妊活お役立ちコラム
2024/08/24
妊娠中/産後
妊娠中に食べてはいけないもの、注意すべき食べ物
妊娠中に食べてはいけないもの・飲み物、摂取を控えたいもの一覧。
妊娠中は、お腹の赤ちゃんによくない影響を与える食材があり、食べてはいけない&摂取量を控えたいものがあります。
そのため、妊娠をきっかけに、食事の内容や栄養バランスを見直す方が多いのではないのでしょうか。
「妊娠前に食べていたものは、今食べても問題ないもの?」
「生ものやカフェイン・アルコールは控えないといけないのはわかるけど、他に気をつけるものはなんだろう」
「魚には水銀を含むというけれど、食べない方がいいの?」
赤ちゃんは母体から栄養をもらいながら成長するので、妊娠中は安全でバランスのよい食事を心がけることが大切です。
そこで本記事では、
- ・妊娠中に食べたり、飲んだりしてはいけないもの
- ・妊娠中に食べたり飲む際は、注意が必要なもの
についてご紹介します。
妊娠中に食べてはいけないもの
妊娠中に食べてはいけない代表的な食品に、
- ・生もの(ナチュラルチーズ、肉や魚のパテ、生ハム、スモークサーモン、刺身、生卵)
- ・アルコール類(お酒、ビール、酒粕の甘酒、アルコールを含む洋菓子等)
があります。
一つ一つ解説していきます。
生もの
「お寿司が大好きで我慢するのがつらい…」
「半熟卵などの生卵が意外に料理に使われていて、外食の時に気を遣う」
刺身やチーズが好物です!という方も多いのではないでしょうか。
しかし、ナチュラルチーズ、肉や魚のパテ、生ハム、スモークサーモン、刺身、生卵などの生ものは、食中毒の感染リスクが高い食材です。
食中毒の原因になる菌は様々ですが、妊娠中は「リステリア菌」という食中毒菌に感染しやすいといわれています。
リステリア菌に感染すると、流産・早産・死産などの可能性が高まると言われているため、予防のためにも妊娠中は極力食べることを避けるのが良いでしょう。
リステリア菌、トキソプラズマ
リステリア菌は、加熱していない食品や食べるときに加熱を要しない調理済み食品により食中毒を引き起こす細菌です。
また生肉にはリステリア菌だけでなく、「トキソプラズマ」という寄生虫が潜んでいる場合があります。
妊娠中にもしトキソプラズマに初感染すると、赤ちゃんが流産や死産、水頭症になる可能性があります。
感染予防のために、しっかり加熱処理されているものを選びましょう。
こちらのコラムでもリステリア菌、トキソプラズマについて掲載しております。
>妊娠中に絶対に避けたい2つの食品【生肉・ナチュラルチーズ】|不妊鍼灸・妊活鍼灸の【そあら鍼灸院】東京新宿区
生肉やナチュラルチーズ(加熱処理されていないもの)は、妊娠中に食べることで流産や、胎児に影響が出てしまう「トキソプラズマ」「リステリア」に感染する可能性がある食品です。
アルコール
ビール、日本酒、焼酎、ワイン、カクテルなどのアルコールは、胎盤を通して赤ちゃんに届き、胎児の成長や発達に影響を与える可能性があります。
アルコールの処理能力は個人差が大きく、少量でも影響を受ける可能性があるので、妊娠中は完全に控えましょう。
お酒が大好きな方で、
「どうしても飲みたい!という時はノンアルコール飲料を飲んで我慢しました」
というお話しも耳にします。
しかし、ノンアルコール飲料の定義は、「アルコール分1%未満」であり、0.00%と表記されていない限り、微量のアルコールを含む可能性があります。
また、飲みやすくするために添加物も多く含まれている場合があります。
ノンアルコールだから絶対大丈夫!というわけではないため、ノンアルコール飲料を飲む場合も飲み過ぎには注意が必要です。
胎児性アルコール・スペクトラム障害
妊娠中の飲酒は早産・流産・分娩異常を始め、乳児に対し、低体重や顔面を中心とする形態異常・発達遅延・中枢神経系の障害などを引き起こす可能性があります。
これを胎児性アルコール・スペクトラム障害といいます。
妊娠中の母親の飲酒は、胎児・乳児に対し、低体重や、顔面を中心とする形態異常、脳障害などを引き起こす可能性があり、胎児性アルコール・スペクトラム障害といわれます。胎児性アルコール・スペクトラム障害には治療法はなく、唯一の対策は予防です。また少量の飲酒でも、妊娠のどの時期でも影響を及ぼす可能性があることから、妊娠中の女性は完全にお酒をやめるようにしましょう。
出典 | 胎児性アルコール・スペクトラム障害 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
飲酒量に比例してリスクも高くなるため、妊娠中は飲酒しないことが重要です。
妊娠中に摂取を控えたいもの
妊娠中に摂取を控えたい食品についても紹介していきます。
水銀が含まれる魚
魚は良質なたんぱく資源であり、DHA、カルシウムなどを豊富に含むため妊娠中に積極的に食べたい食品の1つです。
しかし、魚介類は自然界に存在する水銀を食物連鎖の過程で体内に蓄積するため、大量に食べた場合、胎児の発達に影響を与えることが指摘されています。
厚生労働省が実施している調査によれば、平均的な日本人の水銀摂取量は健康への影響が懸念されるようなレベルではありませんが、一部の魚について、妊娠中の摂取量の基準を定めています。
ちなみに、キハダマグロ、ビンナガマグロ、メジマグロ、ツナ缶、サケ、アジ、サバ、イワシ、サンマ、タイ、ブリ、カツオなどは水銀の含有量が低いため安心して積極的にとりいれましょう。
次項で摂取量を気をつける必要がある魚について、1回に食べる量を1切れ=80gとした場合、食べる頻度の目安も紹介していきます。
週に 1 回食べても大丈夫(約80g)な魚
おもに、
- ・キンメダイ
- ・ツチクジラ
- ・メカジキ
- ・クロマグロ(本マグロ)
- ・メバチマグロ
- ・エッチュウバイガイ
- ・マッコウクジラ
があります。
もし2種類または3種類を同じ週に食べる際には、食べる量をそれぞれ2分の1または3分の1にするよう工夫をして、偏らないように量と回数に注意しましょう。
週に2 回食べても大丈夫(約160g)な魚
おもに、
- ・キダイ
- ・マカジキ
- ・ユメカサゴ
- ・ミナミマグロ(インドマグロ)
- ・ヨシキリザメ
- ・イシイルカ
- ・クロムツ
があります。
もし週に1回まで摂取可能な魚と、週に2回まで摂取可能な魚を同じ週に食べる際には、食べる量をそれぞれ2分の1にするといった工夫をしましょう。
万が一食べ過ぎてしまった場合は、次の週に魚を食べる量を減らすのも対策のひとつです。
ヨウ素
ヨウ素は甲状腺ホルモンの主原料で海藻類に多く含まれています。
妊娠中にヨウ素を過剰摂取すると、新陳代謝に関係している甲状腺ホルモンの機能が低下し、赤ちゃんの体の成長や精神発達遅滞などの原因になります。
日本人の食事摂取基準(2020 年版)によると妊娠中に必要な摂取推奨量は240g/日、耐容上限量は2,000μg/日となります。
- 【各食材のヨウ素量の目安】
- ・昆布(乾燥)5cm角(5g)ヨウ素10,000μg
- ・ひじき(乾燥)(5g)ヨウ素 2250μg
- ・ところてん 1人前(100g)ヨウ素240μg
- ・わかめ(水戻し) 1人前(10g)ヨウ素190μg
昆布に換算するとわずか 1g ほどで妊娠中に必要なヨウ素が摂取できます。
そのため昆布出汁を使用したお味噌汁やスープを飲む場合は、1日汁椀1杯程度にするか、カツオや煮干しの出汁で代替するなど工夫しましょう。
また、大豆にはヨウ素の吸収を穏やかにする作用があるので、納豆や豆腐などの大豆製品を献立に取り入れるのもおすすめです。
ヒ素
ヒ素は多くの海藻類に含まれる成分です。
ヒ素には有機ヒ素と無機ヒ素の2種類があり、このうち大量に摂取すると健康に悪影響があるとされるのが無機ヒ素で、人体に有害で発がんリスクのあるといわれています。
ただし、日本では水洗い・水戻し・茹でなどの調理を行ったうえ食べることがほとんどで、その過程でヒ素が流れ出るとの報告もあります。
海藻類の中でも特にひじきに多く含まれていますが、「毎日 4.7g(乾燥時)以上もの大量のひじきを継続的に摂取しないかぎり問題ない」と厚生労働省は発表しています。
むしろひじきは食物繊維や鉄分、各種ミネラルが豊富に含まれる食材です。
小鉢 1 杯を1 週間に 2 回程度のペースで食べるくらいなら問題ありません。
ビタミンA
ビタミンAは、赤ちゃんの眼の健康維持や免疫機能のシステム、骨格の促進と維持&発育に必要不可欠な栄養素です。
しかし、過剰に摂取しすぎてしまうと、胎児の形態的な異常が増加すると言われています。
また、不足した場合も同様に、形態的な異常・体の成長が止まってしまう可能性があります。
18 歳以上のビタミン A の摂取上限は、2700( RAE/日)です。
レバーはビタミン A を多く含む食品です。
特に鶏肉のレバーは、食品 100g 当たりのビタミン A の含有量が高く、1 本食べた場合、約 1 週間分のビタミンA を摂取していることになります。
毎日レバーばかり食べ続けるなどの極端な食べ方をしない限りは、上限量に達することはありません。
しかし、普段からビタミン A のサプリメントなどを常飲している方は、知らず知らずに摂取量を超えている可能性があるため注意が必要です。
ビタミンAの摂取について、こちらのコラムにも掲載しております。
妊娠中・妊婦さんのビタミン A どれくらい摂りすぎると良くないの?|不妊鍼灸・妊活鍼灸の【そあら鍼灸院】東京新宿区
ビタミンAは、妊娠中は胎児の発育に必要な栄養素です。レバーなどの動物性食品の食べすぎやサプリメントによる過剰摂取には気を付けましょう。植物性食品からビタミンAを摂ることで妊娠中も安心して過ごすことができます。
辛い料理
香辛料を含んだ辛い料理を妊娠中に食べてもほとんど問題ないとされています。
ただし、普段あまり食べない人が香辛料を大量に取りすぎると、胃痛や腹痛・下痢などの体調不良を引き起こす可能性があります。
また、辛いものには塩分が多く含まれていることもありますので、食べ過ぎには注意しましょう。
スナック菓子
妊娠してから食の好みが変わって、「スナック菓子が無性に食べたくなった!」という方も少なくないはず。
患者さんからも、ポテトチップスやフライドポテト系のしょっぱいおやつが美味しくてついつい食べすぎてしまわないか心配…という声も耳にします。
スナック菓子自体には、赤ちゃんに悪影響をもたらす成分が含まれているわけではないので、食べることは特に問題はありません。
しかし手軽に食べられる分、知らないうちに塩分を摂りすぎてしまい過剰摂取による妊娠高血圧症候群や早産、子宮内胎児発育遅延のリスクが高まる場合があります。
食べすぎないように小分けにするなどの工夫が必要です。
カフェイン
「コーヒーが大好きだけど、妊娠中はやっぱり控えた方がいいですよね?」
妊娠してから控えているという方が多いのではないでしょうか。
コーヒーや紅茶、緑茶などに含まれているカフェインは、胎盤を経由しておなかの中の赤ちゃんにも届きます。
過剰摂取により流産・赤ちゃんの低体重のリスクがあるため、海外では、カフェインの 1 日の摂取量を妊娠した女性に対して英国食品基準庁(FSA) では200mg 、世界保健機関(WHO)では 300mg 以下に制限するように推奨しています。
- 【200mg の摂取量を想定した場合】
- ・コーヒー 1.7 杯(カップ 1 杯 200ml)
- ・紅茶 3.3 杯(カップ 1 杯 200ml)
- ・せん茶 6.7 杯(湯呑み 1 杯 150ml)
- ・カカオ 70%台のチョコレート 3.6 枚(1 枚 55g として計算した場合)
となっており、食後に1 杯コーヒーを飲む程度では過剰摂取になりません。
しかし、お菓子やジュースにも含まれている場合もあるため、組み合わせによっては知らず知らずに過剰摂取になってい場合があるため注意が必要です。
ハーブティー
ハーブティーは、妊娠中でも楽しめるノンカフェイン飲料としておなじみで、コーヒーや紅茶の代わりにハーブティーを飲んでます!という方がいます。
しかし、使用されているハーブの種類によっては、
- ・カフェインが含まれるもの
- ・ポリフェノールが多く含まれるもの(妊娠後期に過剰摂取により胎児動脈管早期収縮のリスクが高くなる可能性がある)
- ・子宮収縮作用のあるもの
など、妊娠中には控えた方が良い場合があります。
米国ハーブ製品協会(AHPA)などによると、
- ・ラズベリーリーフ
- ・ネトル
- ・ローズヒップ
- ・ルイボスティー
などが妊娠中に飲用していいハーブティーとしています。
しかし、これらのハーブティーも「○杯までなら飲んでも大丈夫!」という明確な基準がないため、過剰な摂取は控えるように注意しましょう。
いつも愛用しているハーブティーがある方やどうしても飲みたい!という方は、産婦人科医や専門店に相談して、飲んでも大丈夫かどうか確認すると安心です。
妊娠中にナチュラルチーズを食べてしまった事例
妊娠中のAさんは普段からトーストの上にスライスタイプのチーズをかけて食べていました。
しかしあるネットの記事を読んだことをきっかけに、ナチュラルチーズや生肉に「リステリア菌」の感染の可能性があることを知ります。
急いで自分が食べていたチーズを確認したところ「ナチュラルチーズ」の文字が…。
オーブントースターで調理していたとはいえ、加熱不十分の可能性があり、
「万が一赤ちゃんに何かあったらどうしよう!!」
とても怖かったそうです。
いてもたってもいられず、Aさんはすぐに主治医の先生に相談しました。
先生は「日本ではリステリアの報告例はほとんどなく、発熱などの症状がでてなければ大丈夫だよ。」とおっしゃっており、万が一感染していた場合いつ症状が出るかわからない恐怖はありましたが、Aさんはその言葉に安心しました。
リステリアに万が一感染した場合の症状の重篤度には個人差がありますが、発症しても軽症で自然に治るとされています。
また、「妊婦リステリア症に関する指針」では、菌に触れてから2ヶ月以上無症状、もしくは発熱を伴わず、筋肉痛のみなど軽症の場合、胎児への影響を心配する必要はないという見解が示されています。
Aさんは、その後発熱などの疑わしい症状は出ず、食事により一層気をつけながら過ごされたこともあり、先日無事に元気なお子さんを出産されました。
まとめ
妊娠中は、お腹の赤ちゃんに悪影響を与える食材がいくつかあります。
その中でも、食べてはいけないもの・摂取量を控えたいものがあります。
生ものやアルコールは、食中毒や流産・死産、赤ちゃんの障害のリスクが考えられるので妊娠中は避けましょう。
その他にも水銀を含む魚やヨウ素・ヒ素など、摂取量に気をつける食材もありますが、それぞれの食材について知ることによって、赤ちゃんに必要な栄養を補給することができます。
妊娠中の食事について詳しく知りたいという方は是非当院にご相談ください。
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