hcgというホルモンをご存知でしょうか?
着床後、胎盤から発生するホルモンです。
ひらたく言えば妊娠すると分泌されるホルモン。
妊娠検査薬はhcgが尿中に表れるか調べます。
そんなhcgは不妊治療の現場でホルモン注射として投与される事があります。
病院でhcg注射を受けたという方もいらっしゃるでしょう。
さて、このhcg注射。
病院によって見解が分かれます。
hcg注射は不妊治療に不可欠!という意見もあればhcg注射により、むしろ妊娠しづらくなるという意見もあります。
ある病院ではhcg注射を使いません。
前院長 加藤修先生の「不妊治療はつらくない」「もっと自然に!不妊治療 KLCメソッドでママになる本」では以下のように述べられています。
「このhcgは、体に残留する期間が長いため、体が『妊娠した』と勘違いしてしまうおそれがあります。
そうなると、受精卵が着床しづらくなるのではないかと考え、KLCメソッドではhCGを使用しません。」
「hCGを投与すると、なくなるはずの小さな卵胞が、消えずに生き残ってしまうのです。」
(「もっと自然に!不妊治療 KLCメソッドでママになる本」 66〜67ページより)
「hCGによる排卵誘発を毎周期行うと、ホルモン産生嚢腫の出現率がとても高くなります。これは良好な卵子を排卵しないだけでなく、黄体機能も十分でないため、高温期を維持することができません。その短い高温期がまた新たなホルモン産生嚢腫発生の原因になるというように、悪循環をもたらします。」
(『不妊治療はつらくない』109ページより)
そのためこのグループ内の病院ではhcg注射を治療に使用したという話は聞きません。
ある病院では妊娠のためにと使用し、ある病院ではむしろ妊娠しにくくなると懸念するhcg注射。
では実際のところどうなのでしょうか?
hcg注射の使い方
1.黄体ホルモン(P4)の補充としてhcgを投与する
hcgは黄体を刺激します。
黄体ホルモン(P4)の補充には飲み薬、注射などの方法がありますが、その内の1つがhcg注射です。
2.排卵の引き金となるLHサージを起こさせるために、採卵前・人工授精前後に投与する
黄体ホルモンの刺激だけでなく、hcg注射には排卵を引き起こす作用を持ちます。
hcg注射の36時間後に排卵するため、明確に排卵のタイミングが知り必要がある採卵前、確実に排卵を促すために人工授精やタイミング指導の前後で使われます。
このように妊娠の過程にある排卵や黄体ホルモンの分泌を手助けするhcgですが、何故使用に反対の声が挙がるのでしょうか?
hcg注射の副作用
元々hcg注射には以下の副作用が懸念されています。
1. OHSS(卵巣過剰刺激症候群)のリスクが上がる。
2. 古い卵胞が残りやすくなり、新しい卵胞の成長を阻害する
これらが起きないようにhcg注射を使用する病院は適宜体の状態を見極めた上で使用しています。
しかしhcg注射を使わない病院の見解では、hcg注射の副作用が逆に妊娠しにくさを引き起こすのでは懸念しています。
当院に通われていた患者様でhcg注射を受けた事で高温期が安定し、妊娠・出産された方もいます。
そうかと思えばhcg注射を使用後、微量にhcgが体内に残っていた為何周期もお休みを余儀なくされた方もいらっしゃいます。
作用が強い薬であるため、副作用も強い事が考えられます。
使用したら即座に妊娠しにくくなるというわけでは勿論ありませんが、定期的に使用し病院でも古い卵胞があるという話があった場合は注射をお休みできるか相談してもいいかもしれません。
hcg注射だけの問題ではない?
不妊治療の難しい点は「これが絶対正解!」といえるものがない事です。
ホルモン値や検査結果から多少治療方法の合う・合わない推測はできますが「やってみないと分からない」が多い世界。
しかし、東洋医学の視点から考えた時「これは絶対必要!」というものがあります。
母体の生命力です。
身体に生命力がある状態だと、不自然なものを排除したりと身体本来の働きを持つ状態へ戻ります。
身体自身に生命力があるかどうかの判断は古来より脈で診ることが可能(専門的には胃の気のある脈といいます)。
つまり妊娠できる力があるかどうかを脈で判断できます。
方針は違えど本来は妊娠を目的に使用するもの。
ホルモン剤の良い面を享受できるように身体づくりをしていきましょう!
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