・卵胞の成熟を助ける。
  • ・黄体機能を助ける

では1つずつ解説します。


排卵のタイミングを予測できる

hCG注射には排卵を引き起こす作用を持ちます。

まずは排卵のメカニズムから解説します。

卵胞が大きくなると、卵胞からエストロゲンというホルモンが分泌されます。

エストロゲンが最大限に増え、内膜も厚くなると排卵をつかさどるホルモンであるLHが急上昇。

これをLHサージといいます。

サージ(surge)は「波のようにおしよせる」などの意味があり、LHが急上昇することを表します。

このLHサージのピークから10~12時間で排卵するとされています。

なお、日本産科婦人科学会ではLHサージから排卵までの時間について以下のように述べています。

正常成熟女性における排卵期の血中LH値は40~100mIU/mlである6)。血中LHサージの持続時間は約48時間、ピークの持続時間は約14時間で、血中LHサージ開始から34~36時間、血中LHサージのピークからは10~12時間で排卵する1)。血中LHサージと尿中LHサージまでの遅延わずか数時間であるため、尿検査にて簡便に排卵予測が可能である10)。尿中LH検出は抗LH monoclonal antibodyを用いた Immunochromatography法による判定量法で行い、尿中LHが20 mIU/ml以上がサージ開始であり、カットオフ値は40mIU/mlに設定されている1)。月経予定日の17日前から連日測定し最も発色した日を陽性と判断する。検査陽性から2日以内に排卵を認める確率は91.1%と報告されている11)。


ではここでhCG注射の話に戻ります。

hCGとLHは構造が似ています。

そのため、hCG注射を投与するとLHサージを引き起こし、34~36時間以内に排卵。

明確に排卵のタイミングが知り必要がある採卵前、確実に排卵を促すために人工授精やタイミング指導の前後で使われます。


卵胞を成熟させ、受精可能な状態へ

卵胞が大きく成長するには脳から分泌されるFSHというホルモンが必要です。

しかし、卵胞が大きくなるだけでは精子と受精できる力(受精能獲得)が備わりません。

上記で説明したLHサージが起きることで受精能獲得されます。

hCG注射は排卵のタイミングをコントロールするだけではなく、卵胞の成熟を促し、受精能獲得のために投与されます。

受精障害についてはこちらの記事で解説しています。



黄体機能を補助する

黄体ホルモン(P4)の補充には飲み薬、注射などの方法がありますが、その内の1つがhCG注射です。

排卵された後、卵子が放出された後、残った卵胞は黄体に変化しますが、LHによって黄体を刺激され黄体ホルモンが分泌されます。

上記でhCGはLHと化学構造が類似しているとありました。

hCGを投与するとLHと同じ働きをするため、黄体ホルモンの分泌を促します。


hCG注射の副作用

ではここまでhCG注射の効能についてお話しましたが、hCG注射の投与には副作用もあります。

hCG注射の副作用には以下のものが挙げられます。

  • ・OHSS(卵巣過剰刺激症候群)
  • ・多胎妊娠


OHSS(卵巣過剰刺激症候群)

OHSSとは不妊治療による過度な卵巣刺激によって卵巣が腫れてお腹や胸に水が溜まり血液濃縮などをきたす病態です。

重症になると腎不全血栓症を引き起こすことも。

OHSSはHMG(卵胞を直接刺激するための注射)・hCG注射を用いた誘発法によって5%程度の頻度で発症しております。

医療機関もOHSSを引き起こさないよう細心の注意を払っていますが、hCG注射の使用はOHSSのリスクがあることを念頭に置く必要があります。


多胎妊娠

卵巣刺激によって複数の卵胞が育ったうえでhCG注射を投与すると複数の卵胞が排卵し、多胎妊娠になる可能性があります。

双子、三つ子を妊娠された場合、より一層喜ばれる方も大勢いらっしゃると思います。

しかし、多胎妊娠は妊娠高血圧症候群など母体に負担がかかるうえ、早産・生まれる赤ちゃんの体重が少ないなどのリスクも高まります。


hCG注射を打ってから妊娠検査薬使用の期間

hCG注射は強力な薬で作用が強く、体内にも残りやすい傾向にあります。

そのため、hCG注射を投与後、時間を空けずに妊娠検査薬を使用すると着床によるhCG分泌なのかhCG注射投与によるものか判断ができません。

妊娠検査薬の使用はhCG注射投与から2週間ほど期間を空ける必要があります。

また、プラセンタドリンク、点滴、注射などでもhCGが検出されることもあります。


hCG注射の種類

hCGの注射には種類があり、現在は以下のものが使われています。

・オビドレル皮下注シリンジ 250μg
・注射用hCG「F」
・hCGモチダ
・ゴナドトロピンhCG


オビドレル皮下注シリンジは遺伝子組み換えのホルモン製剤です。

またペンタイプのため、比較的容易に自己注射が可能になります。

ゴナドトロピンは筋肉注射となりますので、自分で打つ場合は事前練習が必要となります。

またクリニックによってはゴナドトロピンの自己注射を認めていないところもあります。


hCG注射を使用するタイミング

hCG注射は何を目的に使用するかで投与するタイミングが異なります。

卵胞の成熟、排卵を促すために使用する場合は卵胞が育った(卵胞が18~20mm程度に成長)タイミングでhCG注射を投与します。

投与後、およそ34~36時間後に排卵されます。

そのため、排卵目的でhCG注射を使用する場合は採卵・人工授精する時間から逆算して投与されます。

また、黄体補充のためにhCG注射を使用する場合は排卵後に使用されます。


体外受精においてhCGを使うクリニック、使わないクリニック-鍼灸の現場での経験-

hCG注射について説明する医者
元々hCG注射は不妊治療に欠かせないものでした。

しかし、あるクリニックが不妊治療のhCG注射に関して否定的な意見を述べるようになりました。

hCG注射は作用が強く体内に残りやすい傾向にあり、採卵周期にhCG注射を使用すると遺残卵胞が残りやすく、採卵後も影響を及ぼしやすいと考えているようです。


遺残卵胞については以下の記事に解説しています。




上記のクリニックは排卵のためのhCG注射にはスプレキュアなどの点鼻薬を使います。

一方、hCG注射を使用するクリニックはスプレキュアでは効果が足りないと考えています。

そのため、強力な作用があるhCG注射を使用します。

ここからは著者個人的な意見を述べます。

当院では脈を大切にしており、妊娠しやすい脈になることが妊娠しやすい身体作りの基本と考えています。

hCG注射は作用が強いため、使用すると脈が変わります。

そのため、その方本来の脈が分かりにくくなります。

なかなかスプレキュアなどでは排卵できない方などは必要だとは思いますが、hCG注射でなくても排卵できる方なら、第一選択にしなくてもいいのではと考えています。


hCGが検出されながらもご出産された事例

hCGが残る患者へ施術する図
ここで当院での事例を紹介します。

Aさんは明らかな理由はありませんが、常に微量のhcgが感知されていました。

過去にhCG注射を投与していたり、プラセンタドリンク・サプリメントを摂取したりしていればhCGが検出される可能性はあります。

しかしこの方はhCG注射もドリンクもサプリメントなどは一切使っておりません。

Aさんが通っていた病院はhCGが微量でも検知される場合は治療を見送ります。

しかし、Aさんは常に微量のhCGが出てしまい何度か治療を見送るものの、数値は変わらず。

そこで病院は体質によるものと判断しました。

Aさんは無事採卵でき、胚盤胞まで育ち、移植し妊娠・ご出産されました。

hCGが出ていたという事実は、毎回血液検査で判明したことですが、妊娠を考えると重要なのはいかに妊娠しやすい土台ができているかです。

当院で行う妊娠に適した脈作り、お腹づくりは、質の良い卵子が育ってくるための身体づくりです。

これは本来備わっている力を後押しすることになります。

稀ではありますが、体質のためか常にhCGが出る方はいらっしゃるようです。

ホルモン値などは重要ではありますが、それも一つの側面で全てではありません。

良質な卵子が得られれば、この症例のようにたとえhCGが出てしまっていても、採卵移植をしてご出産することはもちろんあります。

大事な「良質な卵子」が得られるように、身体づくり(妊娠しやすい脈づくり)のサポートをいたします。


まとめ

hCG注射については病院によって見解が分かれるため、実際に治療中の方からすると「この治療でいいのだろか?」と迷われてしまうのも無理はありません。

当院に通われている患者様はそれぞれ色々な病院に通われています。

そして、私たちもスタッフは常に情報を集め、研究を重ねています。

患者様が納得できる治療が進められるよう、そしてその病院での治療の結果を出やすくするために妊娠しやすい身体作りに手助けできたらと考えています。

この記事の著作者

鍼灸師 あんまマッサージ指圧師 楠本 敦子

「東京漢方鍼医会」会員

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。

この記事の著作者

院長 松本 敏樹

不妊カウンセリング学会 認定不妊カウンセラー
一般社団法人「日本生殖医学会」会員
妊活コーチ/妊活コーチング
東京漢方鍼医会 代表

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。
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