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妊活お役立ちコラム

2025/03/27

不妊治療解説

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の症状や原因について

以前とある女性タレントの妊娠がネットニュースで報じられていました。

その方はPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)であることが分かり、不妊治療に取り組んで妊娠したとインタビューに答えていました。

そのネットニュースには多くのコメントが寄せられ、PCOSに悩まされている女性の多さを物語っています。

また、別のニュースではPCOSが分かり、将来を見据えて卵子凍結をしたというハリウッド女優の記事も。

決して珍しい病ではないPCOSはどんな状態なのでしょうか?

どのような症状があるのか、PCOSと不妊治療、治療法・鍼灸で排卵しやすくなったアプローチ法を解説します。


  1. 1. PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)とは
  2.  1-1 PCOSの原因
  3.  1-2 PCOSの症状
  4. 2. PCOSはどんな検査でわかる?
  5.  2-1 PCOSの検査1-血液検査-
  6.  2-2PCOSの検査2-内診-
  7. 3. PCOSの治療法
  8.  3-1PCOSの治療1-排卵誘発-
  9.  3-2PCOSの治療2-インスリン抵抗性の改善-
  10.  3-3PCOSの治療3-腹腔鏡卵巣多孔術-
  11. 4. PCOSと不妊治療
  12.  4-1PCOSの不妊治療1-タイミング指導・人工授精
  13.  4-2PCOSの不妊治療2-体外受精
  14. 5. PCOSに対しての鍼灸治療
  15.  5-1 PCOSで水の巡りが悪い方(痰湿)
  16.  5-2 PCOSで身体が緊張状態の方(肝鬱)
  17. 6. PCOSから妊娠に至った事例
  18.  6-1 ぽっちゃり傾向のAさん
  19.  6-2 痩せ気味のBさん
  20. 7. まとめ





PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)とは


PCOSの正式名称は多嚢胞性卵巣症候群。

嚢胞とは液体が溜まった袋が体の中にある病態であり、PCOSは卵巣の中に液体が入った袋がひしめきあい卵巣を圧迫し、排卵しにくくなる内分泌疾患です。

若い女性の5~8%はPCOSと言われ、決して珍しくない病気で、当院に通われている患者様の中にもPCOSの方は大勢いらっしゃいます。


PCOSの原因

PCOSの明確な原因は明らかにはなっていません。

しかし、研究を進めるにつれて卵巣内にアンドロゲンという男性ホルモンが過剰に作られることが関わっているのではないかと言われています。

また、排卵を促すホルモンであるLH(黄体形成ホルモン)や血糖値を下げるためのインスリンが多くでていると、ますますアンドロゲンが過剰に分泌されてPCOSの症状が強くなります。

ではPCOSにはどのような症状があるのでしょうか?


PCOSの症状

PCOSには以下のような症状がみられます。

  • ・排卵障害
  • ・月経不順
  • ・不正出血
  • ・多毛
  • ・ニキビ

では具体的に解説します。


PCOSの症状1-月経不順・排卵障害-

月経不順によりPCOSに気付く方が大勢いらっしゃいます。

男性ホルモンの分泌が過剰のため、卵胞の発育を妨げ、卵巣の周りの膜が厚くなって排卵しにくくなります。

そのため内診すると小さい卵子がたくさん卵巣内にひしめきあい、ネックレスサインなどと呼ばれています。

この排卵障害が原因で月経不順を引き起こし、不妊の原因にもなります。


PCOSの症状2-不正出血-

PCOSと不正出血の関係の前に月経のメカニズムから解説します。

卵巣内で卵胞が大きくなるとエストロゲンというホルモンが分泌されて内膜が厚くなります。

卵胞が充分大きくなって排卵すると、今度はプロゲステロンというホルモンが分泌されて厚くなった内膜が維持されます。

妊娠に至らないと、排卵から14日程度でプロゲステロンが低下するとし内膜が剥がれて月経が開始。

PCOSだと上記で説明したように小さい卵胞がたくさんあるため、エストロゲンがしっかり分泌されます。

一方で、排卵しにくいため内膜を維持するプロゲステロンの分泌は低下。

そのため、厚くなった内膜を維持することができずに不正出血を引き起こします。


PCOSの症状3-多毛・にきび-

PCOSは男性ホルモンであるアンドロゲンの過剰分泌が大本と言われています。

そのため、男性化として多毛やにきびなどの症状がでます。

多毛を評価する上では唇の上、胸部、お腹、太もも、腕、背中、腰などに産毛ではなく太さや硬さがある硬毛かどうかで判断します。


PCOSはどんな検査でわかる? 

日本産科婦人科学会では2023年9月2日の理事会にてPCOSの診断基準の改定を発表しました。

以下の1〜3の全てを満たすものを多囊胞性卵巣症候群とする
1.月経周期異常
2.多囊胞卵巣 または AMH高値
3.アンドロゲン過剰症 または LH高値



ではこれはどのような検査をすることで分かるのでしょうか?


PCOSの検査1-血液検査-

血液検査をすることでホルモンの状態が分かります。

PCOSの診断にみるホルモンは以下の3つです。


  • ・LH(黄体形成ホルモン)
  • ・AMH(アンチミュラー管ホルモン)
  • ・アンドロゲン

また、生理周期によってホルモンバランスが変わるため、PCOSかどうか調べるためには月経2~5日目がお勧めです。

月経中のホルモンを調べ、FSH(卵胞刺激ホルモン)よりもLH(黄体形成ホルモン)が高いと上記のLH高値と判断されます。

また、AMHといって卵子の在庫がどれくらいあるか調べる検査があります。

PCOSの方は小さい卵胞が多数あるため、AMHが高値にでることがあります。

AMHについては詳しくはこちらで解説しています。



また、総テストステロンを血液検査で調べることで血中アンドロゲンを測定できます。


PCOSの検査2-内診-

内診をすることで卵巣の状態をみることができます。

卵巣に直径2~9ミリの小さな卵胞が並んでおり、これをネックレスサインといいます。

また、卵巣の膜が肥厚しているのも特徴の1つ。

ちなみに、体外受精の際に排卵誘発で刺激をすると卵巣内に大きな卵胞がたくさんできます。

そこでお腹が張る方がいらっしゃる一方、PCOSの方は卵巣内に小さな卵胞がたくさんあっても自覚症状がある方はあまりお聞きしません。


PCOSの治療法 

PCOSの治療は妊娠希望かどうかで治療法が変わります。

ここでは妊娠希望をしている方向けの治療法を解説します。

PCOSで妊娠希望の場合は以下の方法で治療を行います。 

  • ・排卵誘発
  • ・インスリン抵抗性の改善
  • ・腹腔鏡卵巣多孔術

では具体的にどのように行うのでしょうか?


PCOSの治療1-排卵誘発-

PCOSが不妊の原因になる理由の1つは排卵がしにくい、もしくは時間がかかることです。

PCOSも人によって程度が違うため、ゆっくりでも自力で排卵する人もいれば、服薬や注射などがないと自力排卵が難しい人もいます。

排卵しやすくするための医薬品としては内服薬や注射があります。

なお、注射には病院で打つ方法だけでなく、ご自宅で自己注射を行うことも可能です。


PCOSの治療2-インスリン抵抗性の改善-

これまでPCOSの治療にはまず「肥満の改善」と言われていました。

PCOSの方には肥満の方が多く、減量することで自力排卵できるようになった方が大勢いらっしゃいました。

しかし、痩せ型でもPCOSに悩まれる方はたくさん。

研究が進み、体型ではなくインスリン抵抗性がPCOSに深く関わることが分かりました。

インスリン抵抗性とはインスリンの効きが悪くなって過剰に分泌されること。

インスリンの過剰分泌はアンドロゲンの増加を引き起こし、PCOSを悪化させてしまいます。

このインスリン抵抗性を改善するために以下の方法があります。

  • ・服薬
  • ・減量(肥満の方)
  • ・筋力をつける

内臓脂肪が多い、筋力が少ないと筋肉に糖を取りこみにくいため、脂肪が多い人は減量を、筋力が少ない人は筋力アップを心掛けるとインスリン抵抗性が改善されます。

痩せ型PCOSの改善方法についてはこちらで解説しています。



PCOSの治療3-腹腔鏡卵巣多孔術-

PCOSの方の卵巣の膜は厚くなっています。

この卵巣の外側の皮質に電気メスを使って3~5ミリ・10~30箇所の穴を開ける治療法です。

卵巣にダメージを与えることでアンドロゲン産生が低下し、卵巣中のホルモン状態が改善され、自力排卵が見込めます。

しかし、この効果は1年ほどであるため、この治療をせずに体外受精などステップアップする方もいらっしゃいます。


PCOSと不妊治療


PCOSであっても治療せずに自然妊娠をする方もいる一方、PCOSによって体外受精にステップアップされる方もいます。

ではPCOSの方はどう不妊治療を進めていくのでしょうか?


PCOSの不妊治療1-タイミング指導・人工授精

PCOSの方が妊娠せずに悩んでいる場合、排卵しにくい、いつが排卵なのか分からないというケースが多くあります。

その場合は薬や注射を使用し、内診や血液検査によって排卵日を見極めます。

しかし、PCOSの方は必要以上に卵胞が育ってしまうことがあります。

多胎のリスクを避けるためにその周期は治療を見送るケースもあります。


PCOSの不妊治療2-体外受精

タイミング指導や人工授精ではなかなか妊娠しない、年齢、卵胞がたくさん育ってしまう、なるべく早く妊娠したいなどの場合、体外受精にステップアップも検討されます。

PCOSの方で体外受精をする場合、排卵誘発が要になります。

卵胞が育ちやすく、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)になる可能性もあるため、慎重に進める必要があります。

卵巣刺激に関しては病院ごとに方針が異なります。

低刺激だとなかなか卵胞が育たないケースもあれば、育ちすぎてOHSSを引き起こしてしまうケースもあります。

人それぞれ程度が違うため、刺激の見極めがポイントになります。


PCOSに対しての鍼灸治療

当院でもPCOSの患者様は多くいらっしゃいます。

PCOSの方が一律に同じような身体かと言えば、そうとは言えません。

著者がこれまで見てきて、肥満の方のPCOSの方は水の巡りが滞りやすい方が多く、痩せ型のPCOSの方は常に力が入り緊張状態の方が多い印象があります。

では東洋医学的にみてお身体はどんな状態なのでしょうか?


PCOSで水の巡りが悪い方(痰湿)

水の巡りは身体にとって大切で、皮膚・内臓・粘膜などに潤いを与えて働きをスムーズにします。

この水の巡りが悪いと湿痰というものに変化し、身体に悪影響を及ぼします。

例えば、流れ続けている水路の水はきれいですが、詰まった水路の水は淀んでいますよね。

肥満傾向のあるPCOSの方は固太りというよりポチャポチャとした傾向があります。

水の巡りを改善できるようなツボを選び、「湿」という余分な水を減らします。

その結果、身体が温まり、身体の働きも改善されます。

また、鍼灸治療と並行して減量を進めていくとPCOSは改善しやすくなります。


PCOSで身体が緊張状態の方(肝鬱)

身体が筋張って緊張状態の方は肝という血の巡りに関わる臓器がポイントになります。

肝はストレスや怒りで不調になりやすく、常に力が入りリラックスしにくい傾向にあります。

そうすると自律神経の乱れにもつながります。

鍼灸治療では肝の働きを改善させ、力が抜けるように促していきます。

鍼灸治療の効果についてはこちらで解説しています。



PCOSから妊娠に至った事例

ここでは当院に通われていて妊娠に至った患者様2例を紹介いたします。


ぽっちゃり傾向のAさん

まずはぽっちゃり気味のAさんについてお話します。

Aさんは30歳の時にご主人と一緒に当院にいらっしゃいました。

BMIは29.6でギリギリ1度の肥満。(BMIが30を超えると2度の肥満になります)

20代の頃から職場のストレスで月経が起きなくなり、漢方を服薬していました。

生理中のホルモン値を見るとFSH 4.1 LH 7.9とLHの方がわずかに高い状態です。

病院からPCOS気味と言われ、排卵誘発剤を1回2錠、1日2回服薬しているがなかなか排卵しないとのこと。

タイミングが合えば人工授精を希望しているけど、なかなか仕事の都合でタイミングが合わない。

自力で排卵できる周期もあるため、病院は一旦お休みして自力排卵を目指すことがAさんの希望。

お話を伺っていて、自力排卵ができる・体重が肥満傾向ならば鍼灸治療と減量を並行すればPCOSは改善するのでは考え、言葉を選びつつ減量の提案をしました。

そうするとAさんは「はい!自分でも少し痩せないといけないと思っていました」とおっしゃいました。

Aさんは減量を頑張りつつ鍼灸治療を行い、無事に自然妊娠・ご出産されました。


痩せ気味のBさん

31歳BさんはBMI 19.43で普通体重ではありますが、少し痩せ傾向があります。

生理周期が40~60日でFSH 6.5 LH 20 AMH 13であり、LH・AMHの高さからPCOS傾向が見られます。

当院に来られる前は人工授精を行っていましたが、排卵誘発剤を2錠服薬してもなかなか育たず3錠に増やしていました。

当院の初診を受けた時にはすでにステップアップを決めており、採卵に備えたいとのこと。

すぐに採卵周期に入り、ゴナールF150単位を3日間とデュファストンを服薬するPPOS法。

もっと刺激量が多い方もいますが、Bさんはこの3回の刺激で卵胞が左右合わせて20個育ちました。

卵巣が腫れ、腹水が溜まってお腹がパンパンで足が前に出せないほどになりしばらく安静になりました。

Bさんは頑張った甲斐もあり胚盤胞は8個凍結。

2周期お休みを経て移植したところ、無事に妊娠し現在安定期を迎えています。


まとめ

PCOSは人によって程度が様々です。

一切気付かずに自然妊娠する方もいらっしゃる一方、妊娠の前に排卵がなかなかできずに悩まれる方がいらっしゃいます。

負担のかかった臓器の働きを高める、身体に不要な物質を取り除くなど身体の働きをスムーズにさせることで1つ1つ元気な卵子が育ちやすくなることが、妊娠しやすい身体への第一歩になります。

PCOSは1回の治療で簡単に改善できるようなものではありません。

しかし、その方の身体の特徴を捉えた上でコツコツと身体作りを行うことで妊娠しやすいお身体作りをサポートできたらと思います。


この記事の著作者

鍼灸師 あんまマッサージ指圧師 楠本 敦子

「東京漢方鍼医会」会員

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。

この記事の著作者

院長 松本 敏樹

不妊カウンセリング学会 認定不妊カウンセラー
一般社団法人「日本生殖医学会」会員
妊活コーチ/妊活コーチング
東京漢方鍼医会 代表

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。
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